ミシャカルの神殿
その場所はかなり朽ち果ててはいましたが、先ほどのドラゴンがいた雰囲気とは打ってかわり、暖かさと慈愛に包まれています。
ゴールドムーン「ここは……、女神ミシャカルの神殿です。」
部屋の中央にはミシャカルの像が立っていて、ゴールドムーンは迷わずにそこに向かって進み、その像の手に、持っていた青水晶の杖を乗せます。
すると杖が光りだし、輝きの鈍くなった青水晶に再び光が戻ります。彼女はそれを確認すると、再び杖を取り、すでに魂の抜け殻となった彼女のパートナーに当てました。驚いたことに、内臓が見えるほどただれた皮膚がみるみる内に元に戻り、消えていた命の灯火が彼の体に再び戻ってきました。
トビン「すごいや!」
フリン「奇跡じゃ!生き返った!」
アングリフ「これが300年間失われていた癒しの力か!」
そのとき、パーティたちの心に何処からともなく声が聞こえました。
最愛の子らよ、
神々は人に背を向けたのではなく、
人が神に背を向けて偽りの神々を捜し始めたのです。
しかし、暗黒の時代は終わりを告げるでしょう。
クリンは大いなる試練に直面しようとしています。
そのとき、人は真実を求めるでしょう。
あなた方はその真実を取り戻し、クリンの均衡を回復せねばなりません。
この寺院の奥深くに、
あなた方が私の力を受けるために必要とするプラチナの円盤、
ミシャカルの円盤があります。
それを取り戻しなさい。
円盤はドラゴンの洞窟にあり、簡単にはできないでしょうが。
しかし私の祝福した杖を掲げるのであれば、
大いなる力が貴方たちに訪れるでしょう。
行きなさい、本当の人々の導き手を捜すのです!
謎の男「話は聞かせてもらった!」
PL「またかよ!」
ここで、ここから参加のJarkJaxさんのキャラクター、ヴィヌクがパーティに入ります。
PL「彼はどうやってここまで来たんだ?」
PL「まわりはドラコニアンばかりですよw」
PL「きっとパラダインのお導きだってw」
フリン「おひとりで、よくぞここまで……。」
ヴィヌク「実はここまで白い鹿に導かれて来たのです。天の加護です。」
アングリフ「おお……、それは善なる神パラダインの化身に違いない!ヴィヌク、おまえが来てくれてうれしいぞ!」
ヴィヌク「私もだ。俺がお前を守ろう。」
アングリフ「うむ。俺もお前を守る。」
アングリフ・ヴィヌク『我が名誉は我が命!』
剣を構えて声をそろえるように二人は言い合い、再会を喜びあうように、がっしりと抱き合います。
アングリフと同じソラムニアの騎士ヴィヌクは、上司のグンダー卿から、今クリンを騒がしている邪悪な存在の調査と、堕落したソラムニアの騎士団の復興ための印となるものの探索を命ぜられ、密書を携えて、アングリフが向かったこのザク・ツァロスにやってきたようです。
積もる話の後で、彼を加えて冒険が再会されることになりました。
ここで改めて現在のプレイヤー構成を見てみましょう。
フリン・ファイヤーフォージ
ドワーフのファイター8、Kさん
戦闘は容赦が無い頑固物のドワーフ。速射が得意。
D&Dは初心者ですが、D&Dミニチュアには相当入れ込んでたりw
ラド・グエル
人間のウィザード8、ジョウセンさん
白でも赤でも黒ローブでも無い、〈大審問〉を受けてもいないはぐれ魔導師。
呪文選び3年、立ち位置8年とウィザード道を説く範囲攻撃の達人。
アングリフ・ブライトブレイド
ファイター/ナイト・オヴ・ザ・クラウン、植埜さん
"My Honnor is My Life!"が口癖の竜騎士を目指す本物のソラムニアンナイト。
突撃を得意とするチャージャーです。
トビン・ディープポケット
レンジャー1/ローグ4/ハンドラー3、私
ドラゴンも恐れない非常に好奇心旺盛な小人族ケンダー。
パーティの雑務担当。得意技はスリ(ハンドラークラスの特徴)と、ケンダーの遠近両用便利武器であるフーパックでの急所攻撃。
ヴィヌク・キル=キューミィー
人間のクレリック5/ファイター1/ナイト・オヴ・ザ・クラウン1、JarkJaxさん
アングリフと同じく、ソラムニアの冠騎士。
〈真の神々〉の探索をするアングリフの後を追ってザク・ツァロスにやって来ました。
パーティの回復枠ですが、癒しの力は〈大変動〉により、この世界から消えているため、今のところ劣化ファイターどまり。
平原の蛮族
青水晶の杖を持つゴールドムーンとリヴァーウィンドの蛮族バカップル。
大人の事情で戦闘中は後ろで見てるだけ……。
ドラコニアンとの戦闘
さて、女神ミシャカルの像の部屋からスタートです。まずはトビンが順番に部屋の全ての扉を調べます。
トビン「なんだろ?南の扉から何か引っかく音が聞こえるな。いってみる?」
ラド「いや、こっちに入ろう。」
ラドが別の扉を待ちきれずに開けたところ、部屋の中にいた3匹のドラコニアンと目があってしまいます。
DM「中にいたバース・ドラコニアンが漁っているアイテムを落として、君たちに襲い掛かってきましたよ。はい、戦闘ラウンド開始ね。」
ラド「あ……。」
一同「もー!」
ドラコニアンとラドを除くメンバーは、この状況に気がついていないため、最初の戦闘ラウンドでは行動できません。まずは順番を決めるため、行動できる者は各イニシアチブロール(1d20+修正値)を振り、高い者から行動します。
結果はラドが23、ドラコニアン側が19で、運良く先制を取ったラドは、襲い掛かってくる彼らにグリッターダストの呪文を唱えます。ドラコニアンは3匹とも意思セーヴに失敗。
ドラコニアン「目がぁー!目がぁー!」
彼らのまわりに魔法の金粉が出現し、セーヴに失敗した彼らは盲目になってしまいました。
ラド「ドラコニアンがいたぞ!以前戦った石化するタイプだ!」
続けて、残りの者がイニシアチブロールをして通常の戦闘ラウンドに移ります。
戦線を離脱するラドを追いかけるドラコニアン。
フリンは、得意のショートボウの《速射》で命中させ、8点のダメージを浴びせます。トビンは、フーパックをかまえながら立ち向かっていき、別の一体に急所攻撃を行って命中、8点のダメージを与えます。
怒ったドラゴニアンがショートソードでトビンに反撃しますが、盲目状態もあってか、その攻撃は空しく空を切りました。
次のアングリフの攻撃でドラコニアンの1匹が倒れると、
ドラコニアン「ま、まってくれ!俺たちを許してくれ!」
と彼らはあっさり降伏。
ヴィヌクとフリンは、ドラコニアンをロープで簀巻きにした後、彼らから地下に下りる道を聞き出します。
ドラコニアン「ざ、ザク・ツァロスの地下都市に入る方法は2つある。1つは表の井戸からだ。もう1つはこの先にある昇降器だ……。」
フリン「そもそも、お前たちはここで何をしてたんじゃ?」
ドラコニアン「我らはキサンスさまの命によって、この都市に住み着いていたどぶドワーフどもを追い出し、ここを警備していた──」
フリン「どぶドワーフじゃと!?」
フリンはどぶドワーフに何か嫌な思い出でもあるのでしょうか?
ラド「おお、これはスクロール……。」
ラドはその間、ドラコニアンがいた部屋を調べ、先ほど彼らが漁っていたガラクタの中から、雷撃の呪文ライトニングボルト(術者レベル10相当)のスクロールを発見していました。
トビンはドラコニアンの持ち物を物色。
・チェインシャツ×3、
・ロングソード×3、
と目ぼしいものは見つかりません。
アングリフは──。
アングリフ「抜けたぞ!」
アングリフは、自分の剣を死んで石化したドラコニアンから必死になって抜いていましたとさ。
どぶドワーフとの〈交渉〉
さて、今度は扉の奥から引っ掻く音が聞こえてくる南の部屋に慎重に入ってみます。西側の壁画が描いてある壁を盛んに引っ掻いている5体の影が。
鼻を摘んだ(NPCの)ゴールドムーン「酷い臭いがします……。」
フリン「奴らじゃ!どぶドワーフじゃ!」
どぶドワーフとは、クリン一不衛生で卑しく哀れな種族で多くの種族から嫌われています。
フリンのその声に気付いた彼らたち、パーティの方に気付くと、皆驚いて慌てふためき、皆足を滑らせて、転んでいきます。
ヴィヌク「恐れなくてもよい。君たちの安全は約束しよう。この場所について教えてくれないか。」
〈交渉〉技能が一番高いヴィヌクが話してみますが、出目が低く交渉失敗。これでは状況が変わらないので、トビンが再度〈交渉〉し、何とか成功。
トビン「やぁ、君たち。僕達は危害を加えるつもりはないよ?ここで何をしてるのかな?」
どぶドワーフ「お、おらたち、つめでひっかく。にんげんたち、かべのうらにかわいいものかくしていた。あんた、ここに何しにきた?おらたち、ころしにきた?」
トビン「いや、違うよ。地下にあるらしい神様の円盤を探しにきたんだ。君たち見なかった?」
どぶドワーフ「えんばん?どらごんのたから!あんたたち、どらごんすき?」
フリン「──嫌いじゃ!それよりそこへの行きかたを教えるんじゃ!」
どぶドワーフ「おらたちしってる!おなべにのっておりる!」
埃の積もった床に小さな指で地図を書き出します。
「ここ!」「いや、ちがう、こっち!」「ちがう、そっち!」
と、あーでもないこーでもないと騒ぎ出します。
フリン「──ふん、これじゃからどぶドワーフは。お前たちはここに住んでおるのか?」
どぶドワーフ「どらこんじん、おらたち、めいれいする、おらたち、ここで、はたらいてる。」
その間、トビンは、どぶドワーフたちが掘っていた壁を調べていましたが、特に大したものはなさそうです。
ヴィヌク「話のわかりそうなもっとえらいやつはいるのか?」
どぶドワーフ「パルプだいおう、えらい。おらたちのおうさま。」
ラド「パルプ大王?DM、これは知ってるか〈知識〉ロールしていい?」
ヴィヌク「これは〈知識(王侯・貴族)〉でいいのか?」
DM「……微妙に違うような」
困っているDMを横目に見ながら……、
トビン「じゃ、じゃぁケンダーの伝承(Kender's Tails)でロールして達成値22。」
その結果──。
トビン「パルプ大王!聞いたことあるぞ。どぶドワーフの3氏族のなかのグラップ一族の王様だったと思う。是非会って見たいな。僕達をそこへ連れってくれないかな?」
どぶドワーフ「パルプだいおう、とてもえらい。だけどつれていくのはだめ。おらたち、ちずかく。」
先ほどと同じく、また床に指で地図を書き出しますが、
「ここ!」「いや、ちがう、こっち!」「ちがう、そっち!」
と、彼らの説明ではさっぱりわかりません。
一同「とほほ……。」
結局、鼻を摘んでいたゴールドムーンの
ゴールドムーン「もう我慢できないわ!はやく先にいきましょうよ」
の一言で、パーティたちはこのどぶドワーフと別れ、先に進むことになるのでした。
死者の道と案内人ブープー
今度は東の扉を開けて先に進んだところ、開けた場所に出ました。
部屋の中央には螺旋階段があり、緑色の敷石が下に伸びています。また部屋の奥には台座のようなものが見えます。
トビンが台座に〈登攀〉で登り、15枚の鋼貨と台座に何かのメッセージを発見。後で登ってきたラドがコンプリヘントランゲージの呪文で読んでみます。
死者の道、この先祖先の間
死者の道──。〈知識(歴史)〉判定。
ラド「ふむ。死者の道か。聞いた事はある。昔読んだ歴史書によると、この下に納骨堂があるかもしれない。」
ヴィヌク「死者たちの霊に襲われなきゃよいが……。」
トビン「大丈夫だよね!ヴィヌクって、僧侶なんでしょ?悪霊退散(ターニングアンデット)ってできるんでしょ?」
ヴィヌク「……あぁ、できるとも。このモーニングスターでな!」
トビン「殴るのかYO!」
螺旋階段を先に進む、パーティたち。
熱い蒸気の舞いあがる崩れかけた崖の先を、落ちそうになりながら(先を進んでいたトビン、何とか反応セーヴに成功)、南へ曲がりさらに先を東に曲がったところで、何匹かの生物に出会います。
フリン「レオルクスの顎鬚にかけて!──またやつらがいるわい。」
そこにいたのは、10匹くらいのどぶドワーフたち。聞けば、ドラコニアンの命令でここで働いているようです。
どぶドワーフ「あなたたち、ボスたちおこるまえにかえったほうがいい」
トビン「うん用が済んだらそのつもりだよ。その前に、お鍋のエレベータの場所ってしってる?」
どぶドワーフ「おなべは、どらごんじんがいる、あんたたちころされる。」
フリン「ドラコニアンは何人いるんじゃ?」
どぶドワーフ「ええっと……、1,2、1……。ふたり」
指を何本も折りながら数えていますが、どう見ても2匹ではなさそうです。
困ったパーティ。トビンは、ポーチの中から前回手に入れた宝石を取り出し、どぶドワーフに見せて言います。
トビン「そういえば君たちが掘っていた壁のところで見つけたんだけど、この綺麗な宝物をあげるから、もし秘密の道があったら"案内"してくれない?」
ここで、再びトビンの〈交渉〉判定。トビンの目10、修正値+4、宝石の状況ボーナス+2、アングリフの援護成功+2、結果、達成値18でなんとか成功したようです。
どぶドワーフ「かわいいもの!すてき!パルプだいおうにもっていく!わかった。ひみつのみち、しってる。あんないする。おら、ブープー。ついてくる。」
しかし彼女が懐に入れたその宝石は、修正値+20を誇るトビンの〈手先の早業〉で、ちゃっかり彼のポーチに戻っているのでした。
先祖の間
ブープーと名乗るどぶドワーフについていくパーティは、いくつかの棺やら小箱がある部屋にでました。
好奇心旺盛なケンダーのトビンは、すぐさま近くにあった箱を調べて開けようとします。
アングリフ「トビン、まて!」
小箱の中で、宝石(ダイアモンド1200stl相当)×5。すぐさまトビンのハバサックの中へ。
トビン「え?やっちゃったYO!」
すると、奥の棺おけから青白くぼんやりとしてバンデットメイルとハルバートを持った亡霊がすーっと現われます。
トビン「え?幽霊?」
ラド「そうらしい。(〈知識(宗教)〉判定の結果)スペクトラル・ミニオンというタイプだ。」
亡霊「我が眠りを覚まし、墓所を荒すのは誰ぞ。」
アングリフ「わ、我々はソラムニアの騎士アングリフとヴィヌク、そしてその仲間たちです。怪しいものではありません。」
急いで小箱の蓋を閉じるトビン。
亡霊「ソラムニアの騎士たちか。」
アングリフ「あなた様は何故ここに?」
亡霊「我々はミシャカルの神官様が戻るまで、ここを警護しておる。ヒューマの子らよ、お前たちはここに何しにきたのだ?」
ミシャカルという言葉に反応するNPCのゴールドムーンが〈青水晶の杖〉を掲げて前にでます。
ゴールドムーン「女神に導かれてここに。」
亡霊「おお、これはミシャカルの神官様ではありませんか!これで私は役目を終え、眠りにつくことができます。ありがとうございます、神官様。ここにあるものは持っていってもかまいません。きっとあなた様のお役に立つことができるでしょう」
亡霊は敬礼し、すーっと消えてしまいました。
アングリフ「じゃぁその棺を調べてみます」
DM「アングリフが棺を開けると、作りの良さそうクォータースタッフが見つかった」
アングリフ「おお!では他の小箱も棺も調べます」
DM「となりの小箱から、質の良さそうなロングソードが見つかるよ。」
アングリフ「じゃぁ順番にあけていきます。」
他には、クォータースタッフとメイスが見つかりました。そして最後の棺を開けたとき──。
謎の声「我が墓所を荒らすのは誰だ?」
またもや亡霊が出てきます。
アングリフ「我々はソラムニアの騎士アングリフとヴィヌク、そしてその仲間たちです。怪しいものではありません。」
亡霊「なに!?ソラムニアの騎士だと?ならばなおさら許さぬ!」
アングリフ「なんでー!?」
戦闘ラウンド開始です。
またもやラドの〈知識(宗教)〉判定。
ラド「マズい!レムナントだ。気をつけろ!奴の攻撃を受け、【知力】に能力値ダメージを受けるそ!」
トビン「ウィザードだから、アホになると呪文唱えられなくなっちゃうね?」
不意打ちラウンドに亡霊レムナントは、ヴィヌクに接触攻撃し、意思セーヴに失敗したヴィヌクは【知力】に2点の能力値ダメージ。ラドの情報から、非実体には魔法の武器しか効かないことが分かります。
ヴィヌクは手に入れたメイスで殴ってみますが、攻撃はハズレ。フリンは冷静にショートボウで《速射》攻撃し、命中。魔法のショートボウなので、何とか当たったようです。ダメージ8点。
次に亡霊はアングリフに接触攻撃をしましたが、意思セーヴには成功し、何とか【知力】ダメージを回避しました。
ラドはとりあえずマジックミサイル。ダメージは……。
DM「ええっと……、ちょっと待って。ごめん敵は呪文抵抗(SR)持ってる。」
ラド「じゃぁ……コロコロ。達成値25。これで当たったでしょ?」
しかし、亡霊の呪文抵抗値の方が上で当たらなかった……。orz
亡霊はアングリフに接触攻撃、今度は意思セーヴに失敗したアングリフ。【知力】がどぶドワーフ並に。
ラドは今度は、呪文抵抗を無視できる数少ない呪文、アシッドスプラッシュを唱えますが、失敗しました。
呪文抵抗
クリーチャーの中には呪文に対して特殊な抵抗力を持っているものがいます。
彼らの呪文抵抗を打ち破るためには、1d20+術者レベルで判定し、相手の抵抗値以上の値を出さなければなりません。
アングリフ「わがめいよわ、わがいのちー!」
アングリフの魔法の剣がダメージを与え、なんとか亡霊を倒すことに成功。戦いで失ったHPと【知力】はゴールドムーンの〈青水晶の杖〉でほぼ回復。〈青水晶の杖〉のチャージ回数は、残り半分になってしまいました。
亡霊への攻撃手段が無かったトビンは、彼が出てきたの棺から、魔法の外套を見つけて、羽織って得意げになっていました。
下水道
ブープー「あんたたち、ようはすんだか?さきあんないする。」
隠れていたどぶドワーフの案内人が陰からひょいっと顔を出し、先に進みます。奥の部屋に進み、人が入れそうな下水道らしい穴を指差すと、「このさき、おりる!」と言って指差します。
明かりを指し込み穴を覗くと、穴の壁は何か緑色の膜に覆われていて、ぬるりとしており、少なくとも120フィート以上は続いているようです。
ゴールドムーン「真の神々の名にかけて、この汚い穴を降りなければならないのですか?」
ブープー「ほかにみちない。おらさきにいく。」
先に穴に入っていったブープー。後を追いかけてトビンがワクワクしながら入ります。
DM「ではトビン、目標値15で〈平衡感覚〉判定をして下さい」
トビン「え?何か起こるの?コロコロ……、出目は12、だけど修正+7なんで達成値19。成功。」
どうやらトビンは無事にうまく降りることができたようです。
DM「次はだれがいく?」
残りの人たち「ちょ、ちょっとまて。身軽なケンダー以外〈平衡感覚〉がまともなやつはいるのか?」
今になって恐れおののくパーティたち。ケンダー以外は、〈平衡感覚〉の技能ランクもちは皆無。特に前衛は鎧着てたりするので、鎧のペナルティも受けており、かなりの確率で失敗します。
ヴィヌク「しょうがない。次いきます。コロコロ……、やっぱり失敗。orz」
足を滑らせたヴィヌクは、バランスを崩し、その穴の中を緑色をした粘膜だらけになりながら、滑るように落下して行きます。
DM「では、下を降りていたトビン、上から落ちてきたヴィヌクを反応セーヴでかわしてください」
トビン「なんてこったい!!」
高い反応セーヴを誇るトビンは、ヴィヌクをかわすことに成功。
DM「下に落ちたヴィヌクは、出口で壁にぶつかり、3d6のダメージを受けました」
ヴィヌク「ギャー!」
トビン「大丈夫?とりあえずロープを固定するんで、僕が降り切るまでまってYO!」
一同「先にやれ!!」
残りの皆は持っているロープをかき集めて上から垂らし、トビンがフックで固定して、もう少しマシな〈登攀〉判定を使い、何とか降りることができました。
PL「DM?(NPCの)ゴールドムーンたちはどうしたの?」
DM「『私が貴女をまもります!』と、ゴールドムーンはリヴァーウィンドの愛の力で、うまく降りることができました。」
パーティ「えー、そんなのありー?」
ヴィヌク「おれにもリヴァーウィンドの愛の力がほしい!」
PL「ウホッw」
緑色の粘液まみれになったヴィヌクの叫びは、ザク・ツァロスの地下で暫く響いていたのでした──。
警備のドラコニアン「ん?何か聞こえたか?」
警備のドラコニアン「いや、気のせいじゃないか?」
蜘蛛の巣
粘液まみれの下水道を滑り降りると、小部屋に出ました。
この部屋は、天井には我々が滑り降りた下水道の出口が見え、床には天井の垂木がありる、とても奇妙に見える部屋です。部屋の出入り口のドアは3フィート上に設置されており、何だか、部屋の上下がまったく逆になったように見えます。
PL「〈大変動〉で部屋ごとひっくりかえったの?」
DM「そうかもしれません。では、まず〈視認〉して下さい。」
PL「え?セッション開始早々、いきなりですか?」
PL「このパターンが多いなぁw」
難易度17の〈視認〉判定に成功した者は、ラド、フリン、トビンの3人。彼らは、目の前の蜘蛛の巣だらけの地面がむくりと盛り上がったことに気がつきました
。
DM「それじゃあ、不意打ちラウンド開始ということで。」
と、超大型サイズの蜘蛛のミニチュアを部屋に置くDM。
PL「ちょwおまwwwそれ、部屋のほとんどを占めてない?」
PL「こんなに近いの?ってか接敵されてるし!」
PL「どう考えても皆気づくでしょ、常識的に考えて。」
DM「いや、シナリオに書いてあるので。」
PL「……」
"Your DM is always right!!(あなたのDMは常に正しい)"というわけで不条理にも戦闘開始です。
まずは不意打ちラウンドなので、不意打ちに気づいた人のみが行動します。
ラド「このミニチュアの蜘蛛、見たまんまのようなんだけど、一応〈知識:自然〉で調べてみます。コロコロ……はい、たぶん成功。」
ラドの分析:
・巨大サイズのモンストラス・スパイダーのようだ
・攻撃は噛みつき、毒など。振動感知もあり。
トビン「毒か……、頑健セーヴ、一番低いんだけど。orz」
フリン「ワシにはたぶん効かんぞ。(毒に対する耐性アリ)」
ラド「彼女の〈青水晶の杖〉で毒を治すことはできそうだけど、かなりチャージ数(使用回数)を消費しそうだな。」
このレベル帯になると、クレリックがいれば蜘蛛の毒程度では怯える必要はありません。
しかし、この世界はクリン。今は真(まこと)の癒し手が失われている時代、ゴールドムーンの持つ〈青水晶の杖〉の癒しの力だけが世界で唯一の頼りなのです。ただし、ここまでに半分ほどチャージ数を消費してしまっているため、できればこれ以上使いたくないところ……。
ラドは、ここは攻撃呪文で力押ししようと、敵が占めているエリアに、ウォール・オヴ・ファイアーを発動させ、敵の周囲に燃え盛る炎の壁を作ります。
ラド「蜘蛛に毎ラウンド、炎の壁の2d4のダメージね。コロコロ……まずは8点」
巨大蜘蛛「ぴギャぁー」
トビンは、自慢のフーパックで攻撃するも失敗、残念。
続けて巨大蜘蛛の攻撃です。
DM「ええっと、蜘蛛はトビンに噛みつき、コロコロ……失敗か。素早いやつめ。」
フリン「よし、次はワシじゃの。ウォーアックスで殴り……命中、ダメージ11点」
ここで、通常ラウンドに移行。
あのバカップルたちは部屋の隅で見てるだけ。ブープーも部屋の隅で応援してます。
ブープー「ほら、あんたたち!はやく、くもたおす!おらたち、すすめない!」
ヴィヌク「俺たち、このどぶドワーフにうまく利用されてないか?」
ラドは〈精神集中〉を継続し、巨大な蜘蛛を囲むように出現した炎の壁を維持し、継続ダメージを8点。ヴィヌクは自慢の魔法のメイスで殴り、命中。9点ダメージ。続くアングリフも8点ダメージを与えます。
DM「ダメージ痛いなぁ。ええっと、蜘蛛の今度の攻撃目標は……コロコロ。はい、ラドに攻撃します。コロコロ、あ。クリティカル。」
ラド「なにぃ!?」
このような狭い場所では、皆が敵の攻撃範囲に入ってるので、後衛にとっては非常に危険です。
呪文に精神集中していたラドに巨大蜘蛛の鎌状になった鋏角がズブリと突き刺さり、その尖端から猛毒の体液が注入されます。
DM「まずはダメージ19点ね。あと頑健セーヴ、難易度16でお願い。」
ラド「トホホ……。コロコロ、出目2。頑健セーヴ+4だから、6。駄目です、10も足りません。orz」
トビン「うわっ!生きてる?」
DM「では、【筋力】に初期ダメージ。コロコロ、6点ね。」
ラド「ギャー、【筋力】4。まだなんとか生きています。だけど、所持品の重量がオーバーかも。」
毒などによってPCの能力値【筋力】にダメージを受けると、攻撃やダメージロールのペナルティは勿論のこと、そのうち装備類や荷物を持てなくなり、最後には自分の体重を支え切れずに死亡します。
耐え難い苦痛を受けたラドは今はもうフラフラで立っていることがやっとな状態。〈精神集中〉も解け、蜘蛛を囲っていた炎の壁も消えてしまいました。ラドはもう、防御専念して自分の身を守ることに集中するしかありません。
ヴィヌク「おのれ!この蜘蛛め!コロコロ……、命中!ダメージ12点!」
トビンやフリンが攻撃を外す中で、ヴィヌクのメイスがグシャリと蜘蛛の頭を潰します!その直後、蜘蛛は巨体を震わせながらドサリと倒れると、キュッーっと足を縮めて動かなくなりました。
とりあえず毒に苦しむラドの治療です。このままでは、毒の予後ダメージで死んでしまいます。
PL「DM、〈青水晶の杖〉でラドを直すことができる?杖のチャージ数は足りる?」
DM「杖のレッサー・レストレーションの効果で可能ですよ。今、杖のチャージは半分くらいになっているので、使うと殆んど残りません。」
PL「……困った。」
というわけで心配をして?ゴールドムーンがラドの側にやってきました。
ゴールドムーン「苦しそうですね。この杖の力で、あなたを癒しましょうか?」
ラド「いや結構。ウィザードに【筋力】は必要ないですから。今ここで私に使う必要はありません。」
トビン「カッコイイぞ、ラド!」
ラド「こんな私より、滑って落ちてきた前衛を回復させた方がいい。」
とにかく応急処置として、皆で〈治療〉した結果、心配していた毒の予後ダメージを防ぐことはできました。
その間にトビンは、部屋を〈捜索〉し巨大蜘蛛が貯め込んでいた宝物を物色していました。
[戦利品]
・鋼貨 50stl
・1個の宝石 275stl相当
・アーケンサイトのスクロール