MAY YOUR POUCHES NEVER BE EMPTY!
君の小袋がいつまでも空っぽになりませんように!
author michi

Dragons of Autumn Twilight / 秋の黄昏の竜
ドラゴンランス 城砦の赤竜の書 その1:その2その3その4その5戻る
 今回から『城砦の赤竜』編に突入します。

 メンバーはいつもの面々に、今回はゴールドムーンとしてゲストでふーさんという方を迎えて、いつも以上に賑やかなパーティとなっております。
 NPCへの経験値分配は行わないポリシーのため、前回までずっと戦闘に参加できず回復を全くしてくれなかった彼女ですが、これでゴールドムーンのヤな女っぷりから解放されるはずです!(たぶんw)

 それでは行ってみましょう。

一路、ソレースへ


 パーティたちは〈新海〉に沈むザク・ツァロスの都から少し離れた場所で、手に入れたアイテムの確認と、今後の方針を話し合っていました。

 手に入れた念願のフィスタンダンタラスの呪文の書を読みふけるラド。
 そこに書いてあった呪文は、以下。

・チルタッチ/冷たい接触
・アーケインロック/施錠
・インビジビリティ/透明化
・ノック/開錠
・ライトニングボルト/雷撃

 一方、他のメンバーたちはキサンスから入手した〈ミシャカルの円盤〉を調べています。この円盤は、直径18インチ、厚さ1/16インチの160枚のプラチナの円盤の束から成っていますが、驚くほど軽くできています。

DM「──ええっと、円盤には何か文字が書かれていますよ。」
ゴールドムーン「らしいです。」
トビン「どれどれ……。うーん、ケンダーにはわかんないやw」
フリン「ドワーフのものでもないのう。」
ヴィヌク「ソラムニア語でもないな。ラド、頼む。」

 呪文の書に興奮気味のラドに頼み込んで読ませてみました。

DM「ラドにもわかりませんね。通常の言語ではなさそうです。」
ラド「アーティファクトか……。残念ながら、今の私では〈解読〉できない。」

 こうして、"真の神々のしるし"を見つけたパーティたちの次なる冒険は、この〈ミシャカルの円盤〉を読むことができる人間を捜す旅になっていきます。

トビン「そもそも、憩いの我が家亭で出会った変な老人に従ってここまできたんだからさ、ソレースに戻ってあの老人に見せてみようよ?」
アングリフ「いや、我々の任務は、真の神々のしるしをソラムニア騎士団に持ち帰ること。」
ヴィヌク「そうだ。そうすれば、その〈ミシャカルの円盤〉に書いている文字も解読できる!」
フリン「ふん、ソラムニア騎士団なんて信用ならんわい。」
アングリフ「なんだと!」
トビン「まぁまぁ。じゃぁソレースに戻って老人がいなかったら、ソラムニアに行こうよ」

ソラムニア騎士団
"Est Sularus oth Mithas(我が名誉は我が命)."と、厳粛な典範に誓いをたて、正義と勇気を重んじるソラムニアの騎士団。
かつて人々に尊敬され、クリンに大きな影響力を持っていましたが、〈大変動〉以後、その影響力は衰え、人々の信頼も失われています。


 パーティたちは一路ソレースに向かうことになりました。途中、ヴィヌクが乗ってきた馬を見つけます。

ヴィヌク「おお、無事だったか、アカアシ!」
トビン「アカアシ?軍馬の名前?」
ヴィヌク「うむ。おお、そうだ!アングリフよ、私の馬を使え。野外での戦闘は《騎乗戦闘》の特技を持っているお前の方が得意。ソレースまで、またドラコニアンどもと出合うやもしれぬ。」
アングリフ「かたじけない。使わせてもらうぞ!」


 そうしてイーストウォール山脈の街道を抜け、アバナシニア平原を西へ横断します。目指すはソレース。〈憩いの我が家亭〉のティカたちは無事でしょうか。

 平原の民、ケ=キリ族の集落に近づこうとしていたパーティたちは、あたりのただならぬ異変に気がつきました。
 多くの生物の行軍の足跡が何千と続き、草木が踏み潰されて、黒い油や二輪荷車の輪跡によって蹂躙されています。
 そして、集落の方からからは、いくつも煙が立ち上っているではありませんか。

アングリフ「あれは何だとおもう?近づいて調べに行かねば。」
フリン「不吉な兆しじゃ」
ラド「我々を集落に入れなかったからだ。」

 煙の立ち上る集落に近づくパーティたち。
 人々の住居は炎で焼かれて朽ちており、まわりに死と腐敗の臭いが充満しています。



 ここで、〈聞き耳〉判定の結果、ヴィヌクとトビンとゴールドムーンが何者かのうめき声を聞きます。

ゴールドムーン「どこかで声がするわ。」
ヴィヌク「俺も聞こえた。」
トビン「たしかに。これは……あっちだよ!」

 皆で近寄ると、かつて建物だったところの場所に、一人の老人が瓦礫の下敷きになって倒れています。

老人「……ぅぅ。」
ゴールドムーン「まだ生きているわ!」
アングリフ「よし、ナイト・オヴ・クラウンの特殊能力、"Strength of Honor"を使用。【筋力】に+4のボーナスを得て、瓦礫を退けるぞ!コロコロ……、達成値31。」
DM「はい、成功です。瓦礫は退けられました。」
ゴールドムーン「では、私が治癒の呪文を使うわ!」

 弱っている老人に手をかざして、ミシャカルの加護を願い、キュア・ライト・ウーンズ、軽量治癒の呪文を唱えるゴールドムーン。今回は珍しくヤル気ですw

老人「あ……ああ、あなた方が私を助けてくれたのか。」
アングリフ「ご老人、ここで何が起こったのですか?」

老人「この有様が見えるだろう。奴らは突然北からやってきたのじゃ。最初に、巨大なトカゲが恐怖と共にやって来て、奴らは我々の集落に入ってきた。我々は、戦った……。我々は長く困難な状態で戦ったが、奴らは数が多すぎた。彼らはトカゲの顔をしていた。さらに、翼の生えたトカゲが我々の家の上を飛び回り、炎を波打つように吐き散らしたのじゃ。あ、あれは、伝説に聞くドラゴンじゃ。」

トビン「ドラゴン!?」
ラド「で、老人。あなたの部族の者は?」

老人「多くが死んだ。そして生き残った者は連れていかれた。ワシは隠れた!そう、隠れたんじゃ!ワシの同胞はいつもどってくるんじゃ?いや、我々の平原はいったいどうなっておるのじゃ!?」

 興奮した老人をなだめるゴールドムーン。

フリン「邪悪の軍勢が手を広げているということじゃな。」
ラド「おそらく、我々が〈ザク・ツァロス〉で見た奴らと同じ。」


 その時、突然声が聞こえました。

声の主「何だ?まだ生き残っている奴らがいたぜ。」

 振り返るパーティたち。60フィートほど先で、何匹かのドラコニアンがこちらを見て、ニヤニヤと笑っています。

 さぁ、ここで本日最初の戦闘ラウンド開始です。



ラド「DM、ドラコニアンってどんなタイプ?」
DM「まだ戦ったことの無いタイプです。」
ラド「では〈知識〉チェックね。コロコロ……。」

 結果、彼らはカバック・ドラコニアンと呼ばれるタイプということがわかりました。牙と持っている剣には毒があり、さらに死ぬと爆発し、5フィート周囲に、強酸を撒き散らすようです。

ラド「ふっふっふ、愚かな。固まってるな。先手必勝!ファイア・ボールで消し炭にしてくれる!」

 最初にラドが、そのドラコニアンの集団に向かってファイア・ボールの呪文を撃ちます。



DM「ええっと、反応セーヴに失敗したのは2体だけだね。その2体は死んで消し炭になったよ。」
フリン「じゃぁ残っている者に、ワシは弓じゃ。」

 続く、フリンの《速射》でさらに1体が倒れます。
 しかし、生き残った者たちが、ヴィヌクに突撃をし、
パーティたちはどんどんと囲まれてきます。

アングリフ「私も〈騎乗〉したまま突撃。行け、アカアシ!」

ヴィヌクの馬を乗りこなし、アングリフは迫るドラコニアンに攻撃を仕掛けます。

アングリフ「まず、アカアシの攻撃、コロコロ、ぐぅ。失敗。じゃぁ乗っている私のランスの攻撃、コロコロ、命中?」
DM「あたりました。」
アングリフ「ダメージ10点!」
DM「反応セーヴでかわしたとはいえ、さっきのファイア・ボールの攻撃を半分のダメージを受けているので、溶けて爆発して酸を撒き散らして死にましたよ。」
トビン「グロイなぁw」
アングリフ「私は10f離れているから大丈夫。マスター、酸のダメージって隣のドラコニアンにも及ぶ?」
DM「及びますね。ええっと、彼らは……、あれ?酸に対するダメージ減少能力は持ってないのか?!」
トビン「おおwダメージ受けちゃうね。」

 結果、酸のダメージを受け、隣のドラコニアンが死に、さらに爆発。その隣のドラコニアンも酸のダメージを──と、どんどんと誘爆して死んでいきます。



DM「なんだこれ……。」
フリン「くっくっく。一杯おったが、奴らはアホじゃw」

全員、爆笑。

 その後、生き残ったドラコニアンたちを、彼らから全く攻撃を受けないまま(酸ダメージは少し受けましたが)、片付けて戦闘が終わります。

フリン「意外と楽な相手じゃったな。」
ヴィヌク「うむ。悪は内から滅びるとは、このことだ。」


ソレース炎上、乱闘と投降


 さて、ソレースに向けて、冒険の再開です。

DM「それでは〈視認〉を。」

 〈視認〉判定を成功させ、何かの煙に気がつく、フリンとトビン。

フリン「ん?なんじゃ?あの煙は!」

 先を先行していたトビンが慌てて戻ってきます。

トビン「たいへんだ!みんな!ぼくらのソレースが燃えているよ!」


 先を急ぐパーティたち。夕暮れ。ソレースに近づくにつれ、街の建物の明かりが見えてきますが、何か違います。

 〈憩いの我が家亭〉は残っていましたが、立派なヴァレンウッドの太い枝の高さにあったその建物は、今、地上に降ろされています。
 建物の半分は完全に残っていますが、キッチンは半壊しており、ありあわせの補修をして、営業をしているようです。
 今や、かつて木の上にあった多くの建物が地面に降ろされており、その殆どは見る影もなく粉々になっています。
 炎はあちらこちらの残骸の中でまだ燻っており、生き残った者たちが瓦礫を取り除いたりしているようです。
 子供は泣き叫び、人々は嘆き、深い悲しみがソレースを覆っています。


フリン「わしの家の金床は無事なのか?」
トビン「ダメっぽいね。」
アングリフ「酷いな。マスター、街の人に何があったのか聞きます。」
DM「はい、どうやらここも同じく軍隊に攻め込まれたらしいですね。建物は燃やされ、健康な者は捕まり、どこかに連れていかれたようです。残っているのは女、子供のみ。」
ラド「とりあえず、〈憩いの我が家亭〉へ入ろう。」


 懐かしいオティックの揚げジャガの臭い。やはり、ここが懐かしの〈憩いの我が家亭〉には違いないようです。
 ドアの近くのテーブルに、痩せこけたフードを深くかぶった男が一人、エール酒を飲んでいます。
 客は疎らで、殆どいません。僅かにいる客も、誰も微笑んでなく、パーティたちの訪問に関心を向けるものはいません。一名を除いて。

ティカ「いらっしゃ…あぁ!」

 驚く、ティカ。しかし、すぐさま平静を装い、
彼らをテーブルに案内します。彼女は声を低くして話します。

ヴィヌク「とりあえず、腹ペコなんだ。すまんが、全員にビール、それと食べ物を。」
ティカ「皆無事だったのね!今度は私を連れていって頂戴!ねぇお願い!あなた達が居ない間にいろいろあったのよ!」
トビン「すごいんだ!ティカ!ぼく達ドラゴンに会ったんだよ!倒したんだよ!」
アングリフ「声が大きいぞ、トビン!」
ティカ「それ本当なの?このソレースにも赤いドラゴンがやってきたのよ!ドラゴンの顔をもった兵士たちも信じられないくら来たわ。シーク教徒の兵士たちも戦ってくれたんだけど、彼らに対抗することはできなかったわ。空き地を焼き払い、怪獣の爪でソレースの建物は皆地上に降ろされ壊されたわ。そして、ヴァレンウッドの木に火をつけたの。生き残った男たちは捕らえられ、南の方に連れていかれたの。テロスは奴らの武器を修理するために残されたけど。」
トビン「──大丈夫?ティカ?」



 本人でさえドコで入手したかわからないハンカチをポケットから差し出すトビン。

ティカ「え、ええ。ここも奴らに食事を提供することで残されてるんだけど、実は、お店の倉庫にはもう数日分しか食料が無いの。この事が奴らに知れたら……」

その時、入り口に新たな客が入ってきました。
カバック・ドラコニアンが6匹です。

ドラコニアン「おい、ねーちゃん、酒じゃ!」
ティカ「は、はーい!いらっしゃい!ただ今お持ちしますー!」
ドラコニアン「ぐずぐずするなよ!早くもってこい!でないと逮捕するぞ!」

 急いで給仕を再開する彼女。

ドラコニアン「ん?貴様、邪魔だ!どけ!」

 ドアの近くのフードの男にからむドラコニアン。
 さきほどからプルプルと髭を震わせているアングリフ、キレる一歩手前です。

PL「アングリフ、切れそうw」
PL「本来なら、リーダーのタニスが制止してくれるんだけど、このパーティ、リーダーのタニス枠のPCがいないしw」
トビン「てことは、しょうがないよね。」
ラド「うむ。そろそろいいよ、アングリフ。」

アングリフ「無礼な言動は慎んで頂こうか。」

 いそいそと敵を配置するDMですが、暫く考えて配置をしなおします。

PL「あ、バラバラになった!」
PL「ズルイぞ!コッソリ、カバック・ドラコニアンの距離を離して配置してやがる。」
DM「いや、もう酸で誘爆は勘弁して!(泣」

 立ち上がるフードの男。同時に下がったフードの下から出てきたのは尖った耳をもち均整の取れた美しい顔の美男子。

ドラコニアン「ふん、エルフがいるぜ!このうざいソラムニアの騎士ともども、やっちまえ!野郎ども!」

 はい、ここで戦闘を開始です。

ラド「ラドは奴を〈知識〉判定します。コロコロ……、どう?」
DM「ラドはわかりました。クォリネスティ・エルフですね。」
ラド「──らしいぞ。」

 もう敵に接近しているため、乱戦状態です。

PL「あ、こいつを攻撃するといいかも。微妙に隣接してるw」
DM「あちゃ!しまった……。1匹配置ミスったか。」
フリン「じゃぁワシはその敵を狙うぞ、コロコロ……、命中。ダメージ16点。たしかあと1点で死ぬな。」
DM「何で君ら、HP知ってるのさw」
PL「さっきの戦闘で、だいたい見当ついたしw」

アングリフ「コロコロ……、私も命中だ。これは非致傷ダメージで、13点。」

非致死傷ダメージ
肉体武器などを含む特定の武器では、命中判定に-4のペナルティを受けて"非致死傷攻撃"を行うことができます。このダメージによってHPが0以下になっても、相手を殺さずに倒すことができます。



弓を構えようとするエルフ。

アングリフ「そこのエルフのお方。気をつけてくれ、彼らを倒すと酸を撒き散らします!」
エルフ「わかった。」

 ゴールドムーンはスリングで石を投げつけ、ドラコニアン一匹が倒れました。たちまち爆発し、まわりに酸のダメージが降りかかります。

ドラコニアン「熱!お、おいもっと向こうに行けお前!」
ドラコニアン「お前こそ、あっちに行け!」

 さらにアングリフが1匹倒しますが、こちらは非致死傷ダメージで倒れるだけです。
 続くトビンも敵の攻撃をひらりとかわしながら、フーパックで攻撃して、1匹倒し、爆発。

DM「その敵だと、ヴィヌク、アングリフ、ゴールドムーンが酸を浴びますね。」
トビン「てへっ!やっちゃったw」
ヴィヌク、アングリフ、ゴールドムーン「おい!」

 その後、フリンの攻撃で1匹倒れ、またもや味方に酸ダメージ。さらに1匹倒して、ゴールドムーンとフリンに酸ダメージ。

PL「てかこれって反応セーヴとかないの?」
DM「無いです。」
PL「敵の攻撃は当たらないから平気なんだけど、これは地味に痛いw」
DM「ティカもフライパンを持って代用武器として攻撃しましょうかw」
PL「やめてw」



 さて。こうして粗方片付けたところに、敵の援軍が!すでに店の周りを囲んでいます。

トード長官「ワシは、ヒューマスター・トード。この酒場で騒ぎを起こしたものは全員逮捕だ!お前達は包囲されいる。武器を渡し、直ちに投降せよ。」

 赤い目をしたホブゴブリンの男が進み出て叫びます。

トビン「あちゃー、これは勝てそうにないなぁ。じゃぁボクは、〈手先の早業〉で短剣を靴に隠すよ。」
DM「じゃぁ衆人環視の場で、難易度+20ほど……。」
トビン「大丈夫。ハンドラーの特殊能力"Five Finger Fighting"で、〈手先の早業〉のボーナス+20ね。コロコロ……、30。たぶん成功w」

フリン「うぬぬ。残念じゃがここまでか。大人しく武器を渡そう。」
アングリフ「いやだ。渡すわけにはいかん。この剣は家法だ。我が名誉は我が命!」

と一人だけ頑固に武器を渡さないアングリフ、そして
、ラドの方をチラチラと見つめます。

PL「どうやら、アングリフは例のあのセリフを言って欲しいらしいなw」
PL「大長虫キャティルペリウスw」
PL「それそれw」

大長虫キャティルペリウス
 小説のこのシーンで、取り上げられたアイテムを守るため、術者のレイストリンが呪いをかけたと〈はったり〉をしました。
 アイテムに触った犠牲者は、奈落から現れる大長虫キャティルペリウスに貪り食われてしまうそうです。
 レイストリン、タニス、タッスルのここでのやり取りは笑えますw

フリン「騎士よ、我々の大儀のためにここは──」
アングリフ「……」

 結局、フリンの説得で無言で武器を渡すことになりました。

ラド「ええっと、私はトビンに目で合図を送って、自分のマテコンポーチを盗んでもらいます。」

 さすがウィザード。呪文構成要素が入ったポーチと取られては、物質構成要素が必要な呪文が唱えられません。ちゃっかりしています。
 取り上げそうになるラドのポーチを、ささっと盗んでしまうトビン。クラスの特徴がスリに特化したハンドラーには朝飯前です。

 まぁ、大長虫キャティルペリウスのシーンは、あったか秘密ですが、パーティたちは武器を渡し、一旦投降することになりました。

トード長官「お前達は鉱山に連れて行かれ、そこで一生働き続けるのだ!ガハハハ!」


奴隷護送車、そして襲撃と脱出


 奴隷護送車に入れられて、連行されるパーティたち。
 ミシャカルの円盤にはトード長官はあまり興味を示さなかったようで、彼らの武器と共に別の車に積み込まれます。
 唯一、ヴィヌクの馬アカアシはトード長官に取り上げられ、彼の馬となってしまいました。

アングリフ「俺の馬が……」
ヴィヌク「いや、本当は俺のなんだが。」



 フードのエルフの男と、フライパンを持ったままのティカ、それに鍛冶屋のテロス・アイアンフェルドも一緒のようです。
 彼は、ドラコニアンたちに逆らって、無残にも片腕を切り落とされて苦しんでいます。

PL「とりあえず、テロスを助けないと!」
PL「だよなー。」
PL「こらこら、皆まで言っちゃダメよ。」
PL「DM、とりあえず怪我人を助けなければならない。みんなでまわりから見えないように円陣を組むwその中でゴールドムーンが治癒の呪文を使う!」

エルフ「なんと!それはもしや、真の癒しの力ではないか!」
フリン「そうじゃが何か?」
PL「何かじゃないだろw」
トビン「ええっと、話題を変えよう。エルフが、ソレースに来るなんて珍しいよね。君は何者?」

エルフ「私の名は、ギルサナス。そちらの術者殿にはもうお見通しかもしれないが、クォリネスティの〈太陽の評議長〉の息子だ。」

 お互い簡単に自己紹介します。
 護送車のキャラバンはソレースを発ち、南へ向かいます。
 食事は、彼らの召使いのどぶドワーフが届けてくれますが、不味くてとても食べられたものではありません。

トビン「ねね、きみ、どぶドワーフ?」
どぶドワーフ「おら、セスタン。ごはんもらう。ここではたらく。」
セスタン「おまえら、たべない?もったいない、おらがもらう。」

 しょうがないので、クレリック呪文が使えるようになったゴールドムーンのピュリファイ・フード&ウォーターの呪文で、食料と水を生成してもらい、なんとか空腹をしのぎます。
 もちろん円陣を組んで、バレないようにw

ドラコニアン「おい、あそこの奴隷、いつも円陣組んでなにやってるんだ?」
ドラコニアン「脱出の密談かも知れん。」
ドラコニアン「よし、しっかり見張らねば!」


 護送3日目、キャラバンの行く手に、木に向かってなにやらブツブツ話している老人に遭遇。怪しい奴!とすぐに捕まって、パーティの護送車に入ってきました。



PL「その老人は、ひょっとして我々はみたことあるよね?」
DM「はい。ありますよ。〈憩いの我が家亭〉で。」
トビン「またあったね!ちょうどボクらはあなたを捜してたんだよ!」
老人「ふむ。ワシの名は、ええっと……、そうじゃフィズバン」
トビン「フィズバンは魔法使いなの?」
フィズバン「おお、いかにもそうじゃ。」
トビン「じゃぁ何か呪文をつかえるの?使ってみせてよ!」

 目を輝かせながら老人にせがむトビン。

フィズバン「おおつかえるぞ!ウェブ!
パーティ「やめ……、おわっ!」

 たちまち蜘蛛の糸で一杯になる護送車の中。

PL「ええっと、反応セーヴは……しなくていいかw」
ゴールドムーン「余計なことをしないでよ!」
フィズバン「は、はい……。」

 ションボリとする可哀想な老人。
 いや、このお方にそんなことを言っていいのかゴールドムーン?
 今日の彼女は一味違いますw


脱出、そしてエルフの森へ、クォリネストの都


 さらに進む護送車のキャラバン。ちょうどホワイト・レイジ〈白い怒り〉川に差し掛かった時、ギルサナスがパーティに耳打ちをします。

ギルサナス「お前達。逃げる準備をしておけ。」
パーティ「は?」


 その時、近くの草むらの中からピシュンと1本の矢が護送車に飛んできて突き刺さりました。

ドラコニアン「敵襲!エルフの襲撃だ!」
ドラコニアン「どこだ!?見えない!」

 あたりが急に騒がしくなり、遠くで戦闘が始まったようです。さらにアカアシに乗ったトード長官がやってきて、

トード「私は襲撃の報告に先にいく。お前達はここを守っておけ!」
ドラコニアン「はっ!」

PL「このホブゴブリン、自分が逃げたいだけだよなw」
PL「しっー!w」
アングリフ「てか、俺の馬ぁーー!」
ヴィヌク「いや、俺のなんだが。」

 ラドは、武器やアイテムを積み込んだ護送車にグリッターダストを唱え、あたりを目潰し効果のある金粉で一杯にし、装備品を守ります。
 護送車の鍵はセスタンを脅して開け、脱出。アイテムを回収した後は、ギルサナスに先導されて近くの森に逃げ込みます。

 本来ならば戦闘があるのですが、今回はDMの判断で省略とのこと。今回がTRPG初めてのふーさんには連戦はキツイかもしれません。
 ということで、パーティたちはうまく脱出して、アングリフの剣をはじめ、無事武器やアイテムを取り返しました。

フリン「ワシらの損害は、アカアシだけじゃなw」
アングリフ「俺の馬……」
ヴィヌク「いや、俺のだって!」

 そのままパーティはギルサナスに連れられて、森の中を数時間歩きます。日は落ち、もう夕方になっていました。

ギルサナス「着いた。ここはクォリノスト。」
トビン「すごいや、ボク、エルフの国に来るのははじめてだ!」
フリン「皆はじめてじゃわい」

 クォリネスティ。この森は何千年もの前からクォリネスティ・エルフの故郷です。
 〈大変動〉以来、この地域はエルフによって統治され、エルフ以外のものの殆どはこの森に立ち入ることが許されていません。
 森は美しく神秘的で、群生している松や柳の木、エルフさえ何世紀も手付かずの巨大な木々たちが生い茂っています。
 野生の動物たちも沢山いるようで、遠くで鳴く彼らの声が、森の間を吹く風の音と共に聞こえてきます。
 しかし、エルフたちにはこの森が今、死に直面していることを認識しています。

ギルサナス「まずは君達には、私の父〈太陽の評議長〉に会ってもらう。」

 ポプラの木の陰からエルフの中でもひと際美しい女性がパーティの側にやってきました。

ギルサナス「ここからは彼女に案内してもらう。それでは後で会おう諸君。」

 パーティたちは美しいエルフの女性に連れられて、〈太陽の塔〉の最高会議の謁見の間に連れていかれました。
 そこで待っていたのは、煌びやかな黄色いローブを着た銀髪の背の高いエルフの男。

太陽の評議長「ソレースから来た人々よ、話は聞いておる。この度は私の息子を助けてくださったそうで、大変感謝している」
パーティ「いえいえ、我々もあなた達に助けて頂いた──」

と、これまでの経緯などを話すパーティたち。ミシャカルの円盤についても聞いてみることになりました。

ゴールドムーン「評議長よ。この円盤について知っていることがあれば教えて頂きたいのですが……」

 結果は、ミシャカルについての情報は特に得られず。
 続けて、評議長は話します。

太陽の評議長「我々は、実はこの森を捨てて西に行こうと思っているのだ。」

 彼が言うには、ドラゴン卿の軍勢がこのクォリノストに来るのも時間の問題で、彼らに蹂躙される前に先祖代々住みなじんできた森を脱出して逃れようとしていたようです。
 そして、ギルサナスたちを〈パックス・タルカス〉の鉱山に向かわせ、そこで奴隷を解放させて敵を混乱させた隙に、このクォリネスティを皆で脱出する計画でした。しかしギルサナスがソレースで捕まってしまい──後はパーティたちの知るところ。

太陽の評議長「時間が切迫している。ドラゴン卿の軍勢は〈パックス・タルカス〉に着々と集結しておる。そこで、君達にお願いがある。〈パックス・タルカス〉に行って、奴隷となっている我が同胞と君達の同胞を解放し、反乱の指揮を取ってはくれぬだろうか?」
ラド「我々に囮になれと?」
太陽の評議長「そうはいっておらん。時間を稼いでくれるだけでいいのだ。君達も同胞を解放することができる。それに君達だけを危険にはさらさない。我が息子、ギルサナスも同行させよう。スラ=モリを抜けていけば〈パックス・タルカス〉の裏から侵入できる。」
フリン「敵軍はどれくらいいるんじゃ?」
太陽の評議長「斥候の情報では、赤いドラゴンに、ベルミナルドと名乗るドラゴン卿が一人、それからホブゴブリンやドラコニアンがいるらしい。」
ゴールドムーン「ベルミナルド!」

 ゴールドムーンの脳裏に、彼らに焼き払われてしまった故郷のケ=シュ族の集落が浮かび、深い悲しみと強い怒りが彼女を包みます。

フィズバン「ワシはどちらにしろここに残るわい。一緒にきたテロスとも話しがしたいしのぅ。」
PL「残るのかよw おい爺さん、何を話すのか凄い気になるぞwww」

アングリフ「我らはギルサナスに命を助けられた恩がある。それを返さなければならん。評議長殿のこの任務、お引き受けいたそうぞ。」

太陽の評議長「感謝する。友人よ。」

アングリフ「ところで、評議長殿。馬を2頭、拝借したいのだが……」
アングリフ「できればヘビーウォーフォースで……」



クォリネスティの王女、ローラナ


 先ほどの案内をしてくれたエルフの女性が再びやってきます。

エルフの女性「申し遅れました。私の名前はローラナ。兄を助けて頂いて私からも御礼を申し上げます。」
PL「おおw彼女がローラナか!」

ローラナ「今日はもうお疲れでしょう。簡単ながら食事と宿舎を用意させました。私が案内しますわ。」
ラド「よろしく頼む。」
トビン「ねぇねぇ。エルフの弓って素晴らしいらしいね。よかったらボクにも使わせてくれないかな。たぶん子供用だったらぴったりだとおもうんだけど……」
ローラナ「わかりました。任務に必要なものは用意させましょう。」
フリン「クィスパという保存食も頼むぞw」
ローラナ「よくご存知で。^^;」

DM「ローラナは、パーティを宿舎に案内すると、『明日は頑張ってください、良い夢を。』と言って去ります。」
PL「なんだ、それだけか。」
PL「さて、夜も遅いしもう寝るか。」
DM「その時、遠くで鋭い女性の悲鳴が聞こえましたよ。」
PL一同「ええ!?」

 外に出てあたりを確認するパーティたち。
 空には銀の月ソリナリ、赤い月ルニタリが出ており、月明かりで割と遠くまでみえます。黒ローブの魔術師たちならきっともう1つの月、ヌイタリまで見えているかもしれません。
 DMから〈視認〉ロールを要求された結果、トビン、ヴィヌクが成功しました。

ヴィヌク「カバック・ドラコニアン!またやつらか!」
トビン「ドラゴンっぽいのもいるよ!」
パーティ「何!?」

 彼らの言うとおり、カバック・ドラコニアンがパーティたちの方に向かってきています。それに、黒い翼の生えたトカゲが1匹。しかもホブゴブリンを乗せており、彼の脇には女性の姿が!

ラド「とりあえず〈知識〉判定、トカゲはドラゴン? コロコロ……」
DM「ドラゴンではないようですね。ワイヴァーンです。ちなみに脇に抱えているのは先ほどのエルフの女性。」
パーティ「ローラナ!?」



 はい、ここで戦闘開始です。
 まず、ゴールドムーンがブレスの呪文を唱え、パーティたちにミシャカルの祝福を与えます。
 フリンの《速射》とトビンのフーパックの攻撃が、向かってくるドラコニアンを1匹倒します。
 続いて、ヴィヌクはアングリフと挟撃状態になり、攻撃ロールでクリティカルヒット、1匹倒して、二人は酸を浴びます。
 ラドは、ヘイストの呪文。これで皆の移動速度が上がり、攻撃回数も増えます。

 次のラウンド、スリングで攻撃する積極的なゴールドムーンが1匹倒します。
 速射するフリン、飛び立とうとするワイヴァーン。

トビン「まずい、逃げられるよ!」



ゴールドムーン「ええっと、ではワイヴァーンに向かって、ホーリースマイト!聖なる一撃!」

 戦うクレリック、ゴールドムーン!

DM「ええっと、残念ながらワイヴァーンは中立なので、意思セーヴ失敗したけど、ダメージ半分だけね。」
PL「えーっ!」
PL「そいえば、これは範囲呪文だから、騎乗しているホブゴブリンもダメージ受けるのでは……」
DM「あ、そうでした。うう、こいつは痛いなァ。ちなみに彼女は影響を受けませんでした。」」
PL「受けたら、怖いわw」

フリン「じゃぁワシが《速射》で、ワイヴァーンを狙う。コロコロ……、命中!ダメージ12点。」
DM「あぁ……。では上のホブゴブリンは〈騎乗〉で失敗した。」

 バランスを崩し、60フィートの高さを飛んでいたワイヴァーンから落とされてしまいます。



PL「60fの距離だと、たぶん死ぬなw」
DM「はい、彼は上空から落下し、地面にたたきつけられて死にましたよ。ちなみにローラナは必死にワイヴァーンにしがみついていますね。」

トビン「雑魚はどうにかなるから、あとはワイヴァーンだけ!」
ラド「よし、フライの呪文をアングリフにかけます。」

 その間に、次々とドラコニアンを倒していく、トビンとヴィヌク。
 ワイヴァーンに向かって速射するフリン、4連続で全部あたりです。

PL「すげー、全部当たりw」
PL「でも、このまま殺しちゃうと落下してローラナも死んじゃうのでは……」
DM「ワイヴァーンはかなりダメージを受けましたが、まだ何とか生きてますよ。」

ラド「ワイヴァーンに向かってマジックミサイル。ダメージ、コロコロ。死んだかな。」
DM「ええっと、死にましたね。ワイヴァーンは絶叫と共に下へ落ちていきますよ。」
PL「ローラナは無事か!?」
DM「ええっと、60f落下するので……ローラナは……」
ラド「わかってる。割り込みアクションでフェザーフォールをローラナにキャストしますよ!そして、《Heroic Surge》の特技の追加アクションで、空から降ってきた彼女を私が──」
アングリフ「フライで飛行中の私が飛び出して彼女をしっかりと抱きかかえます。」
ラド「え?」
アングリフ「大丈夫ですか?レディ。」
ローラナ「優しいお方、ありがとうございます。(ぽっ)」
ラド「なにぃーーー!」

 熱い目でアングリフを見つめ、頬を赤く染めながらお礼を言うローラナ。
 2つの月をバックに、ダンスを踊るようにゆっくりと地面に降りる二人。

ラド「も、もう一度マジックミサイル撃ってやる!」
トビン「わー!やめてぇw」

 ──おあとがよろしいようで。

 ここで時間が来たので今回は終了。
 後で死体を確認したところ、ワイヴァーンに乗っていたのは、あのトード長官でした。

戦利品
高品質のスタテッドレザー+ショートソード+鋼鉄製ライト・シールドが6セット。


次回へ


 ソレースに戻ったパーティたちを待っていたのは、トード長官率いるドラコニアンの駐屯部隊だった。
 彼らに捕まり一旦は奴隷鉱山に運ばれるも、クォリネスティの王子ギルサナスと共に脱出したパーティ。
 彼の故郷クォリネスティへやって来た彼らは、パックス・タルカスからの同胞の解放という任務を受ける。
 秘密の道〈スラ=モリ〉を抜け、パックス・タルカスに向かった彼らを待っている脅威とは何か?
 そして、ローラナとの恋のフラグが立ったアングリフの運命は如何に!?

アングリフ「あとはアルハナ・スターブリーズを手中に収めれば、クォリネスティもシルヴァネスティも私のモノだ。」

おい!あんたローフル・グッドだろうが!
やっぱりソラムニア騎士団は堕落してしまってるようですw

それでは、次回もまた読んでください!


あとがき:
 皆さん、大変遅くなりましたがお疲れ様でした!
 ゴールドムーンのふーさんはTRPG初体験ということで少々ぎこちないプレイでしたが、おかげで戦いは順調に進みましたw
 今回はPL6人とかなり賑やかで、シナリオ的にはあまり進まなかったようですが、大変楽しくプレイすることができました。
 なんといっても、最後、いい所だけ持っていたアングリフには爆笑w
 アングリフ、いろんなフラグが立ってそうですw

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