MAY YOUR POUCHES NEVER BE EMPTY!
君の小袋がいつまでも空っぽになりませんように!
author michi

Dragons of Winter Night / 冬の夜の竜
ドラゴンランス 氷壁の白竜の書 その1その2その3その4その5:その6:戻る
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 はい。Flashのオープニングの始まった今回のリプレイですが、皆さんこんにちは!
 あ、iPadの人石投げないで、パソコンで見てください。
 Flashの知識は乏しいのですが、頑張って作ったので、よろしくお願いします。
 
 さて、残暑厳しい日々が続いておりますが、日本のD&D界の最大のイベント、DAC2010が今年もプレイヤーの募集を開始したようですね!
 皆さんは、もう申込をされました? きっと楽しい冒険が待ってますよ!
 もちろんD&Dは初めてという方でも楽しめると思いますし、関東以外の地方にお住まいの方でも会場内の宿泊施設が利用できるため、参加しやすいのではないでしょうか?
 今年はネタセッションが多いらしいのですが、私は敢えて普通の卓に応募してみようかと考えております。

 このところ毎月のペースでこのキャンペーンのセッションを連ねて来たためか、リプレイを書き上げる時間が足りませんw
 特に今回は、大変内容の濃いセッションでしたので、かなりの分量になってしまい、急遽、分けて公開することにしました。
  ※後編を本ページに追記しました!update 2010-08-29 !!
 そのため、いつにもまして長くなってしまいましたが、気合を入れて書き上げたので、どうか最後までお付き合い下さいね!
 またリプレイの感想も首を長くして待っていますので、もしよければ最後に一言書き込んで頂けると嬉しいです!

 それでは今回も行ってみましょうか。
 まずは、キャラクター紹介から。

フリン・ファイヤーフォージ ドワーフのファイター10、Kさん
 戦闘は容赦が無い頑固物のドワーフ。速射が得意。最近は何故か壁役の前衛。
 D&Dミニチュアを集め過ぎ、部屋に入らなくなって引っ越した程w

ヴィヌク・キル=キューミィー 人間のクレリック6/ファイター1/ナイト・オヴ・ザ・クラウン2、JarkJaxさん
 アングリフと同じく、ソラムニアの冠騎士。
 〈真の神々〉の探索をするアングリフの後を追ってパーティに合流。
 見事、神々のしるしを見つけ、癒しの力に目覚めたが〈氷壁〉にて白竜スリートの凶牙に倒れる。
 しかしエルゴスで出会ったカガネスティ・エルフのシルヴァラによってエルフに転生し、復活。

トビン・ディープポケット ケンダーのレンジャー1/ローグ4/ハンドラー5、私
 ドラゴンも恐れない非常に好奇心旺盛な小人族ケンダー。
 パーティの雑務担当。得意技はスリ(ハンドラークラスの特徴)と、ケンダーの遠近両用便利武器であるフーパックでの急所攻撃。
 最近フーパックではダメージが出なくて、弓に浮気中。

ゴールドムーン 人間のクレリック10、ふーさん
 ケ=シュ族の族長の娘にして、善なる癒しの女神ミシャカルの僧侶。
 エリスタンにミシャカルの円盤をもたらし、信仰のメダリオンを授かる。
 好きな武器はスリングで、得意技はホーリー・スマイト。
 今日は残念ながらお休み。

シルヴァレン エルフのレンジャー10、真由利さん
 クオリネスティ・エルフの、ハーフエルフのタニスの母親の次女が、カガネスティで恋に落ち、二つのエルフ氏族の間に産まれた子という設定。長い……。
 成長し、ギルサナスに拾われて彼の隊に入るも、パックス=タルカスで捕らわれの身となっていた青年。
 動物の相棒、次元界から来た大猪、森の王ハークノスを従える。

ラド・グエル 人間のウィザード10、ジョウセンさん
 白でも赤でも黒ローブでも無い、〈大審問〉を受けてもいないはぐれ魔導師(Renegade Wizard)。
 〈上位魔法の塔〉からドラゴンオーブの保管を命じられる。
 呪文選び3年、立ち位置8年とウィザード道を説く範囲攻撃の達人。

アングリフ・ブライトブレイド 人間のファイター/ナイト・オヴ・ザ・クラウン、植埜さん
 "My Honor is My Life!"が口癖の竜騎士を目指す本物のソラムニアンナイト。
 ランス突撃を得意とするチャージャー。
 クオリネスティ・エルフの〈太陽の評議長〉の娘ローラナを手篭にしているばかりか、
 最近では、シルヴァネスティ・エルフの王女アルハナ・スターブリーズまで……。

 そして、DMはお馴染みの霧島さんです。

 ちなみに一緒に冒険しているNPCのみなさん(格闘ゲームでいう背景の絵の人達)です。

ローラナ・カナン クオリネスティ・エルフの〈太陽の評議長〉の娘。パックス・タルカスに捕らわれていた。
シルヴァラ パーティを〈霧籠りの谷〉へと導くカガネスティ・エルフの女性。
 果たしてその正体は?
ルールについて
ここでD&D初心者向けに簡単なルールを書いておきましょう。

▼遭遇(Encount)というシーンごとに話が進む
 D&Dの遭遇には次の二種類があり、それが入れ替わり立ち変わり重ね合い、物語を構成していきます。
 ・戦闘遭遇 … D&Dのルールの大半を占めるクリーチャーとの戦闘
 ・戦闘以外の遭遇 … ムービーシーンやら、キャラクターのロールプレイ、何かアクションに対する技能判定など
 何かの判定には、1d20を行ない、目標の値より高い目が出れば成功です。

▼戦闘遭遇の場合
 D&Dでは戦闘はターン制で、敵味方が最初に1d20を振って決めたイニシアチブの順に行動します(このリプレイではイニシアチブは省略してます)。
 ただし、待ち伏せなどをされて不意打ちを受けた場合は、この限りではありません。
 
 自分の順番が来ると、キャラクターは、大雑把に言うと、
 ・標準アクション … 攻撃や何か具体的な行動
 ・移動アクション … 移動、他
 の2つの行動を行なうことができます。

 さらに攻撃方法には
 ・近接攻撃 … 近くの敵に剣などで攻撃
 ・遠隔攻撃 … 遠くの敵に弓などで攻撃
 ・魔法や特殊能力
 などがあります。

▼近接・遠隔攻撃方法
 武器などで攻撃をする場合は1d20し、自分のキャラクターの修正値を加え、敵のAC(アーマークラス)より高い目を出せば命中で、ダメージロールをして敵のHPを減らすことができます。
 敵のACはPC(プレイヤーキャラクター)には分からないので、PCが振った攻撃ロールは、命中したかどうかDM(ダンジョンマスター、ゲームマスターのこと)が判定することになりますが、このリプレイではDM判定の部分を省略して書いていることがあります。

▼魔法等による攻撃方法
 魔法などの場合は攻撃を受けたキャラクターが、攻撃の種類に応じて頑健・反応・意思の何れかのセーヴ判定(セーヴィングスロー)を行ないます。
 1d20してセーヴ修正値を加えた値が、攻撃側のキャラクターの目標値を越えなければ魔法は成功し、効果を発揮します。

▼移動方法
 D&Dの戦闘は1マスが5フィート四方の戦闘フィールドで行なわれ、キャラクターの移動速度によって1回の移動アクションで進むことができるマスの数が決まっています。
 斜めに移動するときは複雑で、1マス目の斜め移動は移動1マスと考えますが、2マス斜め移動する場合は移動3マス分と考えます。
 また、標準アクションも移動アクションに変更することが可能で、そのターンは全力で移動することにより、2倍移動することができます。

▼戦闘以外の遭遇
 非戦闘時では、主に技能判定によって具体的な行動を行うことができます。技能判定は、キャラクターが行動したアクションに対する成功か失敗の判定を行なう場合に使用します。
 キャラクターはその状況に対応する技能を選択し、1d20をして対応技能の修正値を目に加えます。その状況の難易度より高い目を出せば、その行動は成功したと考えます。
 基本的には判定となる目標値も本来DMしか把握しておりませんが、攻撃の場合と同じく、このリプレイでは省略して書いていることがあります。

前回までのお話


 廃都ザク=ツァロスから〈真の神々のしるし〉を持ち帰ったパーティは、クオリネスティの〈太陽の評議長〉の息子ギルサナスらと共に、〈パックス=タルカス〉の砦に捕らわれていた数百人の避難民を解放した。
 彼らを引き連れてパーティは南へ逃れ、失われたドワーフの地底王国トルバルディンを見つけ、伝説の英雄ヒューマの武器ドラゴンランスを鍛えたという〈カーラスの槌〉を発見する。 
 さらに、タルシスで新たに加わったソラムニア騎士たちと共に、竜を支配する力を持つというドラゴンオーブを求めて〈氷壁〉へと向かい、〈氷壁城〉でドラゴン卿フェアル=サスと白竜スリートを打ち破りオーブを入手した。
 そしてサンクリストへ帰還する途中、巨大なイカに襲われ船が難破し、南エルゴスに流れつく。クオリネスティ・エルフに監禁されてしまったパーティは、そこで出会ったシルヴァラというエルフの女性の導きによって脱出し、ドラゴンランスの秘密が隠されているという〈霧籠りの谷〉へ辿りついた。
 そこは晴れることのない霧によって外界から閉ざされた忘れられた谷。彼らが目にしたのは、巨大なドラゴンの石像とヒューマの墓。しかし、人が長く足を踏み入ることがなかったこの場所にも、ドラゴン軍の魔の手がすぐそこに迫っていた……。


鳥人間の集落


 ヒューマの墓にあった井戸の移動装置を発動させ、パーティが辿りついたのは、ドラゴンの巨大石像の立っている崖の中腹でした。

トビン「えー、あの崖を登らないといけないの?」

 近場でドラゴンの石像を見上げると、まるで難攻不落の砦のように見えます。
 ドラゴンの石像に行くには、この崖を登らないといけないようです。
 さらに周辺を眺めると、パーティがいる場所から半マイルほど岩棚に沿って行ったところに、集落のような場所があることに気づきます。
 集落の平坦な場所には手入れが行き届いた果樹園もあり、人が住んでいるようです。

トビン「こんなところに人が住んでいるのかな?」
ラド「まぁ、少なくともドラコニアンたちじゃないと思うが」
フリン「とりあえず行ってみるとするか。何か情報を聞き出すことができるかもしれん」

謎の集落

 岩棚に沿って集落の方に移動するパーティ。
 近づくにつれて、岩棚に出来た牧草地に、鳥によく似た人型生物が何頭かの山羊を連れて歩いています。
 その背後の崖には、先程はわかりませんでしたが、浅い洞穴のような穴が何百も空いており、時々、その生物が出入をしています。

トビン「鳥人間ってハーピー!?(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
DM「少なくとも女性ではありませんね。髭が生えてますw」
ラド「ハーピーではなさそうだが、〈知識〉判定をしてみよう」
トビン「ボクは"ケンダーの伝承"で達成値23」
シルヴァレン「私は〈知識:自然〉で達成値27」
ラド「同じく〈知識:自然〉で達成値23」

DM「いいでしょう、3人にはわかりました。彼らはキュリーと呼ばれる鳥人間ですね。君たちが気づくと同時に、上空から何匹かのキュリーたちが降りてきましたよ」

アングリフ「何だと!?武器を構える!」

 突然の突風と共に、パーティの正面に降りてくるのは、茶金色の羽状の腕を持ち、鷲のような鉤爪の足をした、頬髭の男たちです。
 彼らの腰にはシミターが取り付けられたベルトを付けており、矢が装填されたクロスボウを手に持って構えています。

ヴィヌク「アングリフ、武器を下ろせ。彼らは恐らく警戒しているだけだ」
トビン「そりゃ怖いよね。大型化したドワーフやら猪やら連れているもんw」
ラド「どう見てもモンスターが襲ってきたとしか思えないよなw」

キュリー「止まれ。お前たちは一体何者なのだ? ここへ何しに来た?」
フリン「ワシらは怪しいものではないですじゃ。ワシはドワーフのフリンと申します。理由あってこのように大きくなっておりますが、根は優しくて──」
PL「いや、あんた数分おきにハークノスさんにエンラージ・パーソンをかけなおしてもらないと、大型の体型を維持できないからw」
アングリフ「ではいつもの自己紹介を──私たちはソラムニア騎士とその仲間たちだ。かくかくしかじかで、この女性、シルヴァラの導きの元に──」
DM「シルヴァラはそっぽをむいていますよ」
PL「何でだよw」

キュリーの警告

キュリー「ソラムニアキシ?聞いたことがないな。お前たちはあのドラゴン人たちの仲間か?」
アングリフ「ドラゴン人だと? 奴らは我々の敵だ!」
フリン「ドラゴン人たちの横暴と侵略から世界を守ろうとして、我々はここにやってきたのじゃ!」
ヴィヌク「ソラムニア騎士を知らないのか」
トビン「どれだけ田舎なんだろw」
ヴィヌク「我々はソラムニア騎士といって、世の中に愛と正義を広めようと頑張っているのだが、ここまでは伝わってないようだな──」

キュリー「我々では判断できない。とりあえず我らの王のところまで来てもらおうか」
フリン「結構我々は急いでおるのじゃがの……」
PL「www」
シルヴァレン「そうだ!君たちは今、何か困っていることがあるのか? もしそうなら手助けをしてやることができるかもしれないぞ?」
ラド「いやいや、今一番彼らが困っているのは、我々が来た事だからwww」
トビン「確かにw」

 崖に空いた穴のひとつに案内されるパーティ。
 幸い、その穴は歩いても入れそうな高さの穴で、周りの穴より一回り大きくなっています。
 パーティは何匹ものキュリーたちに囲まれて、奥の族長の部屋まで案内されました。

族長「お前たちか、侵入者というのは。我はこのアアラコクラ族の王、ストームクロウだ」
PL「嵐の爪!(゜∀゜)カコイイ!」

ストームクロウ「お前たちは、あの忌々しいドラゴン人たちを退治しに来たと言ったな」
トビン「そうだよ! ボクたちはすでにドラコニアンはおろか、邪悪なドラゴンも倒してきたんだ!」
ラド「我々はドラゴン人が倒すと石になったり、爆発したりするのも知っている! 大変な目にあったがなw」

 じっとラドの目を見つめるストームクロウ。

ストームクロウ「ふむ。どうやら嘘は言っていないようだな。実は、数日前にドラゴン人が突然現れて集落を襲い、部族の王子である、私の息子スカイダンサーが負傷してしまったのだ。もしかしたらもう助からないかもしれない」
トビン「あんたたちは運がいいよ! ボクたちには"癒し手"がいるんだ!」
ヴィヌク「そうだ。パラダインの御加護により私は癒しの力がつかえるのだ。その王子をちょっと診せて頂いてよろしいか?」

ストームクロウ「パラダインだと? かつて、我々の間にも女神シスレブを信仰するものが癒しの力を持っていた。だが、その力は〈大変動〉以来失われてしまったのだ。まさか、おまえがその癒しの力を持っているのか?」

ラド「シスレブ?〈知識:宗教〉判定をしてみよう。達成値28」

シスレブ
 自然、獣、野生、世界の母、中立の神
 シンボル:茶と黄と緑の羽
 好む武器:ショートスピア
 古の神々の一人。
 彼女の力の源は、自然界、廻る季節、荒野。
 Dragonlance Campaign Setting, Page 125.
茶と黄と緑の羽

ラド「シスレブ?自然の神か」
ストームクロウ「ほう、そこの人間は詳しいようだな」
フリン「族長殿、ワシらの癒しの技を目の当たりにすれば、邪悪なドラゴン人と戦うために善の神々が帰還したことを悟るじゃろう!」
ストームクロウ「よかろう、ついて来い」

ラド「ねぇ、大風呂敷を広げているけど、ここまで来て治らなかったらどうするのさw ただの怪我ならいいのだけど、呪いとかだと厄介だぞ……」
ヴィヌク「リムーヴ・カースか、俺無理かも」
トビン「ゴールドムーン、今日は休みだしw」
PL「ちょwww」

 パーティは王子の部屋に案内されます。
 部屋では若いキュリーが柔らかい干し草の上に苦しそうに横たわっていました。
 ベッドで高熱をだしてうなされている

ストームクロウ「この哀れな姿のワシの息子を見てくれ。このとおり、高熱を出して魘されておる。それをお前たちが治してくれるというのか?」

ヴィヌク「ふむ」
トビン「まずは〈治療〉判定をして症状を診てあげなよ」
ヴィヌク「どうせ刀傷なのでしょ?」
ラド「治療に(技能ポイントを)割り振っていますよね?」
ヴィヌク「……〈治療〉判定ってなんのことですか?w」
トビン「でも(技能無しでもベースとなる)判断力は高いでしょ?」
ヴィヌク「まあ低くは無いけどさ」
ラド「じゃ俺振る、14。うーん、これは擦り傷だな」
トビン「ボクも13、熱が出ているのは傷口からバイ菌が入ったせい?」
フリン「やめいやめい、患者を前にして素人があれこれ言うのじゃないw」
PL「www」
DM「うーん、まぁ素人目には刀傷ですね」
ストームクロウ「イライライラ──」
PL「www」

ヴィヌク「と、とりあえずエンデュア・エレメンツを治癒呪文に切り替えて、キュア・ライト・ウーンズを発動させよう。コロコロ、9点治りました」

 ヴィヌクの呪文により、たちまち王子の刀傷が綺麗に塞がります。
 時間と共に、段々と王子の呼吸も穏やかなものになります。

キュリーたち『おお!奇跡じゃ!』
ヴィヌク「パラダインよ、感謝します」
ストームクロウ「お前たちの言うことは正しかったのか! 〈古の神々〉が帰還されたのか!」
ヴィヌク「ちらっとパラダインのメダリオンを見せますw」
キュリーたち「それはまことの神々のしるし!?」
ストームクロウ「お前たちの言うことを信じよう。お前たちはあのドラゴン像に行こうとしているのだな。我々はあそこへは入ったことが無いが、秘密の入口なら知っている」
PL「おおw」

テオ「僕はこの人たちとここに残るよ。君たちが武器を持って帰ってくるのをここで待っているよ」
ヴィヌク「えーw 研究は?」
テオ「いや中は危険そうだしw」
シルヴァレン「まぁ傷の癒えた王子さまの相手でもしているのだな」

ストームクロウ「ちなみにドラゴン人はすでに像へ行ったようだ。お前たちも急いだほうがいい。我々が像の入り口まで飛んで運んでやろう」


ドラゴン像の中へ


巨大ドラゴン像

 
 秘密の入口は、ちょうどドラゴンの背中、翼の付け根の部分にありました。
 パーティたちはキュリーたちに運ばれてそこまでやってきました。
 目の前には石造りのドアがあり、すでに誰かが入ったのでしょうか。小型の人型生物が通れるくらいの隙間が僅かに開いていますが、まだ蝶番が掛かったままになっています。
 またドアの隙間からは、微かに光が漏れています。

ドラゴン像入り口

シルヴァレン「ドラコニアンに先を越されたようだな」
トビン「ボクなら入れそうだし、ちょっと見てこようか?」
フリン「いや危険じゃ。扉は力づくで開けよう。【筋力】判定じゃ。達成値23」
DM「OK、難なく開きましたよ」

 フリンが重い石の扉をズリズリと開けます。その先には幅が10フィートの通路がずっと奥に続いており、通路の先に部屋があるのがわかります。
 奥からは、コロコロとダイスを振る音や、シューシューと蛇が舌を出す音が聞こえ、その声の主達は時折、ギャーギャーと唸ったり喜んだり、怒ったりしています。

シルヴァレン「ドラコニアンか?」
トビン「ダイス遊びしているようだね」
ラド「見張りかいるのか? まだ俺たちに気がついていないはず。不意打ちするなら今のうちだな」

門番のドラコニアンたち

 ──というわけで先に気がついた三人の不意打ちラウンドから戦闘が始まります。
 
シルヴァレン「さて、壁ごしで遮蔽になるけど、部屋にいる敵を狙おう。コロコロ、AC18まで……チッ、外したか」

 ドラコニアンの前のテーブルの上にシルヴァレンの撃った矢がブスッと刺さります。

ドラコニアン「何だ!?」

シルヴァレン「ハークノス、今のうちに前に出るのだ!」
ハークノス「ブヒーィ(移動終了)」

トビン「ボクは移動しながら〈隠れ身〉(達成値27)して敵の様子を伺うよ!」
ラド「俺も呪文が撃てる位置まで移動かな」

 そこは、高い天井を持った古い礼拝所でした。
 礼拝所は、40フィート先の突き当たりで、部屋を左右に横切る通路に面しています。部屋には長椅子がその壁に沿って設置されており、突き当たりの壁には大きなタペストリーが掛かっていて、その下には小さな祭壇が祀られています。
 祭壇の前には二体のシヴァク・ドラコニアンが酒を飲みながら、テーブルの上でゴブレットにダイスを入れて遊んでいました。
 不意打ちに気付いた彼らは直様グレートソードを手にしましたが、入り口から大型の猪が侵入してきたことに気が動転しているようです。

 さぁここから通常ラウンドです。

シルヴァレン「よし今だ!ハークノス、突撃!」
ハークノス「ブヒィー!」
フリン「これで扉閉めて3分待ったら敵を片付けてくれてそうじゃw」
ヴィヌク「それいいなw」
トビン「ハークノスさん!応援していますw」

シルヴァレン「ええとハークノスの攻撃は、コロコロ──AC15まで。ミス」
ヴィヌク「ダメじゃん、ハークノスさん」
ラド「ハークノスさん、やる気あるの?」
トビン「さっきと言っていることが違うw」

シルヴァレン「私は、うーん。ここからだと遮蔽が入るなぁ。ダブルムーヴして遮蔽がなくなる位置に移動し、攻撃は……あぁアクションが足らない」
PL「ここでアクション・ポイントを──」
PL「これD&D4版じゃないからw」
PL「代わりにドラゴンランスの特技には《ヒロイック・サージ》があるよ!」

《ヒロイック・サージ》
 1ラウンド中にキャラクターが行うことができる行動は、攻撃などの標準アクションと移動アクションをそれぞれ1回だけですが、この特技があれば、自分の番の行動の前後に、追加の移動または攻撃アクションを1回行うことができる。
 一ラウンドに一回、一日に4キャラクターレベル毎に1回使用することが可能。
 War of The Lance, page 36.
シルヴァレン「その特技は取ってないから──」
トビン「では、ボクの番か。ここからだと敵への射線が通っていなくて見えないんだよな。同じくダブルムーブして終わり」

アングリフ「愛馬スタームで部屋にはいる、以上終了」
トビン「スタームを連れて来ているの!?」
フリン「やれやれw」
ヴィヌク「馬を担がせて飛んできたらしいw」
トビン「キュリー可哀想www」
ラド「てか、この人馬がないと弱い人だからw」
PL「www」

 ドラコニアンたちは突然部屋に飛び込んできた侵入者たちに驚きながらも、我に返ると、それぞれグレートソードで侵入者たちに跳びかかります。

ドラコニアン「侵入者め!馬とまとめて馬肉にしてやるわ!」

 アングリフは〈騎乗〉判定で敵の攻撃を避けようとしますが、間に合わず、彼の愛馬にドラコニアンの剣が刺さります。

DM「コロコロ、ダメージは8点ね」
スターム「ヒヒィーン!!」

 もう1匹のドラコニアンは大型の猪を相手にしていますが、その鋼のような硬い毛によって守られた猪の外皮になかなか剣を突き立てることができず、苦戦しているようです。

門番たちとの戦闘1

ラド「じゃ俺も移動して部屋の入り口に立って。こ、この状況、うわっwウェブ撃ちてぇ!」
トビン「ちょうど入るし撃っちゃえw」
ラド「撃ったら怒られるでしょw うーん、ヘイストは前回のセッションで使ったし、残り一発だけだし、どうしよ。まずは……(使った呪文をリセットするため)寝るかw」
ヴィヌク「おいw」
ラド「やることないから、ここで防御専念w」

フリン「何じゃあの魔法使いは。ワシは移動するぞ、1、2、3、4……」
トビン「何かデカイの来たよw」
ヴィヌク「おいおい、そこ邪魔だよ! 俺が進むところだよ!」
フリン「でもワシ、ダブルムーブしてもここまでしかこれないんじゃ──」
トビン「ちょっと! フリン狭い!
フリン「アタシそんな邪魔?」
ヴィヌク「何故にオカマ言葉をw」
フリン「もう、いいわよ! アタシ、ここに立つわ、皆がブーブー言うから。このラウンドはこの通路を通って終わりよ! もう、部屋に入る前に戦闘が終わっちゃうわ!」
PL「www」

 これで1ラウンド目が終わりますが、攻撃しているのはシルヴァレンとハークノスだけ。
 皆、10フィート幅の部屋に入る通路の中で、「押すな押すな!」「俺も俺も!」の大合唱です。

シルヴァレン「では私は全力攻撃で矢を3発撃ちます。コロコロ、それぞれAC25、AC24、AC18まで。結果は2発明中、ダメージ計25点!さらにハークノスに攻撃命令を!」
ハークノス「ブヒィ!」

 間合いを詰めるべく、ドラコニアンの方にへ寄って噛み付こうとしますが、大猪の攻撃は今度も外れます。

トビン「しようがないね。ではケンダーの罵りで敵を逆上させてみよう。『やーい、そこのトカゲ男! お前たちの攻撃なんて当たらないし、ワザと当たってやっても全く痛くないじゃんw そんなにでっかい図体しているのに、おつむはホントのトカゲ並なのかよwww』ってことで、〈はったり〉判定の達成値が21」

DM「コロコロ、失敗……。orz」
シヴァク「何だと!? この腐れケンダーめ! おまえの皮を剥いで、袋にしてやるわ!」
トビン「え?ボクが袋に? ケンダーの袋ってどんな気分だろう、ワクワクするなぁw」
PL「このケンダー、憧れているwww」
トビン「では。彼は2ラウンド間、ACと攻撃ロールに-2のペナルティね。よろしくw」
シヴァク「……くっ!」
ラド「かといって、次のアングリフの出目が、2良くなることはない」
トビン「でもさ、ACが下がっているから当たりやすく──」
アングリフ「ギャァァ、出目1を振ってしまったぁーー!」
PL「うはwww」
トビン「何やってんのwww せっかく罵りをしたのにw」

アングリフ「こうなれば、馬にも攻撃させるか。行け!スターム!コロコロ、蹄二回攻撃。両方……失敗」
ヴィヌク「冴えねー奴w」

シヴァク「よーし、おいケンダー、覚悟しておけよ!この馬鹿騎士を倒したら、次はお前だからな! 馬に尻尾で足払い。コロコロ、AC26まで」

 隙を見せたアングリフの馬に、シヴァク・ドラコニアンが体を捻らせて尻尾を馬の足に当ててきます。

アングリフ「〈騎乗〉判定で避けるぞ!コロコロ、うあぁ出目2。今日は厄日だ……。orz」
シヴァク「では転けろ!コロコロ、足払い目標値15!」
アングリフ「ええっと、馬は四足だから修正+4で、よし対抗判定19で成功だ!」
シヴァク「チッ、ではそのまま馬に全力攻撃!グレートソードでAC15まで、ミス。噛み付きAC25まで、命中!ダメージは6点!」

 一方、ハークノスと対峙しているシヴァク・ドラコニアンの方は、苦戦しているようです。
 大猪に尻尾で足払いをして全力攻撃をしますが、攻撃はすべて外れています。

シヴァク「くそっ、この忌々しい猪め!」

ヴィヌク「何だか敵も味方も攻撃が当たらないし、このまま部屋に入れそうだな」
トビン「確かにw」
ヴィヌク「では、大きいフリンの立ち位置を空けておくか」
トビン「どうせボクらがいる通路を通りぬけるには、"無理やり入り込む"必要があるし、1移動アクションで2マスしか動けないよw」

無理やり入り込む
 キャラクターは、自身が占めるマスより小さなマスに入り込むことができる。
 その場合、移動力が半分になり、攻撃ロールとACに-4のペナルティを受ける。
 さらに一回り小さなマスを通り抜ける場合は、〈脱出術〉技能に成功する必要がある。
ラド「おいおい、俺の立つ場所を塞がないでくれよ!」
トビン「じゃ、次のフリンは立ち位置はこのへん? "フリンの場所"って書いておくねw」
フリン「なんじゃワシ。まだ部屋に入れんのか……」
ラド「いい加減、元に戻れよw」
ヴィヌク「じゃ俺はここを──」
トビン「あ、そこダメ!フリンが通るとこ!」
ヴィヌク「わかったよ!じゃ順番を遅らせるよ!」

 ハークノスさんのエンラージ・パーソン能力で常時大きくしてもらっているフリン。攻撃力が上がるので強くはなるのですが、移動力が増えるわけではないので、当然動きは鈍くなります。

行動遅延

ラド「では、ここまで移動してグリッターダスト、ハークノスの前のドラコニアンに!」
DM「呪文抵抗ありますよ」
ラド「あるの!?コロコロ、よし23で抜けたろ!意志17でセーヴをしてくれ」
DM「敵は失敗。盲目になりました」
ラド「よし、9ラウンド盲目で!」

DM「はぁ。次は?」
トビン「やっと出番がきたね!フリン」
フリン「大きくて、ゴメンなさいね」
ヴィヌク「またオカマ言葉かw」
フリン「全力移動で……終わり(精一杯身を縮めて申し訳なさそうにw)」
PL「www」
ヴィヌク「じゃ俺も動くね。これでやっと部屋に入れた。俺の番も終了」

 こうして戦いは3ラウンド目に入ります。

ラド「やっと戦闘らしい配置になってきたな」
ヴィヌク「俺もこのラウンドで接敵できる」
フリン「あ、ワシ。ヴィヌクが邪魔で前に出られん……」
ヴィヌク「何?俺、ここに立ってはいけなった?ご、ゴメンw」
PL「www」
フリン「もーっ!アタシはこの通路、早く出たいのにっ!」
ラド「いや、だから小さくなってよw」
フリン「いいの!オトコは大きい方が逞しいのよ!」
PL「www」

シルヴァレン「あの、私の番なのだが、やっていい?」
PL「いいw」
シルヴァレン「じゃトビンが罵った奴に、弓で全力攻撃。コロコロ、AC20、AC19、AC37、罵りの影響で当たりやすいな。全弾命中!ダメージは計33点!」
PL「おおw」
シヴァク「グァァァ、憎きエルフめ──」

フリン「ちょ、ちょっと待って!アタシが出る前に死んじゃったら!」

 もがき苦しみながら、倒れるシヴァク。

フリン「ちょっと待ってぇー!」
PL「www」

ラド「このままだとハークノスに、もう一匹も持って行かれるな。俺はこの戦闘では一応グリッターダストを撃ったからいいか」
トビン「ボクは罵り……?」
アングリフ「私は、敵の攻撃を受け流し」
ヴィヌク「フリン……」
PL「www」
シルヴァレン「では、ハークノスは、敵に攻──」
ヴィヌク「皆!今、我々の中で問題になっているのはスペースの確保だ!」
フリン「そうよ!敵なんかより、大問題はスペースよ、スペースの確保よ!」
ラド「違うからwそれ目的が違うからw」
PL「www」

シルヴァレン「……ではハークノス、敵の後ろに回りこんで攻撃だ!」
ハークノス「ブヒィ!(攻撃AC18まで命中!ダメージ23点)」

トビン「次はボクだ。移動してフーパックをショートスピア扱いで投げるよ!コロコロ、AC27まで命中!ダメージは急所が入って8点!」

 先に部屋に入ったシルヴァレンたちは確実にダメージを与えていきます。

アングリフ「私は、《強打》を4点入れて、コロコロ──。ダメだ今日は目が悪い」

 あ、ここに情けないのがもう一人いましたw

ラド「まぁまぁ、一応言ってみて」
アングリフ「AC15まで」
DM「それはミスですw」
PL「www」
アングリフ「では馬で攻撃……出目1
PL「ダメすぐるwww」

 残った一匹のドラコニアンは、アングリフたちを必死に攻撃しますが、彼らには全く攻撃が当たりません。

DM「次は誰?」
ラド「俺。防御専念して終わり」

DM「では次は、フリンさんですね!」
フリン「おお!」
トビン「嬉しそうw」
フリン「もう!あなた達と縺れ合っている間に、戦闘終わっちゃうかと思ってしまったわ! 移動して……、はいちょっとごめんあそばせw」
ラド「もういいからw」

フリン「移動して──あぁ、ここにヴィヌクが! アナタ!何様のつもりよ!
ヴィヌク「はいはい、順番を遅らせてくれれば、俺退くからw」
フリン「もうっ!早くしてよねっ!」
ヴィヌク「はいはい、移動して、攻撃してハズレか……はいフリンの番ですよ」

アタシの番

フリン「アタシの順番キタワ(゚∀゚)!! コロコロ、あ。クリティカル・ヒットしちゃった!
トビン「初攻撃で初クリティカルおめでとw」
フリン「ではショックの電撃ダメージと通常ダメージで、計61点ダメージ
PL「おおw」
PL「今まで貯めていたもがw」
フリン「やったわ!アタシ、倒したわ!」

 突然目の前に現れた大型のドワーフに、真っ二つにされてしまうシヴァク・ドラコニアン。
 絶命と同時に、彼の姿はフリンの姿に変わります。

 戦闘終了です。

トビン「では彼らの装備を漁るね」

戦利品
 鋼貨6枚、
 大型のグレートソード×2
 大型のスタテッド・レザー・アーマー×2
ラド「そういえば、祭壇に何かなかった?」
DM「タペストリーがかかっていますね」

 祭壇のタペストリーには、星座が輝く空をバックに、輝く銀の鎧を着た戦士と堂々と座る強大な竜が描かれているようです。

ラド「では、〈知識:歴史〉達成値28で何かわからない?」
ヴィヌク「俺は〈知識:王侯貴族〉達成値20だ」

 彼らは空から欠けている星座があることに気が付きました。
 それは人々の間でドラコ・パラディンと呼ばれるプラチナ・ドラゴンで、輝く銀の鎧を着た戦士はその化身のパラダインです。

ヴィヌク「ふむ。ここはパラダインの礼拝施設だったところのようだな」
ラド「ドラゴンの石像の中にこのような施設があるとは実に興味深い」

アングリフ「我が愛馬が……ヴィヌク卿、回復を頼む」
ヴィヌク「16点ダメージを受けているのか。では、デヴァイン・フェイヴァーを潰してキュアに変えて治すよ。ハークノスさんの分は──」
シルヴァレン「ハークノスはヒット・ポイント190あるのでいいですよ」
フリン「凄い!ワシ、ハークノスさんになりたいw」
PL「www」
アングリフ「俺もドラゴンに跨るのは諦めて、ハークノスさんに跨ろうかなぁw」
DM「熱い目線を皆から浴びるハークノスさんw」
トビン「後ろでスタームがアングリフを悲しい目で見ているよw」
PL「www」
アングリフ「そのためにはシルヴァレンから引き剥がす必要があるな」
フリン「なんと邪悪なwじゃワシがその熱い視線を見て、こっそりハークノスさんの側に行って耳打ちしようw」
PL「www」
フリン「気をつけてくだされ、ハークノスさん。アイツに跨られると、碌な事にならないですぞ!」
ラド「そうそう、攻撃が当たらなくなるぞw」
PL「www」
フリン「これはワシらの中では、"アングリフの呪い"と呼んでおってじゃな──」
PL「www」
ラド「あの馬が何代目か知っている?」
フリン「すでに六代目じゃぞ!ほれ、いつもアングリフがスターム!と叫んでいるじゃろ?」
アングリフ「いや、ハークノスさんなら今度こそ大丈夫だから!」
PL「今度こそってwww」


寺院の探索


 見張りのドラコニアンを倒したパーティは部屋を調べて傷の手当をすると、先の部屋の探索に入ります。
 礼拝所の奥の左右に走る通路の先にはそれぞれ別の部屋に繋がっているようです。明かりを照らして様子を見ると、かつてここにいたパラダインの僧侶たちが使っていたのでしょうか、部屋にはボロボロになった寝台が幾つも並べられていることがわかります。また、それぞれの部屋の奥には扉があるようです。

トビン「じゃ右の部屋から調べようかな。ちょっと行ってくるよ。右の通路の先の部屋に移動して、扉を調べるね。ええっと、達成値10」
PL「10ってww」
DM「鍵がかかっていますよ」
トビン「〈解錠〉の判定は、出目1。でも達成値は11だ!」
DM「開くわけないでしょw」
PL「www」
トビン「くそ、手強い鍵だぜ! とりあえず〈聞き耳〉してみよう。達成値19。音は聞こえないね。念のため、〈捜索〉して付近の足跡を調べておこう。達成値13、何も見つからないや」
PL「ダイスの目が良くないwww」
ヴィヌク「何かあったか?」
トビン「な、何もなかったよ! では左の部屋に移動しよう。念のため〈忍び足〉、達成値7。へぎっ!
DM「途中でコケたw」
トビン「しーw」
パーティ『しーw』
PL「ドリフのコントですかw」

トビン「では扉の前まで来て〈聞き耳〉、達成値18。こっちも何も聞こえないね。扉を〈捜索〉して達成値30。今度はいいぞ!」
DM「罠はなさそうですよ。でもこちらも鍵がかかっているようです」
トビン「〈解錠〉で達成値22」
DM「はい、ではここでトビンは〈聞き耳〉してみて下さい」
トビン「へ?ええっと〈聞き耳〉の達成値22」

 扉の鍵を開けようとしていたトビンの耳に、部屋の中の方からゴトッと何かの物音が聞こえました。
 トビンが振り向くと、そこには新たなドラコニアンがトビンに襲いかかろうとグレートソードを振りあげたところでした。

トビン「あ、ドラコニアン!?」

不意打ちをされるトビン

 再び戦闘開始です。

アングリフ「トビーン!!」
フリン「やめい!あのセリフはヤバイぞw呪いの言葉じゃw」
ラド「確かにw 今まで幾多の馬が彼の餌食になったか……」
トビン「やめてw」
DM「では隠れていたシヴァク・ドラコニアンの攻撃、行きますよ。コロコロ、AC13。低いけどトビンは今、立ち竦み状態だよね?」

 ハンドラーの素早い身のこなしで、トビンは彼の頭に振り下ろされるグレートソードをさっと避けます。

トビン「立ち竦み状態でもボクのAC21だから、それくらいじゃ当たらないのだけどw」
ヴィヌク「余裕だなw」
シヴァク「くっ、素早しっこいケンダーめ!」

ラド「じゃウェブでも撃ちますか」
トビン「久々にみたいw」
ラド「じゃ反応セーヴの目標値17」
DM「ドラコニアンは失敗」
ラド「では"絡みつかれた状態"になって、目標は蜘蛛の巣の中に埋まるよ。あまり奥にすると攻撃できないから、少しズラした。一応、遮蔽付きで攻撃できるかな」

 ラドがポーチから少量の蜘蛛の糸を取り出して何やら呪文を唱えると、粘着性のある蜘蛛の糸が幾つもの出現し、ドラコニアンのいる部屋を覆ってしまいます。
 逃げ遅れたドラコニアンは糸に絡まれて身動きが取れなくなってしまいます。

トビン「ボクは5フィート下がってクロスボウかな。コロコロ、蜘蛛の糸による遮蔽のペナルティを入れてもAC24まで命中ね。ダメージは4点」

ヴィヌク「俺は、前に出て順番終了」
フリン「何よ!また通路が狭いじゃない! 失礼しちゃうわ! ダブルムーブして終了」
アングリフ「私はジャベリンを抜いて構えて終了」
シルヴァレン「私もダブルムーブでフリンの前まで来て弓を構えて終了。そして、ハークノス!接敵しろ!」
ハークノス「ブヒィ!!」

ウェブ

 ここで次のラウンドです。

シヴァク「ふん!こんな糸、俺には効かぬわ! 【筋力】で脱出判定。コロコロ、達成値15成功!」
DM「というわけでこのラウンドは脱出に全力を注いだので、次からシヴァク・ドラコニアンは行動できます」

トビン「じゃ"ケンダーの罵り"行くぞ!『ねぇねぇ、君蜘蛛の巣まみれだけど、それどんな罰ゲーム? ねぇねぇ、教えて。蜘蛛の糸に絡まれるのってどんなキモチ?』という感じでw ええい!〈はったり〉達成値30」
DM「そんなの対抗判定勝てるわけないじゃんw」
シヴァク「け、ケンダー許すまじ!!そこを動くな!次でボコボコにしてやるから!」
トビン「へへんw やれるものならやってみろ?! これで彼の攻撃ロールとACに-2のペナルティw」

ヴィヌク「俺は移動してっと、呪文は後のために残しておくか」

フリン「次はワシか。一、二、三歩と移動してハークノスに跨る──」
ラド「いやw〈騎乗〉判定が必要ですからw」
フリン「やっぱりダメか……。では、ダブルムーブして終了か。今、ハークノスさんの機嫌を損ねると、小さくされるからのう。遠慮して脇に寄っておこう」
PL「www」

アングリフ「私は、ジャベリンを投げよう。コロコロ、出目2。今日の出目はダメだぁぁ!
PL「www」
アングリフ「とりあえず、次のジャベリンを抜いて構えておくか……」

 今日は全くダイス運に恵まれず失望するアングリフを尻目に、エルフの弓使いは次々と敵に矢を当てていきます。

シルヴァレン「私は矢を撃つぞ。速射で3発、コロコロ。AC23、AC12、AC25で2発命中か。ダメージは計21点」
PL「おお!」
シルヴァレン「続けて、ハークノスが出目20を出したけど、通常ヒット。ダメージは15点」

ラド「俺は、とりあえずクロスボウを取り出して装填して行動終了かな」

シヴァク「このケンダーめ!八つ裂きにしてくれる! コロコロ、AC22まで──ハズレ」
トビン「やーい、バーカバーカw ボクもクロスボウを撃つよ!コロコロ、出目1。(´・ω・`)」
シヴァク「ガハハ、お前こそバーカバーカw」
ヴィヌク「何だか楽しそうだなw 俺は皆を応援して行動終了だな!」

フリン「遂にワシの番が来たか!じゃ蜘蛛の巣の遮蔽越しに攻撃するぞ! 喰らえ、コロコロ。お、クリティカル!」
ラド「またかよw」
ヴィヌク「終わったw また持って行かれたw」
フリン「ちなみにダメージは51点じゃ!」

 またもやフリンのショック・ラージ・グレートアックスが火を吹き、シヴァク・ドラコニアンを真っ二つに切り裂きます。
 ドラコニアンは、絶叫と共にフリンの姿を取って倒れます。

DM「戦闘終了ですよ」
ヴィヌク「流石だよ!ノーダメージで倒しちゃったよ!」
フリン「まぁ、ワシの手にかかればこんなもんじゃ!」
トビン「はいはい、では敵の装備を回収ね!」

戦利品
 大型のグレートソード
 大型のスタテッド・レザー・アーマー
 ドラコニアンの装備や部屋の捜索をしましたが、特に目ぼしいものは見つかりませんでした。
 その後、彼らは〈解錠〉しようとした扉には入らず、部屋の奥で見つけた扉の方に進むことになります。

奥の扉の先は……


蹂躙する石像


 扉の先は、10フィート幅の回廊が奥に向かって伸びていました。

フリン「んっもぉ!アタシ、兎に角広いところに行きたいのに!」
PL「いや、素直に元の大きさに戻ればいいじゃんw」
ヴィヌク「……奥はどうだ?トビン」
トビン「回廊だね。奥で右に曲がっているよ。この様子だと、たぶん逆側の部屋も同じような構造になっているね。恐らく向うで繋がっているのではないかな」
ラド「確かに。それっぽいな」

寺院層の地図1

フリン「いっそのことハークノスさんに繋がっているか見てきてもらおう。ワシらここで寝て待ってればw」
DM「おいwww」
PL「www」

 さすがにそれはゲーム的にどうなのよ?ってな感じなので、ここは順道にハークノスさんを先頭にして、大型化したフリン、騎乗したアングリフと続き、廊下を進んで行きます。
 曲がり角のところまで廊下を進むと、通路は右に曲がってさらに伸びており、数十フィート進んだところで左右に流れる道と繋がっているT字路となっていました。
 さらにT字路のところまで進み、左右の通路の先を見たところ、右は40フィート先で扉、左の通路は10フィート先で突き当たりになっていました。

回廊を進むパーティ

トビン「じゃ、ボクは奥の扉のほうを調べてくる」
シルヴァレン「トビン、待て。突き当たりが怪しい。私が突き当たりの壁を調べてみよう。コロコロ、〈捜索〉達成値30」
DM「鋭いですね。隠し扉がありましたよ」
フリン「なんじゃと?」
トビン「おお!」
ヴィヌク「どうする?隠し扉を開けてみる?」
ラド「まぁ、隠し扉なのだから罠とかないでしょ」
シルヴァレン「じゃハークノス、お願い!」
ハークノス「ブヒィー!」
ラド「結局ハークノスさんかいw」
フリン「でもハークノスさん、手がないから開けるの大変でしょ?ワシが開けようか?」
ハークノス「ブヒィ?」
トビン「(・∀・)ニヤニヤ。結局、自分が一番に隠し部屋に入りたいだけなんだよね?フリン」
ハークノス「ブヒィ……」
フリン「そ、そんなことないわ。ほら、ハークノスさんのアノ言い方、ここは絶対アタシに開けて欲しいのよ!」
トビン「目が泳いでるwww」
フリン「じゃ、じゃ思い切って、えい!」

開けましたね

DM「開けましたねw(ニヤリ)」
PL「えっ?!」

 扉を開けると大型のドラゴンが立っていました。

パーティ『ええー!?』

 一瞬驚いたパーティでしたが、よく見るとそれはドラゴンを象って作られた石像で、とりあえずほっと胸を撫で下ろします。

パーティ「なんだ、石像かぁ」

 その時、石像からガコンと何か重いものが動いた音が聞こえたかと思うと、ゴゴゴゴーという地響きと共に、ドラゴンの石像が廊下にいたパーティに向かって飛び出してきました。

DM「てことで隠し扉から正面30フィート以内の廊下に出ている人は、全員反応セーヴをお願いします」
ラド「罠かよ!w」
ハークノス「ブヒィ!16」
フリン「25」
シルヴァレン「19」
トビン「32」
DM「達成値20、反応セーヴに失敗したら20点のダメージで伏せ状態になります」
パーティ『ギャーァ』

ジャガーノートの罠

 ハークノスとシルヴァレンは、突然迫ってきた石像を避けることができずに跳ね飛ばされてしまいました。

DM「ドラゴンの石像はジャガーノートの罠でしたw」
シルヴァレン「酷い目に会った──」
ヴィヌク「で、石像の立っていた場所や後ろには何も無いの?」
DM「無いですね、後ろも壁です」
ヴィヌク「ふざけんなよ!」
フリン「行き止まり?」
DM「はい。ちなみに、石像は戻ってきそうですよ」
PL「えー!?」
トビン「急いで、〈捜索〉達成値16。ゴメン、罠の制御装置見つからず──。orz」
ヴィヌク「どうすんだよ!」
フリン「またダメージ喰らうぞ!」
ラド「てか逃げないと!」
アングリフ「てか、壊せないのコレ?」
DM「やってみたら?」
アングリフ「よし、壊すぞ!ランスでガンガン殴る」
PL「うあwww」
DM「(力業にもほどがないか?)まぁ、当たりますよ。壊れていきます」
アングリフ「よっしゃ!当たるぞ!当たるぞ!うははは!」
PL「wwww」
フリン「そうかこの時のための素振りじゃったか」
ラド「そんなアングリフの姿を見て、ホロリと涙を流しますw」
PL「www」
フリン「よし、アングリフよ、今後も動かん敵には攻撃を頼むぞ!」
PL「ぷははwww」
PL「酷いなぁw」

トビン「えー、皆さんに残念なお知らせがあります。右手の通路の突き当たりの扉は単なる飾りでした。つまり行き止まりです」
パーティ「やられた……」
DM「(・∀・)ニヤニヤ」
ラド「DM嬉しそうだw」

 DMの望むまま、綺麗に罠にかかってしまったパーティなのでした。


隠し扉の先で待つもの


トビン「やっぱり内側の空間が気になるなぁ。こちらの壁沿いに隠し扉の〈捜索〉を出目20でしたいのだけど?」

 通路の先には罠以外何も見つけることができなかったパーティは、トビンが言うように、やって来た道を〈捜索〉しながら進んで行きます。
 で、見つけた隠し扉がここ。

見つけた隠し扉がここ。

寺院層の地図2

 先ほど、ドラコニアンが隠れていた部屋です。
 ここまで調べるのに50分ほどかかってしまったので、パーティのメンバーにかかっている効果時間が術者レベル/10分クラスの呪文は、そろそろ残り時間に気をつけなければなりません。

隠し扉の先で

 隠し扉の前でパーティは各々準備すると、誰かしらの合図と共に扉を開けます。
 音もなく開いた扉の先では、通路が続いていました。
 通路は、少し進んだところで左に曲がっており、さらに先に続いているようです。

ヴィヌク「では、ハークノス先生、お願いします!」
ハークノス「ブヒィ!」

 続くフリンやパーティのメンバーたち。
 曲がり角ところまで進むと、ハークノスは角からチラッと覗き、先の様子を伺います。

フリン「先生、何か見えますか?」
ハークノス「ブヒ!?ブヒブヒ!!」
シルヴァレン「何かあると言っているな。ふむふむ、通路の先には大きな部屋があり、燃えるような真っ赤な巨大な像が立っているらしい」
フリン「像じゃと!?」
ヴィヌク「もう石像はいいですw」

ラド「真っ赤な像と言ったね。どれどれ、私が見に行ってみよう」
フリン「ワシも前に出るぞ」

 ラドたちは部屋の前まで進むと中の様子を伺います。手に持つ松明が、部屋の中の巨大な像を照らし、その姿を彼らの前に露わにします。
 その三体の超大型の人型の像がまるで部屋への侵入者を阻むかのように広い部屋の中に立っており、松明の光を受けると、まるで凄まじい熱に晒されているかのようにキラキラと光ります。
 また、立っている像の向こう側には戸口があり通路が見え、先に進めそうです。

ラド「とりあず〈知識:神秘学〉で何かチェックしてみよう、コロコロ――」
DM「はい、わかりましたね」
ラド「ふむ、これは超大型のアニメイテッド・オブジェクト(生ける物体)だ。ただの像じゃないぞ、気をつけろ、こいつらは動く!」
シルヴァレン「ここのガーディアンか?」
フリン「何じゃ、三体もいるじゃないか」

アニメイテッド・オブジェクト

ラド「む、奥に通路が見えるな」
アングリフ「てことはここを通るには、その像を倒すしかなさそうだな」

ヴィヌク「ドラコニアンはここを通ったのかな?」
DM「部屋の隅に、あの像の残骸のようなものがあります。丁度一体分ですね」
ヴィヌク「ふむ、どうやらここを通ったことは間違いないな。急がねば!」

アングリフ「ではハークノス先生に部屋の隅に移動して囮になってもらって、その隙に我々が──」
トビン「ちょwそれ騎士が言うセリフじゃないよねwww」
フリン「そうじゃ、〈騎士審理〉にかけねばw」
アングリフ「い、今のはプレイヤー発言だから!」
フリン「もしかして、ここはヒューマに選ばれしアングリフのような心清きものなら通れるのではないか?どうじゃ?」
トビン「そう言うフリンが行ってみたら?」
フリン「ワシのアライメント(性格)、カオティック・ニュートラルだから心は結構濁っているので、ダメじゃよんw」
トビン「正直だなぁw」
アングリフ「どっかに止めるスイッチがないのか?トビン?」
トビン「その前に、ラドにディテクト・マジックで魔法反応を見てもらおうよ」
ラド「俺の出番か。うーん、三体の石像が反応するだけだ」
アングリフ「こうなれば、戦う前提で行くしかないようだな」
ヴィヌク「部屋に入らなければ、敵は襲ってこないようんだし、入り口で準備して一気に叩こう!」
PL「そうしますか──」
ラド「では、ヘイスト(加速)の呪文をかけておくから、みんな集合!」

 ラドのヘイストの呪文を合図に戦闘が開始します。
 まずは不意打ちラウンドから。

アングリフ「私が最初か。まず部屋に入って正面の像に突撃する!一匹やれば道も開けるはず! 《強打》を2点入れてコロコロ……、AC25まで命中! ダメージは48点」
DM「おお!」
フリン「当たりおった!!」
ラド「やっぱり動かない敵にw」
アングリフ「五月蠅いわ! 続いて馬が蹄で攻撃……こちらはハズレ」

シルヴァレン「私の番だ。ハークノス、行け!!右手の像を攻撃だ!」
ハークノス「ブヒィ! コロコロ、命中!ダメージは16点」
シルヴァレン「私の方は、《速射》でアングリフの前の敵に攻撃!ヘイスト分も入れて4回、順にAC25,23,27,28まで。全弾命中、ダメージは合計24点!」

動かない敵への攻撃

フリン「ワシは移動で部屋の中に入って、右手の敵の後ろに回り込み、ハークノスさんと挟み撃ちにしよう」
ラド「普段のフリンらしくないなw ここまで勇敢だったけ?w」
トビン「単に大きくなって態度も大きくなっているだけではw」
PL「確かにwww」

 続いてラドやヴィヌク、トビンは移動して部屋に入り、通常ラウンドが始まります。

アングリフ「よし、一気に沈めるぞ!《強打》を5点入れて攻撃。コロコロ、AC18命中。ダメージは24点」

 アングリフのランスの強力な一撃で、ビシッピシッと巨大な像の表面に亀裂が走ったか思うと、そのままズゴゴゴゴーと大きな音を立てながらバラバラになって崩れてしまいました。

トビン「あれ?おかしいな。アングリフが強く見えるw」
フリン「やはり動かないものには強いのは健在じゃのw」
トビン「うまいなぁw」

アングリフ「黙れドワーフ! 次は隣の像に行くぞ! コロコロ、AC15まで。命中、ダメージは20点。さらにヘイスト分でAC16まで命中!ダメージは25点!」
ラド「おお、アングリフが輝いて見える!」
アングリフ「さらに、愛馬スタームの蹄攻撃。フリンと挟撃を取って、AC13とAC16まで。両方命中してダメージは計14点。噛みつき攻撃はハズレ」
フリン「さすが石像壊しのアングリフじゃ!w」
PL「www」

石像壊しのアングリフ

ラド「俺の攻撃はアングリフが攻撃している敵にマジックミサイルかな。たぶん呪文抵抗は持って無いよね、ダメージ19点」

 輝く何本もの金色の矢が燃えるように燦めいている巨像の体にブスブスと刺さると、先ほどの一体目と同じように像はバラバラになって崩れて行きました。

ラド「あら、御免なさい。持っていっちゃったw」
フリン「わ、ワシとハークノスさんの挟撃相手の敵が――」

 ここで、残り一体となった巨像が動き出します。
 ゆっくりとフリンの方を向くと、ブンッと風を切るような音を立て、大きな腕を彼に振り下ろしてきますが、フリンはすぐに気付いて体を捻ってその攻撃をやり過ごします。

 続いてシルヴァレンが得意の弓で、彼の相棒のハークノスが敵をフリンと挟み撃ちにして攻撃します。

シルヴァレン「移動して、弓攻撃。AC32まで、命中!ダメージ6点。さらにハークノスの攻撃分がAC31までで命中。ダメージ22点」

トビン「これは勝負がついたね。ボクは様子を見てよう」
ヴィヌク「では、俺が持っていくぞ。コロコロ、AC22まで。命中!ダメージは9点」
ラド「ショボイダメージw」

フリン「カッカッカッ、やっとワシの番が来たわ。ハークノス先生のおかげですでに挟撃状態になっているから、このままフルアタックじゃ!三回攻撃、AC21,19,29まで。全て命中!ダメージは合計66点(電気ダメージ9点含)。決まった!」

フリンのトドメの一撃

 またも巨像の表面の至る所に亀裂が走ると、そのままバラバラに崩れていきます。
 戦闘終了です。

トビン「リソースを注ぎ込んだおかげで、一気に倒せたね!」
パーティ「ふぅー」

 戦闘が終わって部屋を改めて見回すと、さっきは気が付きませんでしたが、部屋の右手にも戸口があり、その先には上に登る螺旋階段が見えています。

トビン「この間取りだと、奥の通路の方は一周して入り口の礼拝所に出るような感じだね」
ラド「そうだな。我々の進むべき道は上だろうな」


老人との再会


 石で出来た螺旋階段を登っていくパーティ。
 暫く登ると天井が高い場所に出ました。
 螺旋階段の場所から、坂道のような20フィート幅の緩やかなカーブを持った廊下が、ドラゴンの巨像の首の部分の内周を壁沿いに登るように時計回りに伸びており、上の部屋に繋がっているようです。
 まるでパーティの来訪を予想していたかのように、廊下にも上の部屋にも松明がかけられており、その空間を明るく照らしています。

 また、首の内周にあたる左手の壁には、何か壁画のようなものが描かれているようですが、サイズが大きくて何が描かれているか判別することはできません。
 パーティはそのまま通路を進み、上の部屋に出ます。

DM「部屋は60フィート四方の大きな空間になっていますね」
ヴィヌク「ここからなら、壁画が見える?」
DM「踊り場に行けば見えそうですね」

 パーティは部屋の踊り場に移動すると、登ってきた通路の壁画を見下ろします。
 それは三枚の巨大な壁画でした。

アングリフ「で、何が見えるのだ?」
DM「一枚目の左の絵は、様々な色のドラゴンが大地に降下してきているところですね。地上の人々は恐怖に震え、逃げ惑っていますね」
トビン「ドラゴン戦争の時代の絵かな」
フリン「この神聖な雰囲気の場所にこんな陰惨な絵があるとは大変興味深いのう」
ラド「待て。確か、この絵は〈パックス・タルカス〉の砦で見たことがあるぞ!」

 ラドの言ったとおり、その絵と殆ど同じ物が〈パックス・タルカス〉の砦の作戦室の壁面に飾ってありました。
 タルシスほどの大きな街に強大な邪竜が空から飛来し、街を破壊している光景が描かれています。

 また中央の二枚目の絵は、このドラゴン像の内部の案内図のようです。
 像の中は全部で、頭部、喉、寺院、それから心臓部の四階層に分かれており、今パーティがいる場所は、丁度喉の部分のようです。

 そして右の三枚目の絵にも戦争が描かれており、今度はランスを手にした騎士たちが金と銀の竜に跨って邪竜たちに戦いを挑んでいる絵巻物のようになっています。
 内容は金と銀の竜に乗った騎士たちが邪竜を葬り去っていく絵ですが、特に最後のシーンでは、銀竜に跨っていた一人の男が瀕死の重傷を負い、その銀竜の腕に抱きかかえられた状態で横たわっています。

フリン「見事な絵じゃがこの騎士、竜に喰われそうになっておるの」
アングリフ「いや違う。竜に助けられているのだ。これは……間違いない。ヒューマだ!」

ヒューマ・ドラゴンベイン
 第三次ドラゴン戦争で活躍した英雄。
 ドラゴンランスを手に銀竜に乗って邪竜たちを撃退した。
トビン「そういえば、この部屋には上に登る階段とかないの?」
DM「ありますよ。壁画の反対側にあたる部屋の隅に、上に登る階段が見えます」
ラド「登るしかないね」

 パーティは壁画の鑑賞をやめて、階段の方に移動します。

謎の人「グゴー、zzZ」
トビン「ん?階段のところに誰かいない?」
PL「へ?」
トビン「あれは、あれは、ぁぁぁああああ!!」

 驚いて何か言いかけているケンダーの指さした先には、何処かで見たことがある汚れたローブを着た老人の姿が!!

アングリフ「トビン、見覚えがあるのか?」
トビン『フィ、フィ、フィズバン!』

 トビンが嬉しくなって彼の側に近寄ります。

フィズバン「ムニャムニャ――ん、おお。お早う、もう朝食の準備はできたかな?」
トビン「朝食?ここは〈憩いの我が家亭〉とは違うよ!」
フィズバン「そうじゃったか?おや、お前さんは誰だったかな?」
トビン「トビンだよ!ほら、アンタに言われてボクら〈青水晶の杖〉を〈ザク・ツァロス〉に持って行ったり、戻ってきたら今度は捕まって〈パックス・タルカス〉に一緒に護送されたり──」
フリン「何じゃ、ワシらに見覚えないのか?」
フィズバン「はて、お前さんたちには会ったこともないわい」

ラド「――では冷静に、あなたは誰ですか?ご老人、ここで何をしているのです?と聞きましょう」
フィズバン「うーん、ワシは……はて、誰じゃったかのう?ふぃず、ふぃずぼーる?」
トビン「フィズバンだよ!」
フィズバン「フィズバンなんて名前は知らんわい!」

ヴィヌク「あなたは我々とはクオリネスティで別れたはず、何故こんなところに?」
トビン「そうだよ!アンタが無事でよかったよ!ボクら、あれからトルバルディンに行ったり――」
フィズバン「いちいち五月蠅い奴らじゃ……むむ!?」

 今まで耄碌していた老人が、パーティの中にシルヴァラの姿を見つけた途端、急に鋭い目をします。

フィズバン「シルヴァラ!どうしてお前は〈誓い〉を破ったのじゃ?」

 彼女は急に青ざめ、どうしていいかわからないような顔をし始めました。

フィズバンとの再会

シルヴァラ「い、いえ。まだ私は〈誓い〉を破っておりません!」
フリン「誓い?」
フィズバン「この者達を連れてきたということは……。わかっておるな、シルヴァラよ」
シルヴァラ「──はい」

フリン「この老人とは知り合いなのか?シルヴァラ?」
シルヴァラ「し、知りませんわ!!」
ラド「じゃそれ、〈真意看破〉達成値21」
DM「対抗判定は──嘘は言っていないようですよwww」
ラド「何ぃ!くそっ、これだから○ラゴンは……(※彼らは元々目標値が高い)」

フリン「あ、そうじゃ。ハークノスさんはどうしています?」

 ハークノスは何故だかこの老人を恐れ敬っているようです。

フリン「え!?ハークノス先生がビビッておられるぞ!」
ヴィヌク「最強生物の先生に限って、ありえねぇ!w」
ラド「この老人は誰か知っているのですか?先生!」
ハークノス「ぶ、ブヒィ」
ラド「誰なのです?」
ハークノス「モリ!モリーリ!モリーリ!!(森語)」
ラド「いかん、言葉がわからんw」

シルヴァレン「恐れ多くて答えることが出来ない──らしい(翻訳)。ハークノスが敬意を払っているということは私も彼に敬意を払おう」
フリン「そ、そういうことならワシも!」
PL「www」

シルヴァラ「さ、さぁ!目的の場所はもうすぐです。急ぎましょう」

 彼女は、急に思い出したようにパーティを急かし出します。

トビン「え、フィズバンを置いていっちゃうの?」
フィズバン「ふぁぁ?。折角起きたのでワシも行くかのう!」
トビン「おおw」

アングリフ「シルヴァラ、一体、我々を何処に連れて行くのだ? そして、その先に何か待っているのだ?」
シルヴァラ「行けばわかりますわ。シルヴァレン、あなたなら信じて下さいますよね?」

 彼女は真剣なまなざしでシルヴァレンを見つめます。

シルヴァレン「もちろんさ、私は君の言うことなら何でも信じるよ!」
フリン「何でも信じるw」
ヴィヌク「ダメな奴だw」
トビン「ちょw完璧に彼女に魅了されているYOw 早くプロテクション・フロム・イーヴィルの呪文で[精神]攻撃からバリアーをw」
DM「彼女、少なくともイーヴィルではないですからw」
フィズバン「何をごたごた言っておるのじゃ? シルヴァラが行こうというから、行こうではないか」
トビン「はいはい」
フリン「しかし……。シルヴァラの〈誓い〉とは何なのじゃろう……ぶつぶつ」


ランスの守護者


 パーティは部屋の隅にあった幅の広い白い大理石の階段を用心しながら上がって行きます。
 所々に黒く変色した血痕が残った階段を上がると、そろそろドラゴンの巨像の頭部なのでしょうか、先程の広間と同じほどの大きさの部屋に出ました。

 部屋には松明などの明かりはありませんが、天井付近の二カ所に大きなガラスがはめ込まれており、そこから外の光が入り込んで、この部屋を明るく照らしているようです。これは恐らくドラゴンの巨像の目にあたる部分なのでしょう。
 
 パーティの目の前には、二頭の銀の竜の頭を持つ四足の獣の形をした像が、まるで侵入者を見張る番犬のように両側に並んで設置されています。
 また部屋の奥の方では、何者かが戦っている物音がしていますが、丁度像の影で、ここからでは確認することができません。
 その時、獣の象の竜の目がギロッと動き、新たな侵入者を睨み付けます。

一頭目『ここに大いなる邪悪を、汝らがもたらせり』
二頭目『だが一人の純心なる者が現れ、幾多の事を為さん』

 謎めいた言葉を彼らは発すると、そのまま沈黙します。

謎かけ竜獣像

ラド「これはリドルか?」
トビン「大いなる邪悪って何?」
シルヴァレン「むしろ邪悪なのはそこのドワーフだなw」
PL「うはっwww」
トビン「フリンは純粋な欲望の塊だけど悪ではないよw 目が濁っているけどねw」
ラド「これが純心なる欲望かw」
フリン「お願いだから、ワシのこと悪く言うのはやめてくれ。ただちょっと正直なだけなのじゃ」
PL「www」

ヴィヌク「てか像の後ろで何かやっているだろ。ちょっと覗いてみることができる?」
DM「できますよ。シヴァクですね。何かと戦っています」
ヴィヌク「遂に追いついたか! 皆気をつけろ!奥にいるのはシヴァク・ドラコニアンだぞ!
ラド「これが大いなる邪悪か?」
フリン「恐らくな。おい、お主が連れてきたんじゃぞ、何か言ったらどうじゃ!シルヴァラ!」
シルヴァラ「……」
トビン「ねぇ、そんなことよりドラコニアンが戦っているあれは何?」

 部屋の最奥には青銅製のがっしりとした扉が開かれており、その前にはドラコニアンとは違う何かが、扉を守るように、バスタードソードを構えています。
 それは竜の頭を持ち青銅色の皮膚をした大型の人型の石像でした。
 手には血塗られた刀を持っており、彼の前の地面には数体の石像が転がっています。

ガーディアン、敵か味方か!?

ヴィヌク「これ、どっちが敵だよ?」
フリン「どっちも敵のようじゃの」
トビン「多分、あのドラゴン頭が扉のガーディアンだろうね」
ラド「ちょっと待て。扉が既に開いているってことは――」
アングリフ「既に扉の先に行った者がいるってことだな」

 戦っていたシヴァクたちはパーティに気がついたようで、前方の敵に目を配りつつ、じっとパーティの方を振り返ります。

シルヴァレン「そのガーディアンと意思疎通はできそうかな?」
ラド「では、〈知識:神秘学〉で確認してみよう。コロコロ、達成値34」
DM「わかりましたよ」
ラド「ええっと、奴はここを守る"ランスの守護者"。恐らく意思疎通はできそうにないな。下手に近づくと俺たちまでアイツに攻撃されてしまうぞ」
DM「では、戦闘を開始しましょうか」
PL「ですよねぇ……」

 本日4戦目の開始です。

シルヴァレン「とりあえず左のドラコニアンに弓で《速射》、コロコロ。一発目はクリティカル! ダメージは34点。続いての二発目、三発目はハズレました。ハークノスは、全力移動でドラコニアンに接敵し、動きを封じよう!」
ハークノス「ブヒィ!」
トビン「同じくボクも全力移動して敵に近づいて様子を見よっと」

フリン「ワシはガーディアンに攻撃を──」
ラド「いや、それは止めておいた方がいいよ。まずは邪魔なドラコニアンからだな」
フリン「ふむ、ドラコニアンたちも大分ガーディアンを倒しているようじゃしな。ではワシも全力移動をして右手のドラコニアンに近づくぞ」
ヴィヌク「俺もフリンに続く。右のドラコニアンの方に全力移動だ」

 左手のドラコニアンにハークノスが近付いて後ろを塞ぎ、シルヴァレンやトビンが弓で攻撃をします。
 右手のドラコニアンには、フリン、ヴィヌクに続いてアングリフが向かって行きます。

アングリフ「右のドラコニアンの後ろに回り込み、挟み撃ちにするぞ! 愛馬スタームで移動し、ランスで攻撃だ。コロコロ、AC24まで。命中、ダメージ11点」
シヴァク「おのれ人間め!」

 次はガーディアンの番です。
 一番近くにいた左のドラコニアンに大きなバスタードソードを振り下ろします。

DM「ええっと、AC33までだから命中。ダメージは31点と……あ、ドラコニアンは倒れました」
PL「うはw」

 シヴァク・ドラコニアンは、そのままガーディアンの形になると、ボロボロと崩れて行きます。

殺られるドラコニアン

トビン「強えーw」
ヴィヌク「てか、転がってた床の石像ってシヴァクだったのかよw」
ラド「ハークノスさん持つかな」
フリン「今回ばかりは危ないかもしれんの」
シルヴァレン「一体、何匹のドラコニアンを倒しているんだ?」
アングリフ「ガーディアンは相当強そうだな。倒すことはできるかもしれんが、このままでは時間がかかり過ぎる……」
フリン「走り抜けて青銅の扉をくぐり抜けたほうがいいかもしれん。または、純心な者がガーディアンの前に立てばいいのかも」

ラド「次は俺の番か。うーん、どうするかな。移動してウォール・オヴ・ストーンを立てようか?」
ヴィヌク「とりあえずシヴァクを殺して様子をみないか?」
ラド「では、もう一体のシヴァクに移動してマジックミサイル、18点!」
シヴァク「グハァ!」

 ラドの光り輝く魔法の矢がドラコニアンに突き刺さります。

シヴァク「こうなれば、少しでも弱そうな奴から倒して道連れにしてくれる!」

 怒りに満ちたシヴァクは、アングリフの馬に剣を突き立てます。

DM「ええっと、AC26まで命中だね。当たったのでダメージ16点」
アングリフ「〈騎乗〉判定で避けるぞ。コロコロ、失敗……」
DM「では、さらに噛みつきがAC19までで命中。ダメージ追加で4点」
愛馬スターム「ヒヒィーン!」

 2ラウンド目に入ります。

シルヴァレン「まずは私が《速射》でシヴァクを弓攻撃しよう。一発目がAC23までで命中、ダメージ15。二発目がAC29までで命中。ダメージ14点、三発目が――」
DM「はい、ここでドラコニアンは倒れました」
トビン「やったね!」
ラド「油断するな、まだ本命が残っている!」
シルヴァレン「では、ハークノスの方は敵の攻撃を反撃する待機アクションで待機だ」
ハークノス「ブヒィ!」

ヴィヌク「しかしどうするのだ? あのガーディアンを停止させる方法は無いのか?」
トビン「ではボクが移動して、先程の像を調べるよ! 〈捜索〉っと……ありゃ、達成値12。ダメだこりゃ」
フリン「ワシは順番を下げるとするか」

 ガーディアン"ランスの守護者"の強さに驚いたパーティは、何とかしてここを通る方法が無いかと考えます。

アングリフ「私は――」
ヴィヌク「ここは騎士としてさ、ガーディアンに選ばれるというのは?」
ラド「そそ、折れたランスを持っていただろ? アレだよ!」
フリン「おお、そうじゃ! きっとそれじゃ!それに違いない! 純真なる心で幾多のことを成し遂げるんじゃ!」
アングリフ「くっ、ではランスをしまって、折れたランスを出して純真な心で――」
フリン「予め言っておくが、違っていたら許してくれw
アングリフ「何ぃぃぃ!」
PL「www」
アングリフ「ええい、我々はこの聖所を襲う者では無い。我らは邪悪と戦うためここを通る必要があるのだ。守護者よ、どうか我らを通してくれ!

と彼はそう叫ぶと、青銅の扉の方へと移動します。

トビン「あ、扉に行くんだ」
ラド「逃げたwww」
フリン「で、ガーディアンの反応は?」
DM「どうやら言葉が通じないようですね」
PL「うはw」
ラド「言葉じゃないんだよ!気持ちなんだよ!」
アングリフ「気持ちと言っても……」
DM「全然見当違いの様ですね」
PL「www」

アングリフの説得

 そのままガーディアンは、扉へと近づいたアングリフに向き直ると、バスタードソードで斬りつけます。

DM「コロコロ、AC31まで命中ですね。ダメージは31点」
アングリフ「ぐはぁ!」
DM「ちなみに、あなた善属性ですよね」
アングリフ「え?そうだけど何かあるの?」
ラド「もしかしてここで何か起こるのか!?」
トビン「いや単純に悪属性だとダメージが増えるのでは──」
DM「その通りwww ちなみに中立属性だと微増です」
フリン「マズイぞ! ワシは中立じゃ!」

フリン「こうなれば、もうヤケクソで突撃じゃ。AC19まで、ミス。クソ、当たらない!」
ヴィヌク「勝てるのか?これ」

フリン「ワシも呼びかけてみるぞ! 金に目が眩んでいたワシも、世界を救うためのドラゴンランスを欲する気持ちは純粋なのじゃ!信じて下さい!」
PL「やっぱり欲望じゃんwww」
DM「反応ないですw」

ラド「しようがないね。やっちゃいますか。ファイアボールを打ちます!」
DM「では、銅像の前でラドの放った炎の玉がふっと消えましたよ」
ラド「ちょ、まだ呪文抵抗のロールをしていないのだけど!?」
DM「完全耐性を持っているようです」
トビン「すげー」
ヴィヌク「これどうやって倒すのよ!?」
ラド「秘術魔法が効かないなら、どするんの?」

パーティ『うーん』
ラド「ここはパラダインの寺院もあったし、何か信仰の力を示せば何とかなるかも。具体的にはターンアンデットの使用回数を消費するとか、相手がアンデットでは無くても、清浄なる力(ポジティブ・エナジー)を浴びせれば何か起こるかもしれん」
ヴィヌク「では、我らの信仰心を見せつけよう。パラダインのメダリオンを出して高らかに掲げて、ターンアンデットをするように祈るぞ」
DM「なるほど、面白い試みですね」
ヴィヌク「パラダインよ、我らの純心を示し給え。我々の試練に打ち勝つ力を分け与え給え!」
フィズバン「は、ハックション! はて、風邪でも引いたかの」
PL「ちょwww」

 沈黙。

ヴィヌク「……!?」

 ヴィヌクにはランスの守護者の動きが止まったように見えます。

ヴィヌク「これはいける!」

 さらにメダリオンを高く掲げるヴィヌク。

DM「ガーディアンの動きが止まったように見えますよ」
PL「おおおw」
PL「成功したw」

 ここで3ラウンド目に入ります。

シルヴァレン「では、相手が動いてない間にハークノスと扉を潜り抜けようとします」
DM「無事くぐり抜けましたよ」
トビン「ボクも行く!」

 最初にハークノスが扉をくぐり抜けると、シルヴァレンとトビンが扉に駆け寄ります。

ヴィヌク「我々はしんがりを務めるのだ、アングリフ!」
アングリフ「わかった、私は扉の前で待機だ」

ヴィヌクの聖なる力

フリン「よし、ワシも疾走して扉の先へ行くぞ!」
ラド「お、俺も!」

 他のNPCたちも扉をくぐり抜けます。

ヴィヌク「私も扉の前までやって来て、再度念のためターンアンデット!」

 最後に足の遅い者たちが扉をくぐり抜けることを見届けてから、アングリフとヴィヌクが同時に扉の先へと消え、部屋にはガーディアンだけが残ります。


ドラゴンの心臓、エルゴスの炉


アングリフ「しかし、あの謎かけは一体何だったのだ?」
トビン「さぁ? 皆通り抜けることができたし、細かいことは気にしないw」

 下へと続く螺旋階段を降りていくパーティ。
 ランスの守護者が守っていた青銅の扉をくぐり抜けた先には、この建物の深層へと続く螺旋階段があったのです。

 どれくらい降りたでしょうか、今まで上がって来た分以上に降りた気がします。
 螺旋階段の終点には、これまで以上に広く薄暗い円形の空間が広がっていました。
 
 まず目についたのは、左手の壁に沿って設置されている巨大な5つの炉で、それらの炉からは大きな煙突が突き出ており、それが洞窟の外壁に沿って上に伸びて洞窟外部へと出ていっています。
 ほとんどの炉は、随分昔に盛土されて閉鎖されていますが、周りにはよく手入れをされた鍛冶の道具がきちんと整頓されて片付けられており、この炉の主の帰りを静かに待っているかのような印象を受けます。一つだけ火が入っている炉からは、赤くて熱を帯びた光が漏れ出ており、洞窟全体を朧気に赤く照らしています。

 また、降りてきた螺旋階段の右手には深そうな水たまりがあり、部屋の中央に設置された立派な金床と共に、炉からの赤い光によって赤く輝いています。部屋の奥には、通路への戸口とアルコーブがあり、アルコーブには赤く照らされて光っている銀色の池があります。

ラド「銀色の池? もしかしてドラゴンメタルの池か!」
フリン「おお、ランスの材料になる金属が溶け込んだ池じゃな」
トビン「ねぇ、あそこにいるのは誰?」

 よく見ると銀の池の前に男が立っていて、手に持った瓶の蓋を開けて池に投げ込もうとしているところでした。

忘れられた鋳造所

ヴィヌク「池を汚そうとしているのか!」
シルヴァラ『急いで!早く彼の行動を止めるのよ!』

 突如、叫ぶシルヴァラの声に、池の前の男はこちらを振り返ります。

PL「ドラコニアンのボスか?」
DM「人間のようですね、ソラムニア騎士の鎧を着ているようですが、紋章の部分は剥ぎ取られています」
アングリフ「ソラムニア騎士だと!? 知っている顔かチェックだ。〈知識:王侯貴族〉でわかる?達成値23」

 アングリフにはわかりました。彼は元ソラムニア騎士のオーデンキール。
 面識はあまりありませんでしたが、何度か式典などで顔を合わせたことがありました。

アングリフ「ドラコニアンがボスの名を叫んでいたとき、聞き覚えがある名前だと思ったが、思い出したぞ! お前はソラムニア騎士だったオーデンキール! ドラゴン軍に荷担するとは、悪の道に染まったか!
オーデンキール「言うがいい。くっくっく、だがもう遅いわ。そこで黙って見ておれ!」

 彼は狂気の笑みを浮かべながら、今まさに瓶の蓋を開けようとしています。

DM「では、ここからラウンド制にしましょうか」
アングリフ「くっ!奴を止めなければ!」

シルヴァレン「弓で手にしている瓶を狙い撃ちして壊すことはできるかな?」
トビン「おお、カッコいいね!」
ラド「では私が、アルコーブの場所に魔法で石の壁、ウォール・オヴ・ストーンを呼び出して、池を塞いでしまおうか?
ヴィヌク「それはグッドアイデア!」
ラド「ウォール・オヴ・ストーンだと、ディスペル・マジックの対象にならないし。まぁ筋力判定で破壊できる可能性もあるけど、時間稼ぎにはなると思う」

 ラドは、ポーチから花崗岩の粉を取り出し何か呪文を唱えます。
 すると、アルコーブの内部の池を塞ぐようにして、オーデンキールの眼前に、石で出来た壁がボコボコと出現しました。

オーデンキール「クソッ!!術者か!」
ラド「よし、今のうちに奴を止めるのだ!」

シルヴァレン「私の番か。ええっと元ソラムニア騎士ということは人間ですよね?」
DM「はい」
ヴィヌク「出たぁーw クラスの特徴で得意な敵を人間にしているレンジャーw」
ラド「恐えーw」
シルヴァレン「では彼に向けて矢を《速射》します。三回攻撃で順に、AC32、AC19、AC出目20(クリティカル無し)の二発命中! ダメージは計15点。さらにハークノスは、敵に向けて全力移動!」
ハークノス「ブヒブヒィ!」
シルヴァレン「あぁ、獣の足を持ってしても、このラウンド中に敵に接敵はできないか」

オーデンキール「ふん。このような小細工なぞ、我が女王陛下の力には無防備にも等しいわ!」

 彼は手に持った凶々しいフレイルを振り下ろして、出現した石の壁をガンガンと叩き割ろうしています。

オーデンキール「コロコロ、二発命中!ダメージは17点と19点だ!」
ラド「石の壁は硬度8でヒット・ポイントが30程度だから、差分の9点と11点で実ダメージは20点か!」
フリン「マズイぞ。あと10点ソコソコで破られるではないか!」

トビン「ボクも疾走してオーデンキールに向かって全力移動だ!〈手先の早業〉であの瓶を奪うことができないかな?」
アングリフ「私も馬でオーデンキールに接敵して、瓶を"武器破壊"で壊そう!」

 オーデンキールに全速力で駆け寄るケンダーとアングリフ。
 彼らは間に合うのか!?

駆け寄るパーティ

フリン「あ」
ラド「どうしたフリン?」
フリン「ブックオフで買った105円のボロボロのD&D3.5版のプレイヤー・ハンドブックに、持ち主の名前が書いてあった──タカハシって誰じゃw
ラド「……」
PL「おいwww」

アングリフ「あの、接敵したけど敵を殴っていい?」
フリン「はい!!」
アングリフ「では、ランスを代用武器にして両手に持ちかえ、相手の瓶を叩き壊す! 我が名誉は我命!ストレングス・オヴ・ホナーも使用して【筋力】+4になり、攻撃ロール+2で代用武器の修正が-2、対象は瓶だからAC16相当として、《強打》は乗せないで、行け!コロコロ、AC26まで。命中!ダメージは12点!」

 パリーン!
 辺りに響き渡る瓶の割れる音。
 アングリフの無茶苦茶な攻撃により、オーデンキールが手に持っていた瓶が割れ、中の液体が四方に飛び散ります。

トビン「凄いや!アングリフがやったよ!」
フリン「よし、一気に畳み込むぞ! ワシも疾走して敵に向かって全力移動じゃ!」
ヴィヌク「俺も、全力移動してこのターンは終わりだな」

 2ラウンド目です。

 ここで、アルコーブの少し隣の戸口の前に二人の人影が現れます。
 一人は、外套を着こみ、フードで顔を覆っており、身につけたマントがはためいています。マントには大きく"風"という字が書かれています。
 もう一人は、銀の腕を持つ男。

アングリフ「お、お前は風のガラング!」
フリン「それにテロスも!」
ヴィヌク「うはwwwガラング、テラ懐かしスwww」
ラド「〈パックス・タルカス〉以来じゃんw」

ガラング「偶然、この銀の腕の男に出会ってお前たちのことを聞いた。彼にこの谷に案内され、シヴァクどもの姿を見かけたので跡を付けてみたのだが──。どうやら私が助太刀するまでもなかったな」
PL「おお!」
テロス「君たち、久しぶりだな! まぁ、そういうわけだ。──しかし、ここは何て素晴らしい工房なのだ!」

 テロスは金床や5つの大きな炉の見事さに感嘆しているようです。

アングリフ「お前とはもう一度会えるような気がしていた、ガラング」
ガラング「お前も腕を上げたようだな。だが、油断するな!奴はまだ生きているぞ!」

助太刀いたす!

オーデンキール「おのれ、もう少しだったところを──」

ラド「まだ懐に瓶を持っているかもしれん。《ヒロイック・サージ》で二倍移動した後、グリッターダストの呪文で盲目にしてやる! これでもうお前は終わりだ! セーヴ難易度17で意志セーヴを!」
DM「オーデンキールはセーヴ成功。盲目にはなりませんでした」
ラド「くそっ!」

シルヴァレン「では《速射》で。それぞれAC29、AC15、AC22まで。一発命中、ダメージ12点。意外と硬いな。ハークノス、攻撃だ!」
ハークノス「ブヒィ!噛みつき攻撃、コロコロ。ミス」

 オーデンキールの着込んでいるミスラル製のブレストプレートの鎧は、見た目以上に硬く、パーティの攻撃を当てることができません。

オーデンキール「我々の野望を邪魔しようとする愚か者どもよ! 我が暗黒の祝福を受けたフレイルを喰らえ! 《強打》を5点入れて、そこの騎士に攻撃だ! コロコロ、AC29まで」
アングリフ「すかさず馬で遮蔽を──くっ。命中した!」
オーデンキール「バカめ! ダメージ17点+不浄ダメージ8点」

アングリフ「オーデンキール、落ちたな!」
オーデンキール「貴様に何がわかる!」
アングリフ「ソラムニア騎士としての正義を忘れたか!」
オーデンキール「笑止!」

トビン「ではボクの番はオーデンキールとやらに罵りをするよ! どうせ欲に目が眩んで、騎士を首になったんでしょ?でしょ?」
PL「酷いw」
トビン「罵りで〈はったり〉が達成値37。〈真意看破〉で対抗判定よろしくw」
DM「出目20出しても無理──」
オーデンキール「黙れ!ケンダー!!」

 オーデンキールはケンダーの言葉に逆上します。

ガラング「では俺も混ぜてもらうぞ! 移動してオーデンキールに接敵。貴様には恨みは無いが、強敵(トモ)との約束があるので死んでもらう! 朦朧化打撃!
ラド「ガラングさん、かっけー!」
ガラング「AC21まで……外したか」
ラド「あれw」

アングリフ「ニヤリ。では俺が良いところを見せてやるぜ!」
PL「www」
ローラナ「アングリフ様、頑張って!!」
PL「ローラナいたんだwww」
DM「NPCなので後ろで旗を振っていますw」
アングリフ「まず馬の攻撃、蹄二回と噛む一回攻撃。うわ、全部ハズレ──。自分の攻撃は《強打》を入れないで、ランスで攻撃。コロコロ、しょぼ!AC20まで……ミス。二回目はコロコロ、お。クリティカル・ヒット! ダメージ22点!」
オーデンキール「ぐはっ!」

フリン「ワシは……このターンは全力移動で接敵して終わりか。折角広い部屋に出たというのに、何故殴ることができんのじゃ──」
PL「大型化しても足は速くならないからねw」

 次は3ラウンド目です。

ラド「よし、移動しながらハバサックからヘイストのスクロールを取り出して、使用しよう! 前の5人に加速の効果だ! 攻撃ロール+1、AC+1、反応セーヴ+1、移動力が2倍だ!」

フリン「ありがたい!」
シルヴァレン「よし、ハークノスは擬似呪文能力でアングリフにストーン・スキンをかけさせよう!」
ハークノス「ブヒィ!」
アングリフ「おお!」

 アングリフの皮膚が石のように硬くなります。

シルヴァレン「私は《速射》でオーデンキールを攻撃! AC20、AC16、AC20まで。トビンの罵りとヘイストの効果のおかげで二発命中!ダメージ8点!」

オーデンキール「この化物猪め! 変な術を使いおって! 猪にフレイルで殴る。この不浄なる力を見せてやろう!3回攻撃。AC21、AC20、AC16まで……馬鹿な!全部外れるなんて!
ハークノス「ブヒヒヒ」

トビン「ボクは急所攻撃をするために〈隠れ身〉しておこう。達成値47w」
ヴィヌク「高w」
ラド「その目、攻撃ロールに使いなよw」

ガラング「俺の番だ。一発目はAC20で命中、ダメージ12点。二発目は出目1でミス。三発目はAC13で外れた。ダメだ一発しか当たらん」
PL「ガラングさん腕落ちたw」
アングリフ「ガラング、お前に貰ったこのマントが泣いているぞ!と言いながら俺の番なので、《強打》3点入れて攻撃!AC25まで命中、ダメージ16点、二発目が──」

オーデンキール「ば、馬鹿な──」

 オーデンキールは、アングリフのランスに胸を深々と突かれ、そのまま倒れます。

フリン『もう! 勘弁してよぉーーーー! ワシ、今回全然攻撃ができなかったぞ!!』

オーデンキールの最期

 戦闘終了ですw

オーデンキール「グハァッ、私の、野望も……こ、ここまでか──」
アングリフ「オーデンキールよ。お前は何故、悪に染まったのだ?」
オーデンキール「わ、我が、ソラムニアは貧しく、し、士官の道を、望むには、タキシスに、仕えるしかなかっ、た……。ゴホッ……。だが、さ、最後に、お前からソラムニア魂を教えて貰ったような、き、気がする──」
ヴィヌク「貴様の境遇なぞ、生温いわ! 俺の境遇に比べれば!」
トビン「一度死んで、エルフに生まれ変わっているもんねw」
PL「確かにwww」
アングリフ「せめて、お前の亡骸はソラムニアの地で埋めてやろう──」

戦利品
 +2 サイレント・ムーヴ・ミスラル・ブレストプレート……トビンへ、
 +1 アニメイテッド・ヘヴィー・スティールシールド……アングリフへ、
 +2 アンホーリー・スターメタル・ヘヴィー・フレイル、
 +1 アミュレット・オヴ・ナチュラルアーマー……一時的にアングリフへ、
 +2 クローク・オヴ・レジスタンス、
 ガントレット・オヴ・オーガストレングス、
 +1 リング・オヴ・プロテクション……シルヴァレン、
 スローイング・アックス×3

シルヴァラの正体


トビン「で、テロスはそこに突っ立って、何をしているの?」
テロス「トビン君、この巨大な炉や見事な金床を見てくれ! ここより素晴らしい場所は見つかるまい!ここが〈大変動〉前に作られたとは信じがたい!しかも今も稼働しているのだぞ! (# ゜∀゜)=3」

 そう、ここはエルゴスの失われた金床。かつて第三次ドラゴン戦争時代にドラゴンランスが鍛えられた金床です。
 それから幾百年の時を経てもなお、その炉の火は絶えておらず、金床も整備が行き届いています。

フリン「ん?何じゃ、この金床。何か文字が書かれておるぞ」

 フリンは金床に何か古めかしい文字でかかれている碑文を見つけました。

ラド「ほらほら……」
トビン「あぁ、〈真見の眼鏡〉ね。眼鏡をかけてその碑文を見てみるよ」

 ドワーフの地底王国〈トルバルディン〉で手に入れた〈真見の眼鏡〉"Glasses of Arcanist"を掛けて碑文を読むトビン。

トビン「ええっと、大いなる槌、銀の腕、そして銀の池が──」
シルヴァラ「そして銀の池が邪竜に破滅を与えん、です」

 トビンの言葉に続けるようにして、後ろにいたシルヴァラが、その碑文の文章をまるで呪文の詠唱をするかのように諳んじて唱えます。

大いなる槌、銀の腕、銀の池が、邪竜に破滅を与えん
槌と腕は竜が隠し、最後の真の池が、ここにあり
腕は未知の運命に失われ、槌はドワーフの門の先にあり
テロス「銀の腕だと?まさか俺のことではないよな?」
シルヴァラ「そうです。テロス・アイアンフェルドの〈銀の腕〉。そして、〈ドラゴンメタル〉の銀の池がここにあります」
テロス「では、槌というのはドワーフの地下王国にあるはずの──」
シルヴァラ「はい、〈カーラスの槌〉は、〈トルバルディン〉にあります」

フリン「どうしてそんなことをあんたが知っておるのじゃ?」

 その時、トビンは〈真見の眼鏡〉を掛けたまま、シルヴァラの方を見て絶句しました。

トビン「ど、どど──」
シルヴァレン「五月蠅い! トビン、ちょっと黙っていてくれ! シルヴァラ、君が何か隠し事をしていることはわかっている。だから、そろそろ本当の事を話してくれないか?」

 その問いに、彼女は苦しげにシルヴァレンを見かえします。
 暫しの沈黙の後、今まで黙していた老人が口を開きます。

フィズバン「ふむ。もう潮時じゃな、シルヴァラよ。決断の時が来たのじゃ。姉と同じく、お前は選択をしなければならん」

 心を決めたように黙って頷く彼女。

シルヴァラ「はい、私はもう十分〈誓い〉を破りました――。でも、私は何かしなければなりませんでした! 私には罪もない人々が傷つき倒れるのを黙って見ていることができなかったのです! 私は居ても立っても居られず、エルフの姿をかり、自分に出来ることをしてきました。長い間、エルフを1つにまとめようと注力し、度々エルフたちの戦を防いできましたが、ここ最近、事態は悪くなるばかりです……」

シルヴァレン「な、何を言っているんだ!? シルヴァラ」

シルヴァラ「聞いて! シルヴァレン。私には説明する義務があるのです! ──そして、そんな時、あなた方がやって来たのです。私には誰も予想しなかった大きな危険に晒されているとわかりました。そして、私は決断しなければならないとわかりました。あなた方はオーブ、それからランスまで持っていたのです」

シルヴァラ「ランスとオーブの両方が一緒に私の元へ現れた――これは前兆だと思いましたが、私にはどうすればいいのかわかりませんでした。そこでランスとオーブをここへ持って来て、永遠に封印しようと思ったのです」
シルヴァレン「ちょ、ちょっと待ってくれ。き、君はエルフでは無いのか!?」

 シルヴァラは、松明を取り出して、炉にくべて灯火を着けると、パーティに見せつけるように松明を掲げて自分を照らします。

シルヴァラ「私の影を見て下さい」

 シルヴァラの影が背後の冷たい洞窟の壁面に映ります。
 その影を見て絶句するパーティ。それはドラゴンの形をしていたのです!

シルヴァラの正体

シルヴァレン「そんな! 君がドラゴンだなんて!」

シルヴァラ「ごめんなさい、シルヴァレン……」

 その瞳から溢れようとする涙を隠すかのように、彼女は黙ってうつむきます。

シルヴァレン「ははは……。君が何を言っているかわからないよ!」

 シルヴァレンは、まだ事実を受け入れることができないようです。

ラド「封印すると言ったな。"俺"からオーブを取り上げるのか?」
アングリフ「そうだ、私の折れたランスも封印されるのか?」

シルヴァラ「いいえ。〈誓い〉を破った私にもう迷いはありません。今はあなたがオーブを持っていて下さい、ラド」

 涙を拭ってから彼女は続けます。

シルヴァラ「そして、アングリフ。あなたが持っている、その折れたドラゴンランスを出して下さい」
アングリフ「それは──」
シルヴァラ「聞いてください。真のドラゴンランスは〈カーラスの槌〉がなければ鍛えることができません。しかし、ここに〈銀の腕〉と〈銀の池〉の2つが揃っているのです。ここにある普通の槌でも、あなたの折れたランスの修復くらいはできるはずです」
アングリフ「そ、それは本当か!」
シルヴァラ「さぁ、テロス・アイアンフェルドよ。あなたがドラゴンランスを修復するのです。汝にドラゴンランスを鍛え直す力を与えます」
テロス「おおぁ!」


ランスの修復、そして別れ


 カン、コン、カン、コン。
 赤く照らされた洞窟中に、一定のリズムで槌の音が響き渡ります。
 シルヴァラからドラゴンランスの修復方法を教えられたテロスが、アングリフの折れたドラゴンランスを鍛え直しているのです。

シルヴァレン「そうだ! これは悪夢だ! 悪夢に違いない! 我らエルフの愚かさが君を苦しめていたのだね――シルヴァラ、ははは!」

 狂ったシルヴァレンを余所に、パーティのメンバーは戦利品を絶賛分配中です。

アングリフ「おい、トビン。お前でも、このブレストプレートは着れるのではないか?」
トビン「ホント?じゃ着てみちゃおうかな?w」
ヴィヌク「俺、このアミュレットが欲しいなぁ」
アングリフ「俺は、このシールドが――」
フリン「ワシは何にしようかの?」

 まったく……。シリアスなシーンが台無しです。

 全身汗まみれになりながらテロスは全身全霊を込めてランスを鍛え上げます。
 数時間の後、ゆっくりと槌を置き、ランスを掲げて叫びます。

テロス「出来たぞ!」

ドラゴンランス、レッサー
 この武器は、エルゴスの巨大石竜像の銀のドラゴンメタルを使ってのみ作成でき、カーラスの槌かエルゴスの銀の腕を使って創りだされる。
 純粋なドラゴンメタルとこの2つのアーティファクトが揃えば、グレーター・ドラゴンランスを作成できる。
 これらの精錬方法の秘術は神からしか与えられない。
 レッサー・ドラゴンランスは、+2 ドラゴン・ベイン・ランスで、淡く光って輝いている(照明としては役に立たない)。
 ただし、魔法の強化ボーナスは+1分しかなく、残りはドラゴンメタルのボーナスによって追加されている。
 強力な召喚術:クレリック8レベル、デヴァイン・インストラクション、価格 17,310stl.
 Dragonlance Campaign Setting, page 115.
テロス「持ってみろ、アングリフ」
アングリフ「こ、これがドラゴンランスか! 軽いぞ! これならどんな邪竜にも勝てるかもしれん!
シルヴァラ「残念ながら、このランスは邪竜に打ち勝つ無敵の武器ではありません。しかし、〈カーラスの槌〉があれば、ここで真のドラゴンランスを鍛えることができるでしょう」
フリン「〈カーラスの槌〉か、〈トルバルディン〉のやつらが渡してくれるのかのう?」

DM「さて。残念なお知らせがあります。ハークノスさんですが、ここで別れなければなりません
フリン「何じゃと?」
シルヴァレン「え!?」
トビン「えーどうしてw」
DM「ど、どうしてもです!」
ラド「まぁ、強すぎてバランス崩れているのは感じていたけど……」
DM「(;・∀・)それは言わないで。 は、ハークノスさんは、悲嘆にくれたシルヴァレンの側に寄ると話しかけますよ」

ハークノス「モリモリモーリ!(シルヴァレン、どうして泣いておる)」
シルヴァレン「……」

ハークノス「(以降森語)彼女に会ってお前は愛を知ったのだろう?」
シルヴァレン「でもドラゴンだったなんて……」
ハークノス「それが何だというのだ。残念だが、ワシはそろそろ行かねばならぬ。お前は十分成長を遂げた」
シルヴァレン「そんな! 私を置いて何処に行くんだ! 私を──私を置いて行かないでくれ! 私を一人にしないでくれ! お前がいなくなったら、私はとても耐えられそうにない!」
ハークノス「お前は学んだはずだ。お前の仲間から友情、そしてあの銀竜から愛情を。シルヴァレン、お前が、彼女を愛した気持ちは偽りではなかったはず。彼女の側にいてやれ。一番辛いのは彼女なのだ!

 シルヴァレンはそのの言葉に、はっと気がつきます。
 ハークノスは小さく微笑みます。

ハークノス「お前はもう一人で歩んでいけるはずだ。私もおまえのことを忘れることはない、さらば友よ──」

 その言葉を残し、ハークノスの姿がだんだんと薄くなると、やがて消えてしまいました。

シルヴァレン『ハークノーォス!!』

 彼の泣き叫ぶ声は、長く洞窟内に響いていたのでした。

フリン「あー、ワシ(エンラージ・パーソンが切れてサイズが)小さくなる!」
ヴィヌク「そこかwww」


白竜、再び


 傷の手当も終えて、ドラゴン軍に打ち勝つ究極の武器を手に入れたパーティは、テロスやガラングがやってきた抜け穴から洞窟を抜け、ドラゴンの像の外に出ます。

PL「この抜け道、最初から知っていれば……」
DM「まぁ、そういうものなのでw」

 洞窟の出口はキュリーの集落を見下ろす山腹にあり、外からはうまく隠されて、ドラゴン軍はもとより、キュリーたちも長年この抜け道の存在には気がつかなったようです。

 集落の様子を見ると、何だか騒がしく、各所で黒い煙が上がっています。

ラド「なぁ、村の様子がおかしくないか?」
ヴィヌク「あぁ、兎に角戻ってみよう!」

 パーティは急いで、キュリーたちの集落に向かいます。

キュリー『た、助けてくれぇーーー!』
キュリー『竜が、竜が襲って来たァ!』

 逃げ惑うキューリたち。
 黒い煙の舞う空の隙間からは、怒りに満ちた咆哮を上げる白竜が一匹、二匹、いや三匹見えます。

白竜たちの復讐

フリン「ヤバイぞ! キューリたちの村が襲われておる!」
トビン「空にドラゴンが三体見えるよ! 一匹は超大型だ。乗り手はいないけど」
アングリフ「白竜軍か!」
ラド「もう呪文が残ってないぞ! ヘイストのスクロール一発が限度だ」

 怒りを堪えてその様子を見ていたシルヴァラが口を開きます。

シルヴァラ「大丈夫です──。もうあなた方に正体を隠す必要も〈誓い〉を守る必要も無くなりました。私も共に戦いましょう」
ヴィヌク「マジですか!?」

 黙って頷く彼女。
 一瞬、彼女の姿が揺らめいたかと思うと、そこには巨大な一匹の銀竜が立っていました。
 鋭い牙と鉤爪、長く靭やかな首と尾、そして陽に照らされ眩しく輝く銀の翼と鱗。
 その美しくも荘厳で畏怖すべき生き物は、数十フィートはありそうな翼を二、三度はばたかせると、悲しみに満ちた声で言います。

シルヴァラ「これが私の本当の姿──」
シルヴァレン「ははは、嘘では無かったのか……」
シルヴァラ「ごめんなさい、シルヴァレン。できることなら、貴方だけにはこの姿を見せたく無かった──」
シルヴァレン「君が、本当にドラゴンだったなんて──」
シルヴァラ「シルヴァレン……」
シルヴァレン「放っておいてくれ! 今は、君を受け入れることなんてできない!」
シルヴァラ「ごめんなさい、私は〈誓い〉に縛られていたのです──しかし、今は戦うとき」

 険しい目をしてアングリフを見る銀竜。

シルヴァラ「そこの騎士!」
アングリフ「は、はいぃ!」
シルヴァラ「貴方もヒューマのように雄々しく戦うのです。そのドラゴンランスを取って私の背に乗りなさい!」

アングリフ「あの石像の中の絵に描かれたのはヒューマとキミの眷属か!」
シルヴァラ「そうです、ヒューマと私の姉です」
フリン「姉じゃと!?」
ヴィヌク「どうやらこの戦いは我々の運命のようだな、アングリフ。英雄ヒューマと同じく──」
アングリフ「私がヒューマのかわりを努められるとは思えない。しかし、それが私に課せられた使命ならば、私は運命に従って、その使命を甘んじて受け入れ、たとえその結末がどうなろうと迷うこと無く真っ直ぐに進んで行こう」
ラド「アングリフ、かっけーw」
アングリフ「よし、前提条件を満たした!」

レジェンダリー・タクティシャン
 戦士系の上級クラスの1つ。
 遥か夢の時代から、荒廃したアンサロン大陸に必要とされているのは、戦士たちを導くリーダーの存在です。
 レジェンダリー・タクティシャンは、彼らを導く力と戦術と戦略感覚が生来より備わっている人々のことです。
 彼らは、戦いの最中に兵士たちに命じて英雄的な行為を行わせることができます。
 彼らは圧倒的な戦力の前にも恐れず、勝機を掴むことができます。
 彼らは、自分の軍を奮起させる能力を持ち、常に尊敬、または恐れられます。
必要条件
 基本攻撃ボーナス:+5
 技能:〈交渉〉4ランク
 特技:リーダーシップ
 特殊:10人以上の敵軍と対立する3つ以上の戦い(どれか1つは間違いないという状況)に関与する必要がある。
 Dragonlance Campaign Setting, page 81.
DM「ええっと、まぁ今回は10人以上ではないけど、相手がドラゴンだからいいでしょう。〈パックス・タルカス〉や〈氷原〉での戦い、これも数に入れていいですよ」

 銀竜に跨り、ドラゴンメタル製のランスを構えるアングリフ。

銀竜に騎乗するアングリフ

シルヴァラ「本来ならば、鞍が必要なのですが──私から落ちないように気をつけて下さい」
アングリフ「あ、あぁ。お手柔らかに、頼──うわぁぁ」

 翼を広げ、騎士を乗せて一気に上空に舞い上がろうとする銀竜。
 前方の集落の60フィートほど上空には、すでに超大型の白竜が一体、その両脇には大型の白竜が二体見えます。

ヴィヌク「いよいよ空中戦か!」
ラド「では、フライのスクロールを使うか。3本しかないのだけど、フリンとヴィヌクとガラングでいい?」
アングリフ「ちょ、俺落ちたら死ぬから!」
トビン「えー、シルヴァラを信じてあげなよw」
ガラング「俺はモンクのクラス能力"浮き身"があるから、いらんぞ」
シルヴァレン「私は、レンジャーの呪文で自分にレジストエナジー・コールドをかけておく」
ヴィヌク「俺はエレメンタル・ブレードの呪文を唱えて、炎の元素剣を創りだしておく」
トビン「なんだかライト・セイバーみたいw」
ラド「では、ヘイストのスクロールを使って、アングリフ、シルヴァレン、フリン、ヴィヌク、ガラングを加速させた直後、戦闘開始ということで──」

 いよいよ戦闘開始です!

ラド「ではスクロールからヘイスト! そして次番のためにウィンド・ウォールのスクロールを取り出してターンエンドだ」

シルヴァレン「ここからでは距離が離れすぎて矢が届かない。私は白竜の方へ全力移動します」

 各自真剣な面々で、ドラゴンに向かって行きます。

フリン「見てくれ! ワシ、飛べるぞ!」

 何時に無く、はしゃいでいるドワーフがここに一人。

ラド「当たり前じゃん。早く上がれよ」
フリン「ワシも矢を撃ちたいのじゃがここからでは届かん。上昇しながらドラゴンに近づこう。ええっと、上昇移動は二倍コストがかかるから、敵は斜め上にいるので、√幾つだ?」

 D&D3.5版のドラゴン戦で避けて通れないのが空中戦。
 もちろんそのためのルールは細かく定義されているのですが、地上戦と違い、移動の距離計算など立体戦闘になるのでかなりややこしいのです。

PL「飛行のルールは面倒だからなぁw」
フリン「このまま、40フィート上空に上がればペナルティ無しで矢を撃てるな。自慢のシーキング・コンポジットロングボウで小さい方を狙おう。コロコロ、AC19まで……ハズレ」

トビン「ボクはキュリーの家屋?まで移動して〈隠れ身〉をして、攻撃のチャンスを待つよ!」

ガラング「俺も、まっすぐ全力移動だ。アングリフ、先に行くぞ!」

アングリフ「超大型のドラゴンは60フィート上空にいるのだな?」
DM「はい、アングリフの所からだと、水平150フィート、垂直60フィートあたりに」
アングリフ「では私を乗せたシルヴァラは45°の角度で上昇して、旋回しながら敵との距離を60フィートに保ちつつ、全力移動!! 私自身は、ドラゴンが寄ってきたら突くために、待機アクションでドラゴンランスを構えておく!」

アングリフの移動

トビン「いいなぁ。ボクもドラゴンに乗りたいなぁ、あの小さい方でいいから仲間になってくれないかなぁw」
DM「なりませんw」

 次は、ドラゴンの番です。
 大型のドラゴンの一体が、アングリフたちの方へ向かって飛び込んできます。

アングリフ「とりあえずシルヴァラ、機会攻撃をよろしくw」
シルヴァラ「わかりましたわ!」

アングリフ「銀竜の基礎攻撃は噛み付きか。あぁ出目が2だ……AC34まで命中!?」
ヴィヌク「ちょw」
トビン「流石、超大型サイズ。出目1以外当たるのかwww」
アングリフ「ダメージ31点」
ラド「さすがw」
ヴィヌク「うちら、要らないなw」

アングリフ「あと、自分の機会攻撃分が、AC26までで、命中!ダメージ23点。で、さらに自分の待機アクション分が──出目1。orz」
パーティ『ドラゴンランスwwwww』

 大型のドラゴンはアングリフたちの攻撃を受けながらも、その脇を掠めるように通り抜け、擦れ違いざまにアングリフに噛み付いてきます。
 迫るドラゴンに恐怖を感じるアングリフ。

当たらないランスと臆するアングリフ

DM「このドラゴンは〈畏怖すべき存在〉の力を使っていますので、アングリフは意志セーヴをして下さい。ここからだとシルヴァレンにも届くな」
アングリフ「コロコロ、達成値5。セーヴ失敗。怯え状態になりました。( ; ゚Д゚)」
シルヴァレン「私は達成値23、成功」

 ドラゴンの攻撃はハズレましたが、その恐怖感がアングリフの全身を襲います。

アングリフ「う、うあああ」
シルヴァラ「騎士よ、しっかりするのです!」

 地上では、シルヴァレンとガラングが、舞い降りた大型の白竜の吹雪のブレスに襲われていました。

シルヴァレン「反応セーヴは、コロコロ。あれ、出目1失敗した、被ダメージ15点か」
ガラング「吹雪のブレスなぞ、私には効かぬわ!(モンクなので反応セーヴの修正値が高い) エルフの若造よ、まだまだだな」
シルヴァレン「くっ!」

 そしてついに超大型の白竜スコールが動き出します。
 銀竜が出てきたことに驚いてはいるようですが、やっと張り合いのある敵が現れたことに喜んで声を上げると、村への攻撃を一旦中断して、アングリフたちの方に襲いかかってきます。

DM「ええっと、シルヴァラに噛みつきしますよ。コロコロ、AC27まで当たりなのですが──ハズレですね」
ラド「流石シルヴァラさん!」
トビン「強えーw」

襲いかかる白竜スリート!

ヴィヌク「《ヒロイック・サージ》で、地上に降りた大型の白竜の後ろに回りこんで、我が名誉は我が命! 《ストレングス・オヴ・ホナー》を発動して白竜をガラングたちと挟み撃ちだ! パラダインよ!邪悪に打ち勝つ武器を与え給え! 元素剣、エレメンタル・ブレード! 三回攻撃で、AC21、AC14、AC29まで。一発命中、14点の炎ダメージ!」
白竜「ギャァァ」
DM「どうやら火に対する脆弱性があるようですよ」
ヴィヌク「おお。あと、反応セーヴに失敗すると着火しますので」

 セーヴに失敗した白竜はヴィヌクの創りだした燃え盛るロングソードに斬られて、炎に包まれます。

フリン「ゴシゴシ、気のせいかの? ヴィヌクがカッコよく見えるわい。あの盆栽呪文が役に立っておるぞ!」
PL「www」

 2ラウンド目です。

ラド「ウィンド・ウォールのスクロールは役に立ちそうにないので閉まって、〈ヒロイック・サージ〉で移動して、リジリアント・スフィアーの呪文で大型の奴を力場の球体の中に閉じ込めてしまおう」
DM「敵は呪文抵抗するので──術者レベル判定をどうぞ」
ラド「コロコロ、達成値15。くそ、ミスした」

 大型の白竜が、ラドの呪文により直径10フィート力場の球体に覆われようとしますが、すぐにその球体が何かの力によってかき消されてしまいました。

シルヴァレン「今は目の前の敵に集中だ! 《速射》で攻撃! 4回攻撃でAC25、AC16、AC12、AC27まで。二発命中!ダメージ計21点」

フリン「ワシもそのドラゴンに《速射》じゃ! 一発目は出目1で失敗、二発目はクリティカル、三発目はAC22まででミス、四発目もクリティカル! ダメージは計60点!
PL「すげーw」
フリン「やっとワシの本領が発揮できたわい!」

トビン「ボクは達成値27で〈隠れ身〉してから、そのドラゴンにショートボウで攻撃かな。コロコロ、AC31まで、命中! 急所入るかな?」
DM「〈視認〉でトビンの姿は見えてないので、急所攻撃はできますよ」
トビン「じゃダメージは10点ね。ショボイけど」

 しかし、先程のフリンの攻撃を相当受けていたのか、トビンの矢が竜の首にグサリと深く刺さると、声にならない悲鳴を上げながら、その竜は倒れます。

トビン「やった! ドラゴンを仕留めちゃった!」
PL「持って行かれたかw」

 上空では白竜二匹とアングリフの乗った銀竜とが空中戦を繰り広げています。

アングリフ「シルヴァラは《ホバリング》の特技があるから、全ラウンドアクションでこの位置を維持だ」
シルヴァラ「大丈夫ですか?」
アングリフ「私は、ドラゴンランスを構えて超大型の白竜に──当たるかなぁ……当たらないような気がするのだが……」
ラド「いや、当ててくれないと困るw」
ヴィヌク「ドラゴンランスを持っていて何を言っているのだw」
トビン「それも超巨大のシルバードラゴンに騎乗しているのにw」
ラド「今、この状況で弱音を吐くことは許されないからw」

 ドラゴンに対する恐怖の影響を受けているのか、かなり弱腰になっているアングリフ。

アングリフ「目標は超大型の方。コロコロ、一発目はAC28まで。命中! 二発目は出目20だけど通常命中で、計55点のダメージ!
PL「おおwやればできるじゃんw」

 超大型の白竜は、旋回しながら擦れ違いざまに噛み付いてきますが、銀竜は体を捻り素早く避けます。
 大型の方は、アングリフたちの勢いに臆したのか、一旦彼らから離脱しようとします。

アングリフ「シルヴァラ、チャンスだ。機会攻撃を!」
シルヴァラ「分かっていますわ!」

 銀竜の鉤爪が、逃げる白竜の背中を刳ります。

アングリフ「お、命中した。ダメージは21点」

 白竜は敵わぬと思ったのか、攻撃を受けながらも離脱すると、そのままヴィヌクたちの方へ突っ込んできます。

ヴィヌク「よし、大型のは俺たちに任せろ!アングリフ!」
DM「では、ヴィヌクたちの前に着地して"畏怖すべき存在"の力を使いますよ。意志セーヴィをどうぞ」
ラド「達成値21」
トビン「ボクは完全耐性」
フリン「20じゃ」
ヴィヌク「15、あれ?」

 白竜は、恐怖におののくヴィヌクに牙を向け襲いかかってきます。

DM「ヴィヌクに噛みつきで、AC18までか。当たらないや」
ヴィヌク「焦ったぁ──。(;・∀・)」

ヴィヌク「よし、眼前の白竜に攻撃! エレメンタル・ブレード! 全力で三回攻撃。ミス、ミス、ミス……」
フリン「やはり、盆栽魔法じゃったかw」
ラド「ヘイストの呪文、返せよw」

 3ラウンド目になります。

ラド「さて、使える呪文は尽きたし、もうやることがないな。全力移動しながらダガーを抜いてヴィヌクの前のドラゴンに接敵し、挟み撃ち状態にでもしておくか」
PL「ちょw それ4版のウィザードみたいな戦い方だからwww」

シルヴァレン「その竜に私は《速射》します。コロコロ、AC24、AC24、AC21、AC34。3発命中。ダメージ計43点」
フリン「ワシもじゃ! AC23、AC15、AC25──ここまで二発命中でダメージ19点。さらに──」

 シルヴァレンとフリンから、雨に打たれるように大量の矢を受けた白竜は、倒れます。

フリン「では、超大型の方に残り一発を……AC14まで、ミスか」
ラド「まぁ、あと残り一匹になったし」

総攻撃!

トビン「では、達成値30で〈隠れ身〉してから超大型のドラゴンにショートボウで攻撃ね」
DM「〈視認〉で対抗判定は──成功」
トビン「こっちは成功したのかわからないから、そのまま撃ちします。AC35まで命中!ダメージは……駄目だコレ。魔法の武器じゃないから効かねーw」

ガラング「アングリフ、力を貸そう。俺は60フィートの上空に"浮き身"で飛び上がって、白竜をアングリフと挟み撃ちにするぞ! コロコロ、AC18まで。ミス」
DM「あ、この距離なら接敵すると白竜から機会攻撃を受けますね。コロコロ、命中。ダメージ18点です」
ガラング「ごふっ……。い、今だ、殺るのだアングリフ!

空中戦1

アングリフ「よしシルヴァラ、一気に落とすぞ! 《ホバリング》中なので君なら全力攻撃できるはず!」
シルヴァラ「はい!」
アングリフ「シルヴァラの噛みつきが出目1でミス。爪二回がAC48、AC30で命中。さらに尾がAC37で命中!ダメージは合計72点
ラド「やっぱり銀竜は強いわw」
アングリフ「次に私は、強打を3点入れて白竜をランスで貫く。コロコロ。挟撃があるので、AC34まで。命中!ダメージは30点。二回目はAC20まででミス。三回目はAC30までで命中。ダメージ23点」

 空の上ではアングリフを乗せた銀竜が白竜の首に噛みつこうとしますが、白竜は急旋回をしてそれをかわします。
 しかし、銀竜の鉤爪が白竜の脇腹を抉り、さらに尻尾が白竜の体を打ち付けました。
 アングリフもそれに合わせて、ドラゴンランスを白竜の肩に突刺します。
 白竜は苦しみの咆哮を上げて、息を深く吸い込むと、アングリフたちに向かって吹雪のブレスを噴きました。

DM「アングリフとシルヴァラは反応セーヴをどうぞ。ダメージは29点」

ヴィヌク「アングリフ、俺との誓いを忘れるな!」
アングリフ「よし《ホナーバウンド》を使おう。我が言葉は我が名誉、我が名誉は我が命! セーヴに+2ボーナスを入れて、コロコロ、達成値18。ちなみにシルヴァラも18で」
DM「残念、失敗しましたねw」

《ホナーバウンド》(Honor-Bound/名誉の絆)
 言葉に従って名誉を守ることは、君にとって非常に重要である。
 君がセーヴ判定に失敗したことが、何か誓いや約束を破ることになるならば、君がどんなセーヴ判定に関しても+2の状況ボーナスを手にいれることができる。
 Dragonlance Campaign Setting, page 86.
 たちまち、白竜の吹雪に包まれるアングリフたち。

空中戦2

シルヴァラ「騎士よ、まだ生きていますか?」
アングリフ「あぁ、何とかな」
シルヴァラ「白竜が離脱します。機会攻撃を!」

アングリフ「私の攻撃がAC20まででハズレ。シルヴァラの分がAC40までで、命中!白竜にダメージ27点」
ガラング「俺も忘れて貰っては困るな。コロコロ、AC20まで。こ、こいつ手ごわいぞ!」
ラド「ガラングさん……」
PL「www」

 白竜はブレスを噴いた隙に、銀竜から離れます。
 シルヴァラがすかさずその尾に噛みつきますが、逃げられてしまいました。
 白竜はそのままヴィヌクたちの前に着地します。

DM「ここで超大型の白竜は、ヴィヌクたちに《畏怖すべき存在》の力を使いますよ」

ヴィヌク「出目1失敗……」
トビン「[恐怖]からの完全耐性」
シルヴァレン「達成値16」
ラド「俺は20」
DM「ヴィヌクとシルヴァレンは失敗ですね」

 ヴィヌクとシルヴァレンの頭の中で、〈氷壁城〉で白竜に殺されるデレク卿の姿が蘇ります。

ヴィヌク「くそっ! お、俺はもう死にたくない! ええい、儘よ! 接敵してエレメンタル・ブレードで攻撃だ!」
DM「では、こちらはリーチがあるので機会攻撃をしますね。甘噛みしてやる! AC30まで命中! ダメージ18点」
ヴィヌク「うぐっ。コロコロ、こっちはAC24まで。ハズレ……」
フリン「この騎士、臆病風に吹かれよってw」

戦慄のパーティ

 4ラウンド目になります。

ラド「よしよし。俺はウォール・オヴ・ファイアー、炎の壁をドラゴンの後ろに立てよう!」
トビン「呪文残ってたの?」
ラド「あぁ、これで本当に最後だ!」
DM「では呪文抵抗を持っているので、術者レベル判定を!」
ラド「抜けるのか? コロコロ、17。失敗……。(´・ω・`)」

シルヴァレン「私も《速射》で全力攻撃。コロコロ、一発目AC28まで命中、ダメージ14点。な、なんて巨大なのだ……」
シルヴァラ「シルヴァレン、あと一息です!」
シルヴァレン「あ、あぁ。二発目ミス、三発目ミス、四発目ハズレ。駄目だ、当たらない………」

 ラドの魔法の壁も掻き消され、シルヴァレンの弓もあまり当たりません。

フリン「ワシの番じゃ。ワシの《速射》を見ておれ、エルフの小僧! 一発目、A26までミス。二発目、AC21までハズレ」
トビン「駄目じゃんw」
フリン「黙っておれ! 三発目、AC29で命中じゃ! ダメージ10点!」

白竜落ちる!

 フリンの魔法のコンポジット・ロングボウから放たれた矢がドラゴンの眉間に刺さります。

白竜スリート『ギェァァァ!!』

 倒れる巨体。

フリン「やった!ワシじゃぞ、ワシもドラゴンを倒したぞ!!」

 歓喜するドワーフ。


別れと旅立ちと


 白竜が倒れて戦いが終ると、アングリフを乗せた銀竜がパーティの前に降りてきます。

シルヴァラ「騎士よ、降りなさい」
PL「そっけないwww」

 アングリフが降りると、銀竜は再びエルフの姿に戻ります。

アングリフ「儚い夢だった……」
トビン「でも夢が叶ったじゃないかw」
フリン「いや多くの夢が消えたわいw」

 シルヴァラは、シルヴァレンの前に歩いて来ます。

シルヴァラ「ごめんなさいシルヴァレン。私は〈誓い〉を破りました。あなたとはここで別れなけれならないのです」
シルヴァレン「……」
トビン「ほら! シルヴァレン、君は言うことあるだろ?」
シルヴァレン「私は……、私は君と別れるなんて耐えることができない! 私は、その縛りを解いてあげたいんだ!」
シルヴァラ「でも私の進むべき道は非常に危険です」
シルヴァレン「それでもかまわないさ! 私にとって、君がいなくなることが一番恐いんだ!」
ヴィヌク「ハークノスにも、さっき同じようなことを言っていたよなw」
PL「www」

シルヴァラ「でも貴方にはとても素晴らしいお仲間がいらっしゃるじゃないですか」
フリン「ワシら、素晴らしいかどうかw」
シルヴァレン「君だって仲間だし、いや。仲間以上のものだ、私は君を見捨てることはできないよ! やっとわかったんだ! 私は君を愛している!

 そう言って、両手を差し伸べるシルヴァレンに、彼女は涙を浮かべて微笑むと、彼に抱きつきます。
 強く彼女を抱きしめるシルヴァレン。
 二人はお互いを見つめ合うと、どちらからともなく唇を重ねます。


 その時、『おーい!』と遠くから声をかけるものがありました。
 その懐かしい声のした方を見ると、あのブライアンがこっちに走ってきます。

ブライアン「はぁはぁ。君達、無事か!? 約束通り、騎士団の駐屯地から援軍を連れて来たぞ!」

 ブライアンの背後には、十数人ばかりのソラムニア騎士たちの姿が見えます。

大団円

トビン「いや、今ドラゴンを倒して、一息ついていた所なのだけどw 」
テオ「僕が呼んでおいたよ。伝書鳩にここまでの地図を持たせて、駐屯地に送ってね!」
ヴィヌク「テオ君、生きていたか!」

 歓喜に沸くキュリーたちの中から、ひょっこりと顔を出すノーム。

ブライアン「しかし、ホワイトドラゴンを三匹も倒すとは流石君たちだ! 是非、ドラゴンオーブを持ってサンクリストに来て欲しい! 〈ホワイトストーンの会議〉がグンター卿により再招集された!
フリン「そか、そうじゃった! オーブとランスを持って会議に出ねば!」
テオ「ランス!? きゅうきょくのぶきがみつかったの!?」

アングリフ「あぁ、だがこれ一本だけだがな」
テオ「ぜひぜひ、是非!けんきゅ──くぁwせdrftgyふじこlp」
シルヴァラ「安心して下さい。私が、騎士団にランスの製造方法をお教え致しましょう」
ブライアン「それは本当か!?」

シルヴァラ「テロス・アイアンフェルドよ、改めて命じます。貴方にドラゴンランスを鍛える力を授けます。この混乱に満ちた世界を救い、悪しき竜を追い払うために、あなたはランスを鍛えあげるのです!」
テロス「おおお!!」

騎士団『おおお! あの伝説のドラゴンランスが戻ってきたのか!』
ブライアン「そうだ! この強力な武器があれば、アンサロン大陸から邪竜を追い払うことができる!」
アングリフ「我らに希望の光が灯った! これがその希望の光だ!」

 アングリフが高らかにドラゴンランスを掲げると、騎士団に溢れんばかりの歓声が上がります。

騎士団『おおおーー!』

 その光景を遠まきに眺めている老人が一人。
 彼はパーティの方にやってきます。

フィズバン「おい、ケンダー。トビンといったな。どうじゃ? ワシと共に冒険に出んか?」
トビン「フィズバン! アンタの一緒の旅も楽しそうだけど、ボクもサンクリストに行こうと思うんだ。ちょっと考えたんだけど、ひょっとしたらボクも騎士になれるかと思って。これでも一応騎士見習いなんだよ!」
フィズバン「そうか、それもいいじゃろう、そこの魔法使いはどうするのじゃ?」

ラド「俺は、このドラゴンオーブを御する力が身に付くまで、まだまだ冒険の旅を続けるつもりだ。邪竜を追い払って力が付くなら、いくらでも追い払おう」

フリン「オーブを渡すの?」
ラド「渡さないよw」

フィズバン「そうか。後は……」
フリン「ワシワシ!」
フィズバン「……ドワーフは好きにするがいい」
フリン「……」
PL「www」

 そんな彼らを見ながら、シルヴァラとシルヴァレンは二人話していました。

シルヴァレン「君の気持ちも聞かせてくれるかい? それとも私だと頼りないかい?」
シルヴァラ「私も貴方と気持ちは同じです。私もあなたを愛しています」
シルヴァレン「ありがとう。これから私は君と共に歩もう!」
シルヴァラ「はい!」

騎士団『ソラムニア万歳!!』

 暮れゆく夕日を背に、騎士たちの賞賛の声は、いつまでもこの谷中に響いていました。


 氷壁の白竜の書 完

■ あとがき

ここまで読んで頂いた皆さん、
長くてゴメンなさい。
そして、ありがとうございます!
お疲れ様でした!

今回は、『ドラゴンランス(戦記)』の3巻目(角川つばさ文庫版は未発売の4巻目)の最後のシーンに当たる部分で、小説では語られなかったドラゴンランスの鋳造施設がある巨大ドラゴン像のダンジョン探検でした。

プレイ時間約7時間。
撮った写真は約230枚。

リプレイの長さも、『白竜編』の最終回だったこともあり、以前に前編・後編に分けて書いた『時の金床』とほぼ同量の大作になってしまいました。

それもあってか、今回は特にDMの霧島さんの演出が多く入っており、キャラクターがこれまで冒険で積み重ねてきたモノをうまく生かしたシナリオで、素晴らしいセッションとなったと思います。

多少辻褄が合わなくなるところもありましたが、そこはうまくリプレイで吸収できたかなと思っていますがw
ラブシーンには苦戦しましたがw

ところで、タイミングよく嬉しいニュースが飛び込んできました。
なんと、あの"ドラゴンランス秘史"の三巻目『ドラゴンランス秘史 時の瞳もつ魔術師の竜』がアスキー・メディアワークスより、遂に邦訳され、来月末に発売されるようです!

DragonsOfTheHourglassMage

この秘史シリーズの最終巻となるお話の主人公は、ランスの英雄の一人、魔術師レイストリン=マジューレ。彼がいかにして強大な力を得て〈過去と現在の主〉になりえたか、その秘密が明らかになります!

今から非常に楽しみですね!

それでは、次回も読んで下さいね!


イラストの御紹介コーナー(追記:2010-09-05)


 ゴールドムーンこと、ふー画伯から今回もイラストが届きましので御紹介したいと思います!
 いつも素敵なイラストをありがとうございます!
 今回のテーマは「動物の相棒」で、スケッチ風に仕上げました!ということで、少しD&Dの動物のペットや相棒について解説を交えて、御紹介したいと思います。

 D&Dでは、動物・魔獣などを飼ったり、相棒にしたり、乗騎にしたりすることができます。
 まず、レンジャーやドルイドは、クラス能力で「動物の相棒」を得ることができます。これは飼い主と強い絆で結ばれており、乗騎や見張り、斥候、狩りの助手として働きます。シルヴァレンのハークノスはこの類です。

ハークノス
 ウィザードは「動物の相棒」ではありませんが「使い魔」を得ることができ、相棒兼従僕として仕えます。ラドは使い魔を持っていないようです。
 また移動する手段として馬を使ったりすることもでき、軍馬などを使うと騎乗したり、技能が必要ですが、攻撃をさせることができます。アングリフの愛馬スタームもこの類です。

アングリフ 愛馬スターム
 またペットとして、番犬なども購入することができます。用途は野営時の見張りや、毒ガスの罠などの斥候でしょうかw 次回のお話ではフリンがハークノスの強さに憧れて、ペットを購入します。彼のペット、ポッチの活躍に期待しましょう!

ポッチ

次回は!?


 ついに邪竜たちに打ち勝つ武器ドラゴンランスを手に入れた冒険者たち。
 彼らはドラゴンランスとドラゴンオーブを持って、サンクリスト島で開催されるホワイトストーンの会議に出席します。
 ドラゴン軍の勢力が高まる中、ランスとオーブは彼らと対峙する種族たちにとっての唯一の希望となるでしょう。
 しかし、人間、エルフ、ドワーフ、ノーム、それからケンダーに至るまで、アンサロン大陸の種族同士の啀み合いを乗り越えて、彼らは団結することができるのでしょうか?

 次回『尖塔の青竜の書:ホワイトストーンの会議』に続きます!



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