MAY YOUR POUCHES NEVER BE EMPTY!
君の小袋がいつまでも空っぽになりませんように!
author michi

Dragons of Winter Night / 冬の夜の竜
ドラゴンランス 尖塔の青竜の書 その1:その2戻る
 皆さん、こんにちは!
 大変長らくお待たせしました!約14か月ぶりの更新です!(遅すぎw)
 
 昨年の冬コミのリプレイ本が一段落し、貯めていたドラゴンランスのセッションのリプレイを書き始めたのですが、中々進まず、リアル〈大変動〉に見舞われたり、余震や夏コミの準備などに追われたりしながら、やっと更新することができました。
 
 まずは、貯まっている4回分のセッションの中から、1.5回分の公開です。
 
 今回から「尖塔の青竜」編に入り、ドラゴンンオーブとドラゴンランスを手に入れたパーティは、ソラムニア騎士団の本拠地、ホワイトストーンで開催される会議へ向けて出発します。
 
 それでは行ってみましょう。
 まずは、キャラクター紹介から。

フリン・ファイヤーフォージ ドワーフのファイター11、Kさん
「今は争っている場合ではないわ。あまりにも強大な我ら共通の敵に力を合せて立ち向かって行くべきじゃ!」
 戦闘は容赦が無い頑固物のドワーフ。速射が得意。最近は何故か壁役の前衛。
 D&Dミニチュアを集め過ぎ、部屋に入らなくなって引っ越した程w

ヴィヌク・キル=キューミィー 人間のクレリック6/ファイター1/ナイト・オヴ・ザ・クラウン2、JarkJaxさん
「ヤルスの洞察、インサイト・オブ・ヤルス!」
 アングリフと同じく、ソラムニアの冠騎士。
 〈まことの神々〉の探索をするアングリフの後を追ってパーティに合流。
 見事、神々のしるしを見つけ、癒しの力に目覚めたが〈氷壁〉にて白竜スリートの凶牙に倒れる。
 しかしエルゴスで出会ったカガネスティ・エルフのシルヴァラによってエルフに転生し、復活。

トビン・ディープポケット ケンダーのレンジャー1/ローグ4/ハンドラー6、私
「うん、そこで僕らはドラコニアンから塔を守るんだ」
 ドラゴンも恐れない非常に好奇心旺盛な小人族ケンダー。
 パーティの雑務担当。得意技はスリ(ハンドラークラスの特徴)と、ケンダーの遠近両用便利武器であるフーパックでの急所攻撃。
 最近フーパックではダメージが出なくて、ケンダーの新兵器シザックを購入。

ラド・グエル 人間のウィザード10、ジョウセンさん
「もし、片方だけにしかかけられないとしたら、どちらを選ぶ?」
 白でも赤でも黒ローブでも無い、〈大審問〉を受けてもいないはぐれ魔導師(Renegade Wizard)。
 〈上位魔法の塔〉からドラゴンオーブの保管を命じられる。
 呪文選び3年、立ち位置8年とウィザード道を説く範囲攻撃の達人。

アングリフ・ブライトブレイド 人間のファイター/ナイト・オヴ・ザ・クラウン、植埜さん
「一つ言っておくが、これを貰ったら君たちは騎士団のいいなりになるんだぞ」
 "My Honor is My Life!"が口癖の竜騎士を目指す本物のソラムニアンナイト。
 ランス突撃を得意とするチャージャー。
 クオリネスティ・エルフの〈太陽の評議長〉の娘ローラナを手篭にしているばかりか、
 最近では、シルヴァネスティ・エルフの王女アルハナ・スターブリーズまで……。
 今回のリプレイの後半はセッションお休み。

ゴールドムーン 人間のクレリック11、ふーさん
「ドラゴン軍に対抗する術は何か残っていないのですか?」
 ケ=シュ族の族長の娘にして、善なる癒しの女神ミシャカルの僧侶。
 エリスタンにミシャカルの円盤をもたらし、信仰のメダリオンを授かる。
 好きな武器はスリングで、得意技はホーリー・スマイト。
 今回のリプレイの前半はセッションお休み。

リヴァーウィンド 人間のバーバリアン7/レンジャー3、真由梨さん
「そのカスのゲームってのは何だ?」
 前回、シルヴァラと一緒に旅立ったシルヴァレンの代わりに真由梨さんが担当することになったキャラクター。
 言わずと知れたゴールドムーンの夫。このリプレイでは話の都合上、タルシスでゴールドムーンと別れ、シルヴァネスティへと旅立ったことになっているのだが、妻を思い、アルハナに頼んで、パーティの下へ戻ってきた。
 小説では影の薄い存在だったが、このリプレイでの活躍に期待!


 そして、DMはお馴染みの霧島さんです。

 ちなみに一緒に冒険しているNPC(格闘ゲームでいう背景の絵の人達)の紹介です。

ローラナ・カナン クオリネスティ・エルフの〈太陽の評議長〉の娘。アングリフを慕い、一緒に旅している。
ルールについて:
ここでD&D初心者向けに簡単なルールを書いておきましょう。

▼遭遇(Encount)というシーンごとに話が進む
 D&Dの遭遇には次の二種類があり、それが入れ替わり立ち変わり重ね合い、物語を構成していきます。
 ・戦闘遭遇 … D&Dのルールの大半を占めるクリーチャーとの戦闘
 ・戦闘以外の遭遇 … ムービーシーンやら、キャラクターのロールプレイ、何かアクションに対する技能判定など
 何かの判定には、1d20を行ない、目標の値より高い目が出れば成功です。

▼戦闘遭遇の場合
 D&Dでは戦闘はターン制で、敵味方が最初に1d20を振って決めたイニシアチブの順に行動します(このリプレイではイニシアチブは省略してます)。
 ただし、待ち伏せなどをされて不意打ちを受けた場合は、この限りではありません。
 
 自分の順番が来ると、キャラクターは、大雑把に言うと、
 ・標準アクション … 攻撃や何か具体的な行動
 ・移動アクション … 移動、他
 の2つの行動を行なうことができます。

 さらに攻撃方法には
 ・近接攻撃 … 近くの敵に剣などで攻撃
 ・遠隔攻撃 … 遠くの敵に弓などで攻撃
 ・魔法や特殊能力
 などがあります。

▼近接・遠隔攻撃方法
 武器などで攻撃をする場合は1d20し、自分のキャラクターの修正値を加え、敵のAC(アーマークラス)より高い目を出せば命中で、ダメージロールをして敵のHPを減らすことができます。
 敵のACはPC(プレイヤーキャラクター)には分からないので、PCが振った攻撃ロールは、命中したかどうかDM(ダンジョンマスター、ゲームマスターのこと)が判定することになりますが、このリプレイではDM判定の部分を省略して書いていることがあります。

▼魔法等による攻撃方法
 魔法などの場合は攻撃を受けたキャラクターが、攻撃の種類に応じて頑健・反応・意思の何れかのセーヴ判定(セーヴィングスロー)を行ないます。
 1d20してセーヴ修正値を加えた値が、攻撃側のキャラクターの目標値を越えなければ魔法は成功し、効果を発揮します。

▼移動方法
 D&Dの戦闘は1マスが5フィート四方の戦闘フィールドで行なわれ、キャラクターの移動速度によって1回の移動アクションで進むことができるマスの数が決まっています。
 斜めに移動するときは複雑で、1マス目の斜め移動は移動1マスと考えますが、2マス斜め移動する場合は移動3マス分と考えます。
 また、標準アクションも移動アクションに変更することが可能で、そのターンは全力で移動することにより、2倍移動することができます。

▼戦闘以外の遭遇
 非戦闘時では、主に技能判定によって具体的な行動を行うことができます。技能判定は、キャラクターが行動したアクションに対する成功か失敗の判定を行なう場合に使用します。
 キャラクターはその状況に対応する技能を選択し、1d20をして対応技能の修正値を目に加えます。その状況の難易度より高い目を出せば、その行動は成功したと考えます。
 基本的には判定となる目標値も本来DMしか把握しておりませんが、攻撃の場合と同じく、このリプレイでは省略して書いていることがあります。

前回までのお話


 廃都ザク=ツァロスから〈真の神々のしるし〉を持ち帰ったパーティは、クオリネスティの〈太陽の評議長〉の息子ギルサナスらと共に、〈パックス=タルカス〉の砦に捕らわれていた数百人の避難民を解放した。
 彼らを引き連れたパーティは、南へと逃れ、その先で失われたドワーフの地底王国トルバルディンを見つけ、伝説の英雄ヒューマの武器ドラゴンランスを鍛えたという〈カーラスの槌〉を発見する。 
 その後彼らは、タルシスの都で新たに加わったソラムニア騎士たちと共に、竜を支配する力を持つというドラゴンオーブを求めて〈氷壁〉へと向かい、〈氷壁城〉でドラゴン卿フェアル=サスと白竜スリートを打ち破りオーブを入手した。
 それをサンクリストに持ち帰る途中、巨大なイカに襲われ船が難破し、南エルゴスに流れつく。クオリネスティ・エルフに監禁されてしまったパーティは、そこで出会ったシルヴァラというエルフの女性の導きによって脱出し、ドラゴンランスの秘密が隠されているという〈霧籠りの谷〉へ辿りついた。
 谷で彼らが目にしたのは、巨大なドラゴンの石像とヒューマの墓。そこで彼らはドラゴン軍に対抗できる伝説の武器、ドラゴンランスを入手し、ホワイトストーンの会議に出席のため、再びサンクリストへ向かうのだが……。


冒険への準備


トビン「一応、氷壁を出てからのアイテムリスト作ってきたけど、お金の計算したほうがいいよね。(;・∀・)」
ラド「頼む」

戦利品:
・バトルアックス
・ラージ・スピア
・ラージ・ハイドアーマー×4
・ラージ・グレートクラブ×4
・ラージ・ジャベリン×12
・ラージ・グレートクラブ×6
・ラージ・ハイドアーマー×6
・+2ラージ・スケイルメイル×1
・+2ラージ・ショックグレードアックス×1 →フリンへ
・+3クロークオヴレジスタンス×1 → シルヴァレンが持って行った……
・宝石 エメラルド1,000stl×8個
・スクロール3つ(ガストオヴウィンド、シーインビジビリティ、他→ラドへ)
・ラージ・ハーフ・プレート×3
・ラージ・グレート・ソード×3
・+2サイレントムーヴミスラルブレストプレート → トビンへ
・+1アニメイテッド・ヘビーシールド → アングリフへ
・+2アンフォーリー・スターメタル・ヘヴィーフレイル → ソラムニア騎士団が買取って報奨金(17,657.5stl)をGET →ラドへ
・+3アミュレット・オヴ・ナチュラルアーマー → ヴィヌク
・+2クローク・オヴ・レジスタンス
・+2ガントレッド・オヴ・オーガパワー → リヴァーウィンドへ(【筋力】20に)
・+1リング・オヴ・プロテクション
・レッサー・ドラゴンランス → アングリフ
・スローイング・アックス×3
・貨幣4,000stl
フリン「ワシワシ、グリフォンの鬣のヘルメットを買うんじゃ!」
ヴィヌク「オレ、魔法の武器が欲しい」
トビン「あ、そうだデレクの遺品は?」
DM「ソラムニア騎士団に返してあげて下さい」
トビン「そっか、遺品を返したということで謝礼は貰える?」
DM「貰えないですw」
トビン「何でだよ、ケチんぼ!」
アングリフ「スターメタルって何だっけ?」

スターメタル:
 古来より、鍛冶職人が隕石から時折見つかる鉱石を重宝していました。その素材は、古代の錬金術師が"スターメタル"と呼んだ、驚異的な強さと硬さの青い鉱石でした。
 最も熱心で知識のある探鉱者や、非常に偶然に膝の上に落ちてきた者のみが、この金属を発見することができます。
 この鉱石の性質は、DMGに記載されいてるアダマンティンと同一ですが、ダメージ減少を無視する性質を持っています。
トビン「ちなみに+3のクローク・オヴ・レジスタンスは、シルヴァレンが持って行っちゃった。結構高いんだけどな」
DM「止めますか?」
ラド「恋愛は自由だけど、それ置いてけよってw」
アングリフ「オレの風のマントと交換してやるよw」
ヴィヌク「駄目だ、それお助けアイテムだぞw」
PL「www」

 要らない装備は売却して、計32,246stlを手に入れました。
 お金を分配すると一人、約4,600stlです。

DM「今、皆さんは騎士団の野営地にいるんですけど、ここは物資が豊富にあるということで、特別に何でも好きなものを購入していいですよ」
トビン「わーい、フーパックで戦うには限界が見えてきたので、今日はシザックという武器のデータを用意してきた」
ヴィヌク「何その謎の武器w」
トビン「フーパックと同じくケンダーの武器で、ショートボウの上下に、ブレードが付いてるのよ」
ラド「ヘンテコな武器をw」
トビン「すごいでしょw 手に入れたお金でこれを購入するよ」

シザック:
 シザックはケンダーの伝統武器の1つで、水を運ぶための担い棒に端を発し、次第に多機能武器として発展しました。
 弓の上下の終端は刃が付いており、それを剣のように用いることができる他、ショートボウとして中心のくぼみから矢を放つことが可能です。
 もちろん、水のバケツや他のものを運ぶために使用することができ、さらに弓の弦は、天然の弦楽器のように弦を引き音を鳴らすことができます。
 機能:
  シザックはショートボウ(矢が必要)、またはSサイズのツーブレーデッド・ソードとして攻撃することができます。
 経験値を配分して、ヴィヌクとラドとリヴァーウィンドが10レベルで、他の皆は11レベルになりました。

ラド「俺、11レベルになる経験値を貰っているのだが、ずっと9レベルだったので、11レベルになる直前で経験値が止まってる……。しかもアイテム作成するので経験値が減っちゃう」
DM「残念でしたね」」
ラド「スライム1匹倒すとレベルがあがる」
ヴィヌク「やめて、D&Dの世界ではスライムはやっかいだからw」
ラド「俺は、ソラムニア騎士団に売ったアンホーリー・ヘヴィーメイスのお金で、ヘイストのワンドを買おう。5人までしか効果ないけど、これで3レベルスロットが空く」

アングリフ「俺は、スタームの馬の脚に付ける"シューズ(セファー)・オヴ・フォース・シールド・スピード"を購入しよう」
フリン「馬が死んで、次の馬のためにゼファーを剥がすアングリフの姿は見たくないのうw」
アングリフ「いや鉄は貴重だから!」
PL「鉄ですかw」
PL「www」

ワシ「ワシ、グリフォンの鬣の兜を買うんじゃ! ホレ(゚Д゚)ノ⌒ 代金の5,625stlじゃ!」

グリフォンの鬣の兜/Helm of Griffon's Mane:
 ドワーフ用の兜として知られる精巧にできた兜は、それを身に着けているどんなドワーフにも魔法的な防護を与えてくれます。
 たとえその兜のデザインが異なっていても、すべてのタイプは共通の特徴を持っています。
 すべてが優れたドワーフの工芸品で、すべてが兜の内側にレオルクスのハンマーの刻印が押されており、すべてが馬の頭の毛が装飾されています。
 馬アレルギーと自称するフリント・ファイアフォージは、その毛が馬ではなくグリフォンから取ったものだと頑固に信じており、それ以来、この兜は、グリフォンの鬣の兜と呼ばれるようになりました。
 ドワーフが被るとき、この魔法的な兜は、ACに+1の幸運ボーナスと、セーブ判定に+1の抵抗ボーナスを与えます。
 また、ドワーフが元来持っている毒や呪文(疑似呪文を含む)に対する耐性へのセーブ判定に+2の抵抗ボーナスを与えます(この兜によって与えられる+1のボーナスがドワーフの元来のボーナスに加算される)。
 この兜が持つ魔法の力は、ドワーフのためだけに機能します。
 それ以外の者には、通常の兜の防御力を超えた効果は発動しません。
 オーラ:微弱な防御術、術者レベル5
 作成条件:《魔法の武器防具作成》及び作成者がドワーフ
 価格:5,625stl、重量:3ポンド

フリン「ワシはこの日のために3,000stlほど貯め取ったんじゃ!」
トビン「てか、そもそもグリフォンに鬣なんてないんじゃ──」
PT一同『しーっw』

フリン「それと、残った金で犬を買おうかのう。番犬を25stlで1匹買っておく。可愛いのう、よしよし。お前はポッチと名付けよう。この犬も戦闘に参加できるのかの?」
トビン「一応(ルール上は)データがあるけど、下手に前に出ると、キャヒーンと死ぬよw」
ヴィヌク「アングリフの愛馬スタームが、アレだけ死んでるのに前に出るのかとw」
DM「シルヴァレンがハークノスを使っていたことが余程羨ましかったのでしょうねw」
ラド「番犬は、戦闘で使うものじゃないよ。罠発見の手段とか、食糧とか──」
フリン「そんなことはさせんわい!」
ラド「はいはい、ファイアボールを撃つ邪魔だけはしないでくれよw」

ポッチ

DM「では、1d100をしてください。ポッチが賢いかどうか決めます。1-5で賢い、50まで普通、90まで頭悪い、残りは馬鹿で」
ラド「なにそのオリジナル・ルールw」
フリン「じゃ1d100しようかのう」
トビン「ちょw これ50%以上で頭悪くなるよ!振ったら負けだってw」
フリン「コロコロ、99
PL「あちゃーwww」
DM「馬鹿犬ですね。怪しい人を見かけても吠えないし、餌をくれる人には誰でも懐くw」


新たなる旅路


 さて、ドラゴンランスの探索の旅も終わり、それから1か月が経っています。
 穏やかな風が吹いて、戦争の気配は感じられない。パーティたちはソラムニア騎士団の前哨基地、イーストウォッチの砦で、束の間のバカンスを楽しんでいます。

 暦でいうと、AC351年、Winter Comeの月の1日。エルフの月でいうと12月1日となります。

クリンの暦:
 クリンの太陽の軌道は、黄道を正確に360日で一周し、再び同じ位置に戻ってきます。それを一年として、30日ごとに割ったものがひと月となっています。
 それらの12か月は、下記の表に示す様に、アンサロンの各地方で異なっていますが、多くの者はエルゴスかパランサス人の暦を使用しています。
 パランサス人の暦は学者や知識人の間で使われていますが、エルゴス人の表記法は、シルヴァネスティやトルバルディンのような伝統的に誇り高い国を除いた多くの国々で受け入れられています。
 またパランサスの暦は、週がありません。

Table1 : Month names of Culture

PalanthasErgothSolamnicGodtimePlainsElvenDwarvenGoblinKender
1stmonthAelmontNewkoltChemoshIce GlazeWinter NightDark-CryptFamineSnowfun
2ndmonthRannmontDeepkoltZeboimSnow DeepWinter DeepDark-DeepMadnessDarktime
3rdmonthMishamontBrookgreenMishakalMountain ThawSpring DawningDamp-MoodGirdingWindsong
4thmonthChislmontYurthgreenChislevEarth WakesSpring RainDamp-ChiselScoutingRaindrum
5thmonthBranFleurgreenBranchalaFlower BloomsSpring BlossomDry-AnvilCampaignFlowerfield
6thmonthCorijHolmsweltKiri-JolithHome HearthSummer HomeDry-AxeSiegeHomefriends
7thmonthArgonFiersweltSargonnasRaging FireSummer RunDry-HeatFlameWandertime
8thmonthSirrimontPalesweltSirrionDying EmberSummer EndDry-ForgeSackSummerlaze
9thmonthReorxmontReapemberReorxHarvest HomeAutumn HarvestCold-HammerLootHarvestfete
10thmonthHiddumontGildemberHiddukelLeaf GildAutumn TwilightCold-SteelBetrayalLeafplay
11thmonthH'rarmontDarkemberMorgionDark ColdAutumn DarkCold-RustPestilenceBleakcold
12thmonthPheonixFrostkoltHabbaukFrost EveWinter ComeCold-LodeRewardBlessings
トビン「たしか冬至の日に、〈ホワイトストーンの会議〉があるんだよね」
DM「そうですね。冬至の日は Winter Come の月の15日なので15日後です。今、皆さんは〈霧篭りの谷〉を出て、ソラムニア騎士団の駐屯地イーストウォッチにいます。船と船員が用意されているので、船に乗って、〈ホワイトストーン〉があるサンクリスト島へ向けて出発することができます」

 今回から、シルヴァラと共に去ったシルヴァレンのかわりに、ゴールドムーンの夫のリヴァーウィンドが仲間に加わりました。
 彼はタルシスでパーティたちと分かれ、アルハナ・スタープリーズと共にシルヴァネスティへ向かいましたが、ゴールドムーンがどうしても気になって、アルハナに頼んでグリフォンでパーティの元に送って貰ったのです。

イーストウォッチ:
 南エルゴスの中西部に位置するイーストウォッチ城は、まだ直接ドラゴン軍の脅威に晒されていないソラムニア騎士団の駐屯地となっています。彼らは本土に迫りつつある悪の存在をよく知っており、それまでに時間があまり残されていないことに気付いています。
 戦争の危機が迫るまで、騎士の主な義務はイーストウォッチの市民をオーガから守ることでした。
 ソラムニア騎士が常駐している小さな要塞が、古い街道に沿って建てられており、この地域への侵入を見張っています。
 イーストウォッチ城は、ソラムニア騎士団の主要基地で、〈剣〉勲爵士団のカンサー・ブロードブレイドが監視の任に就いており、150人以上の戦士らが駐在している。
DM「さて、ここから何処へ向かうか決めなければなりません。〈ホワイトストーンの会議〉に出るか、いち早く戦地に行って名声を稼ぐか。幾つかルートがありますよ」

 三隻の船が航行準備を整えています。騎士たちは、船の船長と船員が善良な者たちであることを知っています。
 一隻のカモメの翼を生やした素晴らしいデザインの船が、逃げ延びたソラムニア騎士団の現在の本拠地、サンクリストへ向けて航行する準備ができています。
 二隻目は、クリスティン島への旅のための準備を進めています。
 三隻目の船長は、ソラムニア南部のケルゴスへ向けて出帆するために、北上し、エルゴスを南北に分断している海峡を抜けて、彼の仲間と共に戦いに参加したくていらついています。

・パランサス、イーストポートまでいく、戦地に近づく最短の近道。
・ケルゴス……9日、ソラムニアのケルゴス
・クリスタインは1日(向かいの島、神秘的な島、宝物や武器がありそう)
・サンクリストは7日(クリスタインのさらに向こうの島、会議の招集はここ)

周辺地図

アングリフ「とりあえず〈ホワイトストーンの会議〉に出なければ。ドラゴンランスやオーブについての報告をしなければらないし、何か助言を請けるはず」
トビン「でも会議の日まで、まだたっぷり時間もあるし、どこか探検でもする?」

DM「ちなみに、このシナリオでは、騎士らしい行動をすると騎士たちのモラルが上がります。愚かな命令や騎士典範をやぶったりするとマイナスになりますので、そのつもりで。逆に、名誉の行動をすると、プラスになります。名誉の戦死とかw」
ヴィヌク「マジですかw」
アングリフ「それは俺たちだけの足枷か?」
DM「いえいえ、あなた方全員は、すでに騎士たちのヒーローで希望の光ですので、パーティ皆に言えることですよ(・∀・)ニヤニヤ」
ラド「名誉の戦死だけは避けたいなw」
フリン「それこそ、騎士の仕事じゃわいw」

ラド「さて、戦況はどうなっているんだ?ドラゴン軍の状態は?」
DM「イーストウォッチの騎士たちに聞いた限りでは、ドラゴン卿〈青の女卿(The Blue Lady)〉が指揮する青竜軍がパランサスを攻めようとしていますが、途中の〈大司教の塔〉が要塞となって、中々攻め込めないでいるらしいですね。しかも、ドラゴン卿の指揮官は今は不在らしいです」
リヴァーウィンド「ドラゴンランス秘史の第2巻の任務をしているのか?」
DM「そうですねw ソス卿の所に行っているのかもしれませんねw」

アングリフ「今のうちに青竜軍を叩きに行くのも手だな」
ヴィヌク「だが、ドラゴンランスを手に入れたことを騎士団に報告せねば」
トビン「でもたった1本だけでしょ」
ラド「テロスに頼んでランスの量産ってできる?」
DM「できますよ。ただし、レッサー・ドラゴンランランスだけど」
フリン「そうじゃ、真のドラゴンランスは〈カーラスの槌〉がなければできんぞ
トビン「でもあれは、まだトルバルディンのドワーフたちの手にあるんだよね」
ヴィヌク「じゃなおさら会議に出席して、ドワーフたちの手を借りなければ! 彼らももちろん参加するんだろ?」
DM「そうですね。彼らに〈カーラスの槌〉を借りることも説得できるかもしれません」

ヴィヌク「よし決まりだ! サンクリストに向かうぞ」
ラド「じゃ時間もあるし、クリスタイン島にも寄れそうだな」
リヴァーウィンド「俺はノームとやらがいるという、もうけっこう山に行ってみたい」
PL「じゃそれでw」


クリスタイン島


 船は夜明けに錨を揚げて、青い冬の海原へと船首のまわりに波の飛沫を上げながら出航します。日が暮れて、水平線に見える彼らの目的地には、巨大な灰色の霧が広がっています。船長は錨を降ろし、そして彼らはロングボートで島の岸へと漕ぎ出します。灰色の霧以外何も見えません。
 絶え間なく続く白い霧が、繊細な壮観さの中で木と地面を結び付けています。高く聳える山々が煌く夜空に暗い影を落しています。

船長「あんまり遠くまで行くんじゃないぞ」
DM「船長は心配そうに君たちに言いますよ」
トビン「この島には何があるんだろ?」
フリン「何か不思議な言い伝えとかないのかの?」
船長「この島は、ワシら船乗りの間では神秘の島と呼ばれておってな、島の奥地の古い塔の遺跡にお宝が眠っているという噂だが、まだみつけた者はいないのじゃ。おまえさんたちがどんな宝物を見つけてくれるか楽しみにしとるわい」
フリン「よし、ポッチいくぞ!」
DM「ポッチは、まだ船室にいるみたいですよ。何だか船酔いして苦しそうです」
PL「おいっw」
フリン「何じゃと! ポッチィ、大丈夫か!」

周辺地図

リヴァーウィンド「岸から島の古い遺跡目指して内陸部に入っていこう」
DM「では〈生存術〉で技能判定をして下さい」
トビン「19」
リヴァーウィンド「俺は出目1……」
PL「おいw」
フリン「ポッチもやるぞ! コロコロ、20!」
トビン「バカ犬に負けたw」
DM「えっと、ポッチは1〜4が反対方向。5〜6が正しい方向を示します」
フリン「……」
PL「DMひでーw」

 トビンの「こっちだよ!」と言う声に先導されてパーティは、濃い霧で真っ白な荒野を進んで行きますが、犬のポッチだけ「キャンキャン!」と反対側に駆って行きます。
 沼地や林や荒野を超えて暫く進むと、突然、彼らの目の前に、かつて立派な塔だったのでしょうか、古い時代の建物の残骸が姿を現しました。塔の大部分は何百年も前の長い過去の戦争で破壊されていますが、石で出来た外壁部分が残っています。

リヴァーウィンド「まずは〈視認〉して見るぞ、達成値23」
フリン「ポッチの〈聞き耳〉じゃ! 達成値26」
DM「ポッチはヨダレをたらして、うれしそうに飼い主の顔を見てますよ」
PL「おいw」

ポッチ行け!
イラスト:ふー画伯

ヴィヌク「おい、何か見えるのか? 念のためサークル・オヴ・アゲンストイービルとマジック・ウェポンを自分にかけておこう」
DM「リヴァーウィンドは、霧の立ち込めた廃虚の中に何かの影を見たような気がします」
リヴァーウィンド「そのようだ。今何か見えた。何かが潜んでいることは確かだ」
 
 用心しながら近づくパーティたち。崩れ落ちて扉が無くなっている入り口から、建物の中を覗いています。中は瓦礫や岩で一杯です。

忍び寄るリトリーヴァ

リヴァーウィンド「もう一度、〈視認〉だ。達成値25」
フリン「ポッチは16」
PL「ポッチはいいからw」

 リヴァーウィンドが上を見上げると、半壊した天井から、牡牛ほどもある巨大な蜘蛛のようなものが、口から粘液を垂らして、ぶら下がっていました。

リヴァーウィンド『上だ!』

 彼が叫ぶと同時に、それは大きな音を立てて床に降り立つと、大きな肉切り包丁のような鋭い刃が付いた4本の前足を動かしながら、パーティを威嚇します。

ラド「俺は知識チェックだ。〈知識:次元界〉、達成値40」
DM「これはリトリーヴァと呼ばれるデーモンの仲間ですね。」

リヴァーウィンド「次は俺の番だ。まず移動して近付いて、そのままロングソードを構えて突撃するぞ! コロコロ、クリティカル! AC34まで命中! ダメージ24点」
PL「最初からスゲーw」

トビン「続いて、ボクも全力で移動して近づく!」

ヴィヌク「俺は、リヴァーウィンドは呪文の範囲に入らないがブレスの呪文を唱えよう。皆にパラダインの祝福を! 攻撃ロールに+1ボーナスだ」

アングリフ「俺も移動して《強打》を入れて攻撃だな。コロコロ……。出目2か。AC16まで」
DM「敵は立ちすくみですが、その目では駄目ですねw」

DM「次はリトリーヴァのターンです。リトリーヴァは、攻撃を受けたリヴァーウィンドに全力攻撃をしますよ」

 鋭い刃を持つ4本の前足の爪がリヴァーウィンドを襲います。

DM「コロコロ、前足4本の内2本が命中、それから噛みつきが──命中! ダメージは足が31点で噛みつきが10点」
リヴァーウィンド「くっ! バーバリアンのクラス能力でダメージ減少1があるが、これは痛い」
DM「噛みつきが命中したので、組み付きが発生します。コロコロ、難易度39で組み付き対抗判定をどうぞ」
リヴァーウィンド「なにぃ! コロコロ、達成値33。無理だ」

 リトリーヴァは鋭い爪でリヴァーウィンドの体を切り付け、その巨大な顎で彼の体を咥え込みます。

トビン「大変!リヴァーウィンドが食べられちゃう!」

DM「さらに、後ろを振り返ってアングリフに向けて"目の光線"を放ちますよ」
アングリフ「なんだと!?」
リヴァーウィンド「では、それに機会攻撃を──」
DM「超常能力なので出来ませんね。炎の光線です。遠隔接触攻撃しますよ、コロコロ……あ。出目1
PL「おお!」

トビン「組み付いた状態なので、目標は【敏捷度】ボーナスを失っているよね、次の攻撃は急所を──」
ヴィヌク「遠隔攻撃だと味方にも当たる可能性があるぞ」
フリン「ワシの出番かの(弓を構えながら)」
ラド「いや、あんたは前科があるからw」
PL「笑」

 2ラウンド目に入ります。

ラド「では、ピカピカの"ヘイスト"のワンドを取出してっと……。あれ、二人しか届かねー」
トビン「とりあえず、フリンの番まで待てば?」
フリン「ポッチも忘れないでくれ」
DM「ポッチは、緊急時にもかかわらず、崩れかけた壁にオシッコをかけてますよw」
PL「www」
ラド「ええっと、とりあえず行動遅延」

アングリフ「次は、誤射の名人だよw」
フリン「誤射の名人違うわ! ええい、途中まで移動し、待機アクションでラドのヘイストを待ってからさらに移動するぞ。ポッチも同じくヘイスト待ちの移動待機じゃ!」
ラド「あ。あぁ、ポッチもヘイストですか。(;´Д`)」
PL「www」

DM「あ、ポッチを呼ぶなら〈動物使い〉の技能判定でお願いします。難易度10で5体まで移動アクションで呼べます」
フリン「なんじゃと? 移動アクション? 毎回命令せねばいかんのか?」
アングリフ「一回命令したら、次に変更するまでは、その命令を実行しますよ」
DM「その前に命令を聞くかどうか、判定してもらいましょうかw」
フリン「そんなぁ、これではポッチを買った意味が無いではないか! しようがない、ポッチは放置で──」
DM「では、ポッチは自分の意志で動きますよ」
フリン「いや。移動アクションで攻撃しろ!って言う」
PL「えwww」
トビン「なんか面倒になって、捨て駒にする気じゃない?」
フリン「〈動物使い〉は……達成値8じゃ」
DM「ポッチはフリンの言うことを聞かないで、どこかへ行きました」
PL「www」
フリン「……命令が無駄になった。orz」

ラド「じゃ、ヴィヌク、トビン、アングリフ、フリンを入れてヘイストの呪文をワンドを使って発動ね」

リヴァーウィンド「俺は組み付かれているから、激怒してククリで攻撃をしよう。コロコロ、AC30まで命中!ダメージ11点。2回目、AC26まで命中。ダメージ10点」

リトリーヴァとの戦闘

トビン「ボクは、敵を《回避》対象に指定をして、《強行突破》で敵の懐に〈軽業〉で移動してっと……移動は成功。そのままシザックの刃で近接攻撃をするね! コロコロ、出目1」
ヴィヌク「凄い武器かと思ったらショボイw」
トビン「いや、これ弓の上下に刃が付いてる双頭武器なんで、2回目攻撃するよ。コロコロ、あ。クリティカル」
PL「おおw」
トビン「ダメージは18点。後はアングリフに任せた!」

アングリフ「よし、敵をトビンと挟撃できるように5フィートステップして、《強打》を全部乗せて、攻撃! 俺もクリティカル! ダメージは85点」
ラド「何と!」
DM「今日は出まくりですね。あなたの攻撃で、リトリーヴァはリヴァーウィンドを咥え込んだまま倒れましたよ」

フリン「おお、我々の行動が勝利に結びついたのじゃ!」
DM「そんな主人の横で、ここは俺の縄張りだってドヤ顔しているポッチがw」
ラド「二人とも何もしてないじゃんw」
PL「www」

 戦闘終了です。
 その後、トビンが遺跡を〈捜索〉した結果、リトリーヴァの巣穴だったような場所に、幾つかの財宝が見つかりました。

戦利品
・スタッフ・オヴ・ファイアー(40チャージ)
・リング・オヴ・ファイアレジスタンス(グレーター/上級)
・リング・オヴ・プロテクション+3
ヴィヌク「凄い! スタッフはラドが持つとして、リングはどうする?」
リヴァーウィンド「俺、プロテクション+2とファイア・レジスタンス(マイナー/下級)を付けているので、プロテクション+3に変えよう」
アングリフ「その外したリング・オヴ・プロテクション+2は、俺の+1と交換」
トビン「じゃ、アングリフのお古はボクが貰いー!」

ラド「しかし、ファイア・レジスタンス(火に対する抵抗)って、次に我々が戦うのは青竜軍……ゲフン、ゲフン」
トビン「単純にそのスタッフを使って、レジストリングを付けた味方ごと撃てってことではw」
PL「たしかにwww」
リヴァーウィンド「では、俺のファイア・レジスタンス(マイナー/下級)をグレーターの上級に変えよう」
トビン「じゃ、ボクがリヴァーウィンドのお古をもらいー!(∩´∀`)∩ワーイ」

フリン「ワシも魔法のリングが欲しいのう、街に着いたら+1を買っとくか。あとレベルが上がったらドルイドを上げよう」
ヴィヌク「ドルイドの"動物の相棒"のクラス能力が欲しいの?」
ラド「いや、ファイターのクラスレベルを11レベルまで取得して、いまさら次のレベルはドルイド1レベルとかあり得ないからw」

フリン「じゃ回復したら、島の探索を続行するか」
DM「あ、この島。この塔の遺跡以外には何もないです」
フリン「神秘の島って──」
DM「これだけです」
PL「えwww」
トビン「期待してたのにw」

 一晩ここでキャンプをし、彼らはサンクリストへ向けて出発しました。


サンクリスト


 パーティはクリスタイン島を出て6日後の12月10日、サンクリストのパックス港に到着します。

フリン「ふむ。ランダム遭遇イベントで、ノームの蒸気船が近づいてきて爆発しないか心配してたのに、すんなり着いたの」
トビン「フリンは、心配してたんじゃなくて期待してたんでしょw」
DM「出しましょうか?」
ヴィヌク『イヤですw』
アングリフ「さて。まずは、グンター卿のいるウィスタイン城へ行かねば」
トビン「そういえば、ノームのテオ君はどうしたんだろ」
DM「ついて来てますよw」
ヴィヌク「じゃ、あの北の山の名前を聞かないとw」
テオ「あの山は──」
PL『わぁー、もう結構w』

パックス港
・航路でパランサスへ……14日
・航路でケルゴスへ……?
・もうけっこう山へ……4日
・ホワイト・ストーンへ……2日
・ウィスタン城へ……2日
フリン「もうけっこう山に一度行ってみたいのうw」
リヴァーウィンド「だが、会議は5日後だぞ」
フリン「何じゃ、時間が無いのか……残念じゃ」
トビン「ラドがテレポートしてくれれば別だけどw」
ヴィヌク「ギリギリだから止めた方が良いぞ」
ラド「一旦、会議の場所まで行けば、何時でもテレポートはできるのだけどね」
ヴィヌク「ウィスタン城には行かなくていいか。どうせグンター卿には会議で会えるし」
トビン「騎士がそんな無精で――」
フリン「まぁ、会ってもヴィヌクがわかるわけないわい。なんせエルフになっておるしw」
トビン「今までの事は、ブライアンが報告していると思うよ。デレク卿の死とオーブとランスの事と共にね」
DM「ブライアンが『一人、騎士審理にかけねばならぬ者がおります』と報告をw」
PL「www」

アングリフ「やはりグンター卿には入手したオーブとランスの報告をせねばなるまい。そして騎士団の管理下に――」
トビン「え、オーブは渡さないんでしょ?」
ラド「だけど使用するリスクが高すぎで、持っていても使えないんだよな」
フリン「使えないなら金に換えた方が良いのう。ワシら、勇敢にもドラゴンオーブを騎士団に売るのじゃ!」
DM「いや、何にでも勇敢を付ければ良いってものでは……」

トビン「ねぇ、地図ではホワイト・ストーンへの通り道にウィスタン城があるよ」
フリン「ほう、城に寄っても会議には十分間に合いそうじゃな」

 パーティは一路、グンター卿の居城であるウィスタン城に向かうことになりました。

ウィスタン城

 2日後の12月12日。彼らはウィスタン城までやって来ました。
 森の開けた小高い丘の上に小さなお城が見え、その周りにはソラムニア騎士団らがキャンプをしているのが見えます。
 彼らが近づいて行くと、キャンプの方から見張りの騎士が近づいて来ました。

見張りの騎士「おい、お前たちは何者だ? 〈冠〉の騎士と――何、エルフだと!?」
ヴィヌク「いや、これには深い理由が。その、何だ……」
トビン「ケンダーの見習い(スクワイヤー)騎士もいるぞ!」
アングリフ「私は〈冠〉の騎士アングリフ・ブライトブレイド。我らはグンター卿からの命を成し遂げ、たった今帰還したところだ。卿に面会したい」

 ソラムニア騎士を名乗るエルフとケンダーに、エルフの姫君と平原人と魔法使いという奇妙な組み合わせに見張りの騎士は怪訝な顔をしながら、彼らをお城へと導きます。
 少し待たされて、部屋に通されると、ケンダーの手の届きそうな場所にあった物が別の場所に移動されていました。
 グンター卿は、椅子に座ってテキパキと書類を片付けたり、従者に忙しく命令を出しながら、高貴な指導者としての役割を振る舞っています。
 彼は騎士団を上手くまとめ上げようと非常に苦労しているようです。
 パーティらが部屋に入ってきたことを確認すると、まわりの従者に、お前たちは下がってよい、と言うと、打ち砕かれたかのように深いため息をつきます。

グンター卿「よく戻ってきたな、アングリフ卿、そしてヴィヌク卿か? 長旅は大変だったであろう」
ヴィヌク「ええ、私などエルフになってしまいました――」
PL「www」
フリン「彼の姿を見れば、如何に我らの旅が大変だったかよくわかろうw」
アングリフ「再び、生きて閣下にお見えできるとは思ってはおりませんでした」
グンター卿「そうか、貴殿等の活躍は聞き及んでおる。(チラチラとヴィヌクを見ながら)まさかエルフに変えられるとは、何か禍々しい呪いにでもかかったのか」
ヴィヌク「いえ、私は〈まことの神々〉の祝福を受けています。(キラーン!とパラダインのメダリオンを取り出しながら)」
グンター卿「それが〈まことの神々〉のしるしか!」
アングリフ「閣下にご報告したいことがあります。(閣下の指令書を取り出して)この戦況を変えるべく、騎士団に荷担してくれる他の勢力を探し、その助力を得るべく努力ですが、私には如何に荷が重かったか――」
フリン「いや、この男、種族間のいざこざの原因となっておったぞw」
PL「www」
トビン「助力は得られたでしょ。バッチリ、シルヴァネスティとクォリネスティの王女たちを手篭め――」
アングリフ「コ、コホンッ!」
ローラナ「何か言いました?」
アングリフ「し、しかし。この冒険の途中で、このようにエルフの有力な王族に援助を受けることができました」
PL「爆笑」
アングリフ「これがホワイト・ストーンの会議において、我々に有利な状況に――」
PL「www」
グンター卿「アングリフ卿、〈誓い〉と〈典範〉にかけて、そなたの言うことは本当か?」
アングリフ「左様でございます」
フリン「(嘘を突き通しおった)」
PL「www」

 立派な髭を触りながら、彼は話を続けます。

グンター卿「そうかね。私は貴殿らの帰還の知らせは受けておった。今アンサロン大陸は大変なことになっておる。ドラゴン軍がソラムニア地方を埋め尽くしており、パランサスにも迫ろうとしておる。奴らは、パランサスの市民は襲わないと言っているが、ドラゴン人どもが嘘を吐いていることは明白な事だ」
ヴィヌク「我々はタルシスで、同じ光景を目にしております。タルシスがどうなったか、閣下もすでにご存じかと」
トビン「そうだよ、タルシスはドラゴンに襲われて焼け野原じゃないか!」
グンター卿「やはりそうなのか。ソラムニア平原に侵攻するドラゴン軍からパランサスを防衛するためには、今や、街に至る〈大司教の塔〉の砦だけが我々の唯一の希望だ」
フリン「パランサス人はドラゴン人の言うことを信じているのかのう」
グンター卿「彼らは、そう信じたいから信じておるのだろう……。アングリフ卿、ヴィヌク卿。サンクリストに戻って何を感じた?」
トビン「平和だなーw」
グンター卿「ケンダーよ、ソラムニア騎士でないお主にはそう見えるかもしれないが、今ソラムニアは酷い有様になっている。騎士団は内部で分裂しておるのだ」
アングリフ「私が出発したときより酷い有様に?」
グンター卿「私がデレク卿の死を嬉しく思っていると思うかね。彼と私は意見が合わないことが多かったが、彼は優秀で人望のある騎士であった」
トビン「知ってるよ!彼には何度もインスパイア・カレッジで励まされたよ!」
アングリフ「実を言えば、私はデレク卿に会うまでは、彼のことは好く思っていませんでしたが、しかしこの旅を通じて、彼の高潔さを強く感じました」
フリン「ワシも、噂では凄くイヤな奴だと聞いておったのじゃが、会ってみたら凄く励ましてくれる。ひょっとして悪い噂はグンター卿、あんたが流したのではないのかの?」
PL「www」
グンター卿「はっはっは、ドワーフのご友人は大変なユーモアをお持ちだ」

アングリフ「人間の弱さや過ちのために、今、騎士団は腐敗状態に陥っていると私は思います。だが、騎士団には本来デレク卿の様な高潔な意志が備わっているもの。我々が本来の高潔な意志を取り戻せば、我が騎士団は一体となり、また他の種族とも協調し団結して、必ずや邪竜の勢力を打ち砕くことができると私は信じているのです」

フリン「そうですじゃ! ワシもこの旅で同行するまでは、このアングリフの台詞を素直に受け止めてなかったのですじゃ!」
PL「アングリフの台詞に便乗しようと必至だw」
アングリフ「私たちはそれぞれが少し視野が狭くなっているのです。我々がお互いを理解する心を持てば、我々は団結し、邪竜の勢力を打ち砕くためにその力を使うことができるでしょう」
ヴィヌク「善なる神々が帰還しています。神々の元に一つにまとまれば騎士団もやがてかつての威光を取り戻すはずです」

グンター卿「そうだな。デレク卿が亡くなって、私が騎士団長(グランドマスター)代理となっておる。彼が〈大司教の塔〉の守りに着く予定だったのだが、その役はブライアン卿に任せるつもりだ」
リヴァーウィンド「彼はこの後、結婚を控えているからな」
トビン「死亡フラグw」
グンター卿「君たちにはパランサスに行ってブライアン卿と共に〈大司教の塔〉の守りに着いて貰いたい。まずはパランサスに行き、〈大図書館〉のアスティヌスという人物に会うのだ。彼はいつも図書館に篭もっていると言うが、彼から有力な助言がも貰えるはずだ」
ヴィヌク「アスティヌス?〈知識:地域〉で(知っているか)技能判定します。ええっと、達成値25」
DM「アスティヌスは、長い年月を生き、クリンの始まりから終わりまでを自分の歴史書に記録している有名な人物で、彼の知らないことはない、知識の神ギレアンその人と言われるくらい、クリンの中で最も知識のある人物として知られていますよ」
ヴィヌク「――だそうだ。知識の神ギレアンの化身と呼ばれるアスティヌス殿なら、我々を導いてくれるかもしれないな」
グンター卿「〈大司教の塔〉には今三人の指揮官を置いておる。オーリック・アーチュラン卿、アルフレッド・マーキュリン卿、マイケル・ジョフリー卿だ」
トビン「ソラムニア騎士団ばかりだね。他の種族は協力してくれなかったの?」
グンター卿「それが今回のホワイトストーン会議で話合われる。我々が事前に得ている情報によると、エルフらは貴殿等が見つけたドラゴンオーブを自分たちの物だと主張して、返還を迫っておる。ドワーフたちはドラゴンランスが〈カーラスの槌〉で鍛えられていることを知ると、彼らはドラゴンランスを自分たちの物にしようと画策している。ノームたちはドラゴンランスの研究をしたいと言い出して困っておる。しかし、ドラゴンランスはドラゴン軍との戦いに必要な物だ」
トビン「〈霧篭の谷〉でのドラゴンランスの量産は間に合いそうなの?」
グンター卿「時間がかかるだろう」
フリン「ワシら、伊達に異種族でパーティを組んどるわけではないからのう。会議に出て、今はつまらん争いをしている場合ではないと主張せねば!」
トビン「オーブなんてあるから争うんじゃないか!そんなオーブなんて割っちゃえ――」
ラド「それはまだ早いですwww まぁ俺が所持している限り、誰にも渡さないからな」
ヴィヌク「そうだ、少なくとも魔術師の評議会は彼が持っていることを了承している」
ラド「如何にも。これを持っていれば(アーティファクトなんで爆発するから)ディスジャンクションの呪文の効果を受けることはないしw」
フリン「恐らくこの世界の魔術師の中で唯一ドラゴンオーブを起動もせぬという魔術師w」
トビン「騎士団としてはオーブをどうしたいのさ」
グンター卿「君たちに任せる。サンクリストにいる間は私は君たちを援助することができる。改めて君たちにも会議に出席して欲しい」
フリン「ワシも世界のために力になりましょうぞ。そのためには我々にマジックアイテムを――」
PL「出た、欲深ドワーフwww」
グンター卿「おい、例の武具をこちらへ」

 グンター卿が呼んだ従者たちがいくつかの立派な武具を運んできます。

+4ハーフプレート・アーマー
+3ブレストプレート・アーマー
+1アローキャッチング・ヘヴィ・スティールシールド
+2クローク・オヴ・レジスタンス
+2マイティ・クリーヴィング・ロングソード
+2ショートソード
グンター卿「私がしてやれることはこれくらいだ」
PL「おお!」
フリン「ワシが使うことができるものがない……。orz」
ヴィヌク「+3ブレスト・プレートにしたら?ACが1上がるでしょ」
フリン「ではそれを貰うとしよう」
ラド「俺も意味なさそうだから、スタッフ・オヴ・ファイアーでも磨いておくか。あ、クローク着ていい?」
リヴァーウィンド「俺は+2ショートソードを貰おう」
ヴィヌク「ロングソードは俺が」
アングリフ「一つ言っておくが、これを貰ったら君たちは騎士団のいいなりになるんだぞ」
リヴァーウィンド「う”」

トビン「ねぇねぇ。ボク的には、騎士になりたいんだけど」
グンター卿「(近くにあったマグカップを引き寄せながら)なら、この戦いで功績があれあ考えよう」
トビン「やったー!」

グンター卿「それでは、よろしく頼むぞ。貴殿等には食事を用意した。今日はここに泊まれられよ」

 その後、食堂に通されて久方ぶりの豪華な食事のもてなしを受ける彼ら。
 翌朝、彼らは会議の開かれるホワイトストーンへ向けて出発したのでした。


ホワイトストーンの会議


 ホワイトストーンは、サンクリスト島の内陸部に位置し徒歩で2日の距離にあります。そこは澄んだ空気と緑豊かな生い茂った森に囲まれた大きな円形の広場で、その中心に名前の由来となった巨大な白い水晶の「ホワイトストーン」が地中よりそびえ立っています。ホワイトストーンとは、パラダインがこの世界を去る時に最後に触ったものとされ、ソラムニア騎士団創設の場所でもあります。

ホワイトストーンの広場:
 ソラムニア建国の父ヴィナス・ソラムナスは、当時、エルゴスの圧政に苦しむアンサロン北部の併合に悩んでいました。彼は探求の旅でサンクリスト島を訪れた時、中心に突き出た黒い花崗岩のモノリスがある林間の広場を見つけました。
 ここで彼は断食し、答えを見つけるために善の神々に祈ります。長い祈りの末、もう諦めようかという矢先に、パラダイン、キリ=ジョリス、ハバフックの神々が彼の前に現れ、彼にビジョンを送ります。
 彼は3人の神々それぞれにより力を授かる騎士の3つのオーダーを見ます。ハバフックから忠誠と服従に基づく理想の冠の騎士団、キリ=ジョリスから勇気と武勇の理想を是認する剣の騎士団、そしてパラダインから知恵と正義の理想で皆を導く薔薇の騎士団。後の世に、これらの騎士団が、アンサロン北部を統合し、ソラムナスの名誉と善を受け継ぐでしょう。ソラムニア騎士団の構想は、この時のヴィジョンから来ているのです。
 ソラムナスのビジョンの後で、神々は黒の花崗岩を純白の水晶の柱に変え、ナイトの爵位を見守るために神はこの地を祝福し神聖な場所にする約束をしました。
 今日、ホワイトストーンの広場は、ソラムニア騎士団の最も神聖な場所になっています。
 季節は冬のはずですが、この場所だけ不思議なことに草が青々と茂っています。
 彼らが到着した頃には、広場には、ノーム、エルフ、ドワーフ、ハイローからやってきた人間たち、そしてケンダーに、どぶドワーフまでと、各国の代表らが集結し、ホワイトストーンを囲むように腰を下ろしていました。
 グンター卿が壇上に立ち、最後にソラムニア騎士団が入ってきたことを確認します。

グンター卿「紳士淑女の皆さん、これよりホワイトストーンの会議をここに開催する。ここで行われる会議が実り豊かなものになるように祈る。今日は素晴らしい方を迎えている。今回の戦争に極めて有効な武器をもたらしてくれた勇敢なものたちだ!」

 突然、グンター卿より紹介される彼ら。わき上がる歓声。
 フリン、ラド、トビン、アングリフ、ヴィヌク、ローラナ、リヴァーウィンド、そしてゴールドムーン。
 彼らは話しました、廃都ザク=ツァロスで戦った黒竜や、〈いにしえの神々〉のこと、ドラゴン軍との戦争、パックス・タルカスの解放や赤竜との戦い、トルバルディン、タルシスを経由して、〈氷壁〉への旅路とドラゴンオーブの発見、そこから南エルゴスでのドラゴンランスの探索の旅までと。

 長い物語が終わると、広場は混乱と不安に満ちた声で一杯になっていました。

ソラムニア騎士団「手に入れた新兵器をすぐにパランサスに持っていくのだ! そこで武器の真の価値を見出すのだ!」
エルフ「〈氷壁〉で見つかったオーブは、クォリネスティ・エルフのものだ! 我々は即刻、返還を要求する!」
ドワーフ「ドラゴンランスの伝説は、よく知られているが、その者達が持っているのは本当にドラゴンランスなのか? ノームが作ったヘンテコな発明品ではないのか?」
人間「〈大司教の塔〉にオーブを持っていけ! このオーブはサンクリストにあってはならない! 強大な力と危険を理解できないまま、我らがそれを使うことは――」
ケンダー「僕らケンダーにそのオーブを預かって欲しくない理由がわからないよ。記憶にある限り、僕らがこれまで預かったもので何か失ったことがあるかい?」

 議論は白熱し、結論がでません。エルフは、騎士団に対して今にも宣戦布告しそうな雰囲気で、さらにドワーフが両者の議論を煽り、ケンダーは罵倒を浴びせています。
 クォリネスティの〈太陽の評議長〉が、息子のポルシオスに肩を支えられながら現れると、そこにあるドラゴンオーブは我らの物だ、お前達人間ではないのか!と、まるで油に火を注ぐような状態です。

ラド「シルヴァネスティ・エルフの姿が見えないね」
DM「シルヴァネスティの代表は欠席していますね」
トビン「なんだー、アルハナいないのか」
フリン「まぁ、こんなところで話をややこしくしてもなw(ちらちら、とアングリフを見ながら)」
PL「たしかにw」

ヴィヌク「みんな、聞いてくれ。神々が帰還されたのだ!」

ラド「えー、皆さん、聞いて下さい。私のオーブは私のものです!」
トビン「ラドのもの?」
ラド「いや、失礼。我らの仲間が危険を冒して手に入れたものだ。このオーブはドラゴンを支配することができる恐るべき力を持っている。よく考えてくれ。このオーブをどこかのひとつの勢力が持てば、力の均衡が崩れ、他の勢力の対する脅威となる」
ドワーフ「たしかに」
トビン「そうだ、そうだ! それに、ラドさえ力を持て余しているのに、他の種族に使いこなすことができるものはいないだろう!」
エルフ「それは使ってみないとわからない!」
フリン「エルフが使いこなすとな。結果、シルヴァネスティ・エルフの王がどうなったか知っておるだろう」

ヴィヌク「神々が帰還されたのだ!」

フリン「ワシらも様々な種族からなるパーティで、一時は我欲に捕らわれ、ラド派、アングリフ派と、些細ないざこざをしておったが、この冒険を通じて、死ぬような目に何度も会い、中には死んだ者もおるんじゃんが、一つになることができたんじゃ! 今は争っている場合ではないわ。あまりにも強大な我ら共通の敵に力を合わせて立ち向かって行くべきじゃ!

ヴィヌク「……神々が帰還されたのだ!」

フリン「ワシらは見た。敵の巨大な竜たちを! ドラゴンの強大な力の前にはここにいる異種族らが力を合わせて立ち向かうしかないのじゃ!」
エルフ「だが、そんな槍一本で勝てるわけないだろう!」

ラド「そのような強大な敵を倒したのでなければ、どうしてドラゴンオーブがここにあるというだ!」
トビン「そうだ! この僕がドラゴン卿フェアル=サスを倒したんだぞ!」
ラド「いや、それ信用度下がるからここは控えて――」
トビン「だってホントの事なん、もごもご……」

 直ちにパーティのメンバーに口を塞がれるトビン。

フリン「希望はある。我らは、善なる竜の姿もみた!」

聴衆「なんだと!?」
聴衆「馬鹿な! ドラゴンに善も悪もあるはずない!奴らは獰猛で残忍だ!」
聴衆「あのドワーフは嘘つきだ!」

ヴィヌク「そんなことはない、ソラムニア騎士の我が名誉にかけて誓う! 〈いにしえの神々〉が帰還――」

フリン「ワシらがドラゴンオーブやドラゴンランスを手に入れたのは帰還した善なる神々と善なる竜の導きがあっての事じゃ! ワシらのような卑しい存在が、このような高貴なアーティファクトを手に入れていることが何よりの証明じゃ!」

ヴィヌク「……」

丘ドワーフ「何だお前は!丘ドワーフの癖に何でワシらに味方しないんじゃ!そのドラゴンランスはトルバルディンにある〈カーラスの槌〉で作られたものではないではないか! お前たちがヒューマの墓から盗み出したものだろう! 正当な権利を持っているのは、ワシらドワーフじゃ!この裏切り者め!」

騎士団「いや、ドラゴン軍に打ち勝つ究極の武器の探索の遂行は、我ら騎士団の願い。ドラゴンランスの全ての権利は我ら騎士団にある!」

ヴィヌク「馬鹿野郎! 槍が一本あったところでどんな種族も力を合わせなければ勝てないぞ。我々がいがみ合っていることを帰還された神々が喜ぶとお思いか!」
パーティ「そうだ!そうだ!」
ヴィヌク「(´・∀・`)」

グンター卿「静粛に! コホン、議論も出し尽くしたところで、1つ提案がある。確かにこの者達の言うことは一理ある。報告によると彼らの話に嘘はないだろう。異種族で構成された彼らは力を合わせて幾多の困難に耐えてきた。そんな彼らだからこそ、神はドラゴンオーブを彼らに託されたのだ思う。どうだろう、彼らに我らの希望を託してはどうだろうか?」

 ちなみに会議で議決権を持っている者は、ソラムニア騎士団の代表グンター卿、丘ドワーフの長ダンカン・ハンマーロック、エルゴス帝国の代表ミール・カー=ソン、ヴィンガールド要塞の公爵セルディン・マーシャサル、それから〈もうけっこう山〉のノーム代表ノッシュです。エルフやケンダー、どぶドワーフ、それにトルバルディンのドワーフたちは持っていません。

DM「アングリフは何か言うことある?」
ヴィヌク「おまえも大見得切ったんだがら何とか言えよ!」
アングリフ「(顔を硬直させ、ローラナの方をチラッチラッと見ながら)いや、〈太陽の評議長〉の手前もあるのであまり勝手なことは言わない……
ラド「あざといなw」

 そこへ、聴衆の中より現れた銀の腕を持つ一人の男がホワイトストーンに近づくと、持っていたランスを、大きく振りかざして、そのまま純白の水晶の巨石に突き刺しました。

PL「テロス来たwww」

 その時、ドドーンと稲妻が落ちたような激しい怒号が広場に響き渡ったかと思うと、次の瞬間には白い巨大な水晶のモノリスが真っ二つに割れていたのでした。

ノーム「いしがまっぷたつ!?」
騎士団「な、なんてことを!?」

テロス「聞け! これがドラゴンランスの力だ!俺は善竜からドラゴンランスを鍛える力を授かった。(銀の腕をみせながら)ドワーフの皆が俺に力を貸してくれば、俺はさらに沢山のドラゴンランスを量産できる。この力があればドラゴン軍を蹴散らすことも可能だ!」

フリン「皆者、この銀の腕を持つ男はわしらの親友じゃ!」
ヴィヌク「そうだ! ここにいるゴールドムーンが〈まことの神々〉の力で片腕を失った彼を治療したんだ!」
ゴールドムーン「あ、はい。そうです」
フリン「そうじゃ、わしらは誓うぞ。ここで皆が手を結ぶなら、わしらが得てきたものをすべて投げ出して、平和のために戦おうじゃないか!」

トビン「フリンの言葉だと思えないw」
PL「www」
ラド「体中が痒くなるなw」

DM「では、フリン。〈交渉〉で技能判定をしてもらいましょうか」
ヴィヌク「コッソリ、イーグル・スプレンダーの呪文を掛けてフリンの【魅力】をドーピングしておいたってことでいい?」
DM「いいでしょう」
フリン「〈交渉〉の修正値はなんじゃが……w」
ヴィヌク「俺の呪文で+2だ」
トビン「僕らも技能判定の援護をしたってことでいい? さっきからみんなしゃべているし」
DM「まぁ、邪魔もしていたこともあったような気がしますがいいですよ。援護の難易度は10で成功」

トビン「やったー、フリンの〈交渉〉の援護ロールで、コロコロ。19援護成功」
リヴァーウィンド「俺も17で成功」
ヴィヌク「俺も。あ、出目1が出たけど達成値が越えてるので援護成功」
ラド「出目11が出たけど、俺は援護失敗……」
PL「修正値マイナスですかwww」

フリン「おお。これまでにない皆の援護がワシをw」
DM「修正+10ですね」
フリン「欲に塗れたワシの心がこの冒険を通じて目覚めたのじゃ!善なる志にエイ!コロコロ……」

トビン「……フリンの修正値いくつだっけ?
フリン「ゼロ」
DM「達成値はいくつですか?」
トビン「ええっと、15みたい」
ラド「ええ……」

フリン「マズイ?」

DM「うーん」
聴衆「(ざわざわ)武器を見つけてくれたのはこの連中だし、彼らのいうことも一理あるな」
聴衆「そうだな。この者達に託してみるか」
DM「彼らは"中立"だったのですが、"友好的"になりましたよ」

フリン「おお!わかってくれたか!」

グンター卿「これから我らが対峙するドラゴン軍との戦いは壮絶なものとなるであろう。もしかしたら、この戦いがアンサロン大陸、いやクリンの世界を左右することになるかもしれん。改めて請う。貴殿たちの力、今一度、このアンサロン大陸のために使ってはくれぬか。人間、ドワーフ、エルフ、ケンダー、ノーム、諸々の種族の繁栄のためにも! ドラゴンオーブとドラゴンランスと共に、是非その力をドラゴン軍との戦いのために使ってくれ!」

アングリフ「ははっ!もとよりそのつもりでございます!」
聴衆『おお!』
聴衆『今後の運命は君たちに託すぞ!』
聴衆『おおおー!』

 拍手と共に舞い上がる歓声。

トビン「最後だけアングリフが持っていったねw」
フリン「ところで、なんとなく石を真っ二つにしてしまったテロスはどうしてるだろう――」
ヴィヌク「それかよwww」
DM「ポツンとしてますよw やっちまったって顔で……」
PL「www」
フリン「テロスよ、気をやむでない。正直アレはちょっとやりすぎであったとは思うが、結果的に皆を説得できたのじゃ。いや、正直アレはやりすぎ――」
ヴィヌク「もういいからw」
PL「www」
テロス「……」
フリン「そ、その何じゃ、テロスよ。これから忙しくなるぞ。ドラゴンランスの量産をせねばならないのじゃからな」
トビン「フォローのつもりですかw」

 こうしてホワイトストーンの会議は終了したのでした。

ソロスタン「ローラナ、久しぶりだな。お前も一緒に来るか?」
ローラナ「私はまだこの者達と一緒にいます(アングリフの顔を見て頬を赤らめながら)」
アングリフ「姫――(あぁ、姫の兄の視線が痛い……)」

 グンター卿は会議がうまくいってよかったと満足した表情です。

リヴァーウィンド「そうだ、ホワイトストーンの欠片を記念に持って帰ろうか」
ノッシュ「やめてください! こんな貴重なものは我らのーむのかがくぎじゅつくみあいがこれをちょうさせねばなりませんので、それをもちかえられたらこまります!」
PL「www」


パランサスへ


 ホワイトストーンの会議を終えたパーティは、一路パックス港に向かい、そこから2週間ほどかけて船でパランサスに向かうことになりました。彼らはパランサスの最終防衛戦である〈大司教の塔〉の守りに着くことになるのです。
 到着は、ウィンターナイトの月、エルフの暦で言う1月1日の元旦になる予定です。

DM「さて、君たちは長い航海を終え、あと数日でパランサスの港に到着しますよ」
PL「おお、もうすぐハッピーニューイヤー!」
PL「何だかおめでたいね」
PL「モンスターに会わすに無事に航海できたね」

DM「では、〈視認〉判定をしてくださいw」
PL「――おいw」

リヴァーウィンド「達成値28」
トビン「25」
フリン「ポッチが25」
ラド「いや、ポッチはいいからw」
フリン「だってワシ、11なんじゃもん……」
PL「w」

 さて、甲板に出て潮風にあたりながら皆でパランサスの話などをしていると、リヴァーウィンド、トビン、それから若干一匹は、水面の狭間に以前にも見たことがある大きな影が、ちらついていることに気がつきます。

フリン「クラーケンちゃん?」
ラド「ヤメテw」
DM「(・∀・)ニヤニヤ」
トビン「あのときの!?」
リヴァーウィンド「ずっとストーキングされてたのかw」
ヴィヌク「足が2本ほど減ってない?」
DM「新しく生えましたw」
トビン「早いよw」
DM「では、甲板に皆ミニチュアを置いてもらいましょうかw」

 ここで戦闘開始です。

PL「奴の間合いって凄かったもんなぁ」
PL「無事パランサスへ着けると思ったのに――」
DM「コラ、皆後ろに下がるなw」

船長「あ、あれは、海の魔獣ではないか!」
パーティ『知ってますw』

 そうです。忘れもしない、〈氷壁〉を脱出後、南エルゴスの沖合を航行中に襲われた、巨大な海の魔獣クラーケンです。

 巨大なイカの流線型のシルエットが水面に浮かび上がったかと思うと、突然凄まじい飛沫の音と共に、燃え上がる様な赤い目玉をギョロギョロとさせながらパーティの船の前に現れます。上空に舞った飛沫が雨のように船の甲板に降り注ぎます。

海の魔獣との決戦!

トビン「何か怒ってるよ、このイカ」
ヴィヌク「だろうな」
アングリフ「一番目はリヴァーウインドか。クラーケンより早い」
リヴァーウィンド「《イニシアチブ強化》の特技を取得しているんだ」
ラド「悪いが俺の番まで待ってくれ。ヘイストの呪文を唱えて、仲間の行動を加速させる。取りあえず範囲内の味方のAC+1、攻撃+1、反応セーヴ+1な」
PL「おおw」
フリン「ポッチも?」
ラド「は? あ、あぁ。10人までヘイストかかるのでいいけど……」

ヴィヌク「じゃ防御系の呪文をかけよう。インサイト・オヴ・ヤルス!
トビン「出た、眺めて楽しむ盆栽系呪文!」
ヴィヌク「盆栽違うわ! 50フィートの半径内の味方、攻撃、AC、技能、及びセーヴ判定に+2洞察ボーナス」
PL「おおw」

インサイト・オヴ・ヤルス/ヤルスの洞察 占術[善]
クレリック4・パラディン4
発動時間:1標準アクション
距離:半径50フィートのエリア
持続時間:1ラウンド/レベル

 この信仰呪文によって術者とその味方は皆、敵に対してぶれて見えるようになり、攻撃ロール、AC、技能判定、セーヴ判定に洞察ボーナスを得ます。さらにまた、どんなキャラクターでもそのボーナスの代わりに他のアクションとして、技能判定か攻撃ロールのための援護を+4ボーナスで行うことができます。
船長「ヤルスじゃと?」
トビン「どうしたの?船長」
船長「いや、何でもないわい。それより早くやっつけてくれ。船が保たん!」
ラド「怪しいな、船長」

 ラドのヘイストの呪文の後、トビンとフリンとリヴァーウィンドが一斉に射撃を開始します。

トビン「まぁいいや、コホン。ボクの番なので、。5フィートステップしてシザックのショートボウ・モードで全力攻撃ね。コロコロ、AC18ミス、AC17ミス、あとヘイスト分でAC24命中!ダメージ7点」
フリン「変な武器じゃのう。ワシも矢を撃つぞ。《速射》とヘイストで5発じゃ。AC26で命中10点、次は出目1でハズレ、さらにAC26でクリティカル、ダメージ28点、4発目AC18ハズレ、5発目命中8点」
リヴァーウィンド「俺の番だ。弓を射る。AC21命中9点、AC14ミス、AC34命中9点、終了」

アングリフ「俺は移動して前に出て……、そして『俺たちなら勝てる!インスパイア・カレッジ!』 味方は皆、攻撃ロールと、[魅了]と[恐怖]によるセーヴ判定に+2の士気ボーナス!」
トビン「インスパイア・カレッジ、キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!」
フリン「おお、アングリフに初めて励まされたw」
PL「w」

 アングリフの熱い励ましの声が、皆の心を勇気づけます。

DM「では敵の番ですね。移動は水泳で20フィート接近し、そこで疑似呪文能力を発動!」

PL「何だよ!」
ラド「〈呪文学〉判定、コロコロ。達成値28でどう?」
DM「レジスト・エナジー・ファイア(火に対する抵抗)」
ラド「クソッ!」
DM「そして、フリーアクションでスミを吐く! ブウウウウーー!
PL「スミ!?」
DM「範囲内のクリーチャーは完全視認困難。クラーケンを攻撃するときは50%失敗で」
PL「むむー」

 2ラウンド目です。

ラド「では、俺は敵が水面から出たタイミングでグリッター・ダストをかける待機をしておくよ」

ヴィヌク「俺は、今度はプレイヤーの呪文を唱える。攻撃ロールと、ダメージロール、技能判定、そしてセーヴ判定に+1の幸運ボーナスだ」
PL「スゲ―。ヘイスト+インスパイア・カレッジ+インサイトなんたら+プレイヤー!」
PL「ドーピングしまくりんぐwww」

トビン「僕は、全力攻撃したいけど敵の番まで遅らせるよ。スミで姿が見えないし」
リヴァーウィンド「俺も遅延」
フリン「ワシも遅延じゃ」
DM「ポッチはクラーケンに果敢にも向かっていきますよ」
フリン「おい、この馬鹿犬!」

アングリフ「俺も、前に出て――」
フリン「もしかして、ワシのポッチを守ろうとして!?」
アングリフ「あ、それはないから」
PL「www」
アングリフ「おりゃー、《攻防一体》と防御的戦闘をしながらACを上げつつ、素振りをする」
ラド「この騎士様、やる気あるの?」

 まるでコールタールを撒いたような黒い液体で一杯の海面が、突然、船の方に向かって波立ち始めます。

トビン「来た!」
フリン「もしかしてポッチを食いに!?」
ヴィヌク「面倒臭いからね、確かに」
フリン「何じゃと?」
ラド「DM的には、この犬がさっさと居なくなってくれた方がw」
フリン「そんなー!」

DM「敵は移動したので、〈視認〉すればわかりますよ」

トビン「では、〈視認〉して達成値28。あ、アソコだ!あの辺! すかさずシザックで攻撃。コロコロ、AC33命中! ダメージ4点、さらにAC36ダメージ5点。急所攻撃が出来ないからダメージ低い……」
リヴァーウィンド「俺も〈視認〉成功。弓で攻撃。AC20命中15点、2発目はクリティカル!ダメージ40点」
フリン「ワシも〈視認〉するぞ、修正値0だから、達成値14。いや呪文のボーナスを忘れておった。17!成功!」
PL「おおw」
フリン「よし、攻撃じゃ! AC28まで命中!ダメージ10点。AC21でダメージ9点、AC21命中ダメージ15点、AC22命中ダメージ12点じゃ!」
DM「ちなみにポッチは座って足を舐めてますよ」
PL「www」

 弓を射る3人に続いて、ヴィヌクはまたしても呪文を唱えます。

ヴィヌク「サークル・オヴ・アゲインスト・イーヴィル! 俺から10フィート以内の範囲は、悪属性の敵に対して、ACに+2の反発ボーナス」
PL「おお!」
PL「今日はヴィヌクが輝いて見えるw」

アングリフ「おりゃー! 《攻防一体》で防御的戦闘。素振りして終わり」
PL「この人、何がしたいの?」
PL「囮のつもりかしらw」

 その時、海面が割れて飛沫が吹き上がり、巨大なイカの化け物が海面に姿を現します。

ラド「よし、待機していた俺のグリッターダストが火を吹くぜ! 意志セーヴをよろしく!」
DM「セーヴは成功」
ラド「でも金粉に包まれて〈隠れ身〉に-40のペナルティを受けるんで。海面下の〈隠れ身〉判定はほぼ無効化されるはず」

トビン「だけど、このまま敵の攻撃か」
DM「触手による攻撃範囲は60フィートですので」
トビン「誰でも狙えるw」
フリン「ここでDMが面倒臭さに負けてポッチを狙えば、我々の思う壷じゃw」
トビン「飼い主のあんたが言うなw」
ヴィヌク「それ、最初に言われた騎士的な行動のポイントが下がりそうな気がするんだけどw」
フリン「それはいかん!! ポッチ! ポッチに何をするのじゃ! ポッチを攻撃するならワシを攻撃せい!」
PL「この変わり様が酷いw」

DM「ではフリンに触手が飛んできますよ。AC37、命中ですよね。ダメージ21点。あと、ポッチ、ウザいなw」
ヴィヌク「今、DMのデス・ノートにポッチの名前が書かれましたw」
フリン「ひぃーー!ポッチィ!」

トビン「ボクの攻撃。AC19ミス、AC25まで命中、AC27まで命中。2回命中してダメージ10点」
フリン「ワシの番。よくもやってくれたな! AC32まで命中、ダメージ8点、AC26ダメージ13点、AC27ダメージ13点、AC15ミス、AC16ミス」

ラド「俺は暇なんで、ディスペル・マジックを唱えて、敵のレジスト・エナジーを消そう。敵の呪文抵抗を……コロコロ。ダメだ抜けねー!」

ヴィヌク「俺は今度はホーリー・スマイトで攻撃。意思セーヴ17でお願いします」
DM「出目1、失敗」
ヴィヌク「よっしゃー!ダメージ31点、さらに敵は1ラウンド盲目!」
PL「おおおwww」
PL「キャー、ヴィヌク、カッコ(・∀・)イイ!!!」

 今回あまり冴えないラドのかわりに、ヴィヌクが大活躍です。彼の放つ聖なる輝きの一撃がクラーケンを打ちのめします。

アングリフ「オリャー!! 終わり」
PL「とうとう、行動宣言しなくなったw」

 ここにも冴えないのが居ましたw

DM「では、ウザい奴を殺しにいくかw」
PL「www」
PL「ポッチーw」
フリン「マジで!? 鬼ぃ!鬼DM!」
PL「www」
フリン「あぁ、無駄にしてしまった25スティール」
PL「うはっwww」
ラド「いや、あなたが無駄にしたのはお金じゃなくて犬の命
PL「ですよねwww」

DM「では、触手攻撃が2回、AC47、AC48まで。命中ですよね。ホーリースマイトで盲目中だから、50%ミスチャンスで……奇数ハズレね。コロコロ」
PL「お、両方ともハズレ!」
PL「パチパチパチ」
フリン「やった!ポッチィ!」
DM「いや、まだ触腕が6本あります」
フリン「鬼ぃー!」
DM「AC30だから、命中ですね、奇数がハズレで――当たりw」
フリン「ポッチのヒットポイントは6。頼む、6を下回れ!」
DM「ダメージ11点でHPはマイナス5」
フリン「ギャァー―!」
ヴィヌク「大丈夫、即死でないから、後で治癒できるよ」

DM「では、残り3つの腕はアングリフに。コロコロ、惜しい。1発がクリティカルしかけたけど、3発中2発普通命中。だけど、50%ミスチャンスの分で両方とも外れた。悔しいので最後は噛みつきね。ええっと、AC33まで命中だけど」
アングリフ「ふっ、ハズレw」

フリン「ダメ犬の癖に、アングリフに行くべき攻撃を3回受けたのか!」
DM「25スティールで3回w」
アングリフ「犬にしておくのは惜しい奴だったな」
ヴィヌク「いや、まだ死んでないからw」
ラド「そうか、リインカーネーション(輪廻の呪文)かw」
トビン「プッwww」
フリン「リインカーネーション……」

トビン「では、ボクはヒロイック・サージで移動して全力攻撃するね。AC30まで成功、AC24まで命中、AC28まで命中。ダメージ3回分で、盲目だから急所攻撃が入って12点+11点+12点。これはポッチの分!ポッチの仇ー!とか言ってw」
ヴィヌク「だから、まだ死んでないってw」
クラーケン「ピギャァーー!!」
DM「それで敵は落ちますね」

 甲高い悲鳴を上げて、半ば船にのし掛かるように、多くの矢の刺さった巨大なイカは倒れました。

トビン「おお!巨大イカ討ち取ったり!」
フリン「ポッチの敵を取ってくれた!」
 
ヴィヌク「では、キュア・ライト・ウーンズを一発、近寄ってポッチに」
フリン「あ、ワシも21点のダメージを受けているんだけど」
ヴィヌク「アンタのはかすり傷でしょうがw」
PL「www」
ラド「もし、片方だけにしかかけられないとしたら、どちらを選ぶ?」
フリン「うーん」
ラド「悩むなw」
PL「www」

ラド「今夜はイカ・パーティじゃ!」

 大漁という旗を立て、船はパランサスに向かうのでした。


塔の亡霊


 ここで、おもむろに1d6を振るDM。

DM「コロコロ、6。右手から一人、二人、三人、四人、五人、六人と。6番目はトビンか」
トビン「へっ?」

 潮風が染みつき、たっぷりと日焼けした浅黒い肌の船長は、海の上での生活に必要に応じて最善を尽くしてくれています。長い航海の間に、彼とパーティは仲良くなりました。特に、その中でも一番元気のいいトビンを可愛がってくれています。パランサスに到着する前日、トビンは夕食の時間に彼のキャビンに招待されます。

トビン「おお!」
ヴィヌク「気を付けたほうがいいよw(・∀・)ニヤニヤ」
PL「www」
トビン「え?どうして? 気を付けるのは船長の方だと思うけど……ほら、間違えて食器を無くすかもしれないし」
ラド「いやいやいやw」
フリン「何じゃ、船長は男色系じゃったのかw」
PL「www」
ラド「トビンがちょっとくらい物を盗っても……ねぇ」
ヴィヌク「いいよ、いいよ、あげるよってw」
ラド「それが欲しいのかい?と甘い声で言われるよw」
PL「怖えぇwww」
トビン「そっちかいw」

 ケンダー的には未知の世界に興味を引かれつつも、怪しい雰囲気のする船長の部屋にトビンは招かれました。大事なものは彼の手の届かない高いところに置かれてはいましたが、船長は普段と同じ調子でトビンに接してくれました。

トビン「今日はお招き頂きありがとう」
船長「いいんじゃよ。それより、先日は海の魔獣から船を守ってくれて感謝しておる」
トビン「えへへ、ボクがトドメを刺すところ見てくれた?」
船長「おお、凄かったぞ。ところでトビン。お前達は〈大司教の塔〉へ向かうと聞いておるが」
トビン「うん、そこで僕らはドラコニアンから塔を守るんだ」
船長「一つ、言っておきたいことを思い出してな。お前さんの仲間から、ヤルスという言葉を聞いて思い出した」
トビン「ヤルス?何の話?」
船長「お前は、あの場所に亡霊が出ることを知っておるか?」
トビン「亡霊? 知ってるかどうか〈ケンダーの伝承〉で判定っと――、達成値12か。うーん、聞いたことないね」
船長「実をいうとな、ワシのお袋は〈大司教の塔〉の寺院の信徒じゃったんじゃ。お袋の話によると、塔の上の階には、〈大変動〉の時に命を失った霊が彷徨っているらしいのじゃ。そこに亡霊が住み着いてると知って誰も人が居なくなっても、お袋はあの塔が好きじゃった。お袋は古きモノの精神を感じ、時々礼拝しに言っておった。別に騎士たちが好きじゃったわけではないぞ。ある日お袋は足を滑らせて、偶然にも隠されていた大きな礼拝堂に踏み入れてしまったんじゃ。お袋はその寺院の美しさに祭壇の場所で感嘆したのじゃが、その時天使たちが現れて、彼女を塔の中心へと導いた。そこでお袋は、大司教ヤルスのミトラ(司教冠)の一部を見つけた。お袋がそれを拾い上げたとき、何者かの声が頭の中に響いた」
トビン「ホントに天使? 船長、亡霊が出るって言ったよね」
船長「亡霊だったのかもしれん。兎に角、お袋が気付いた時には、細かいことは覚えてなくて、手にそのミトラの一部を持っていたらしい。お袋が言うには、生ける者を守るために、欠片を集めてミトラを完全な形にし、死者に再び冠を被せよ、その日が来るまで、悪しき存在からその欠片を守るのだ、と精霊が自分に言ったらしい。お袋は死ぬ間際、それをワシに託した……」

 船長はそういうと、後ろの棚から天鵞絨の鞄を出して、トビンの前の机に差し出しました。

船長「いろいろ考えたけれども、これはお前達に渡した方がよさそうじゃ。もし、亡霊に出会うことが――」

 早速、その鞄の中からプラチナ製の冠の欠片を取り出していじっているトビン。
 その冠の欠片には、煌びやかな宝石がはめ込まれており、とても高価なものだということがわかります。

トビン「凄いや。これがヤルスのミトラの欠片? 残りの分もあるってこと?」
DM「これは1/3くらいの大きさですので、もう1つか2つほどあると思いますよ」
船長「できることならこの冠の残りを見つけて、元の持ち主に返してほしいんだ。恐らくその塔に住むであろう主に」
トビン「もしかしてヤルスの亡霊? それは面白そうだね!もちろん〈大司教の塔〉の中も探検するつもりだったんで、それ引き受けるよ!大丈夫、ちゃんと持ち主に返すから!」

 ちょっと後悔している船長を余所にイカ料理のディナーを舌鼓しながら食べ終わり、皆の元に戻ってきたトビンを、ニヤニヤしながら待っていたパーティのメンバーたち。

フリン「ええっと、皆聞きにくそうじゃから、皆を代表して聞くが……、トビン」
トビン「何?」
フリン「船長に呼ばれていったが、大丈夫じゃったか?」
トビン「大丈夫だよっ!」
PL「www」

 明朝には、船はきっとパラダインの門を通り、パランサスのブランチャラ湾に入るでしょう。


パランサスの都


 パランサスの都は、〈大変動〉以前から残っている都市で、ブランチャラ湾を望む場所に荘厳に立っています。
 白く輝く尖塔が、青空に突き刺さるように立ち、湾にはクリンで最も大きな軍艦を始めとして、商船、漁船、小型船などの船が幾つも停泊しています。

トビン「見てよ! あれはノームの投擲機だよ! すごいや! 海からの守りも完璧だね!」

 パランサスは周りを山と海に囲まれた自然の要塞都市で、港が封鎖されるとパランサスに入るには、南の〈大司教の塔〉の要塞から続く街道のみになります。

船長「到着じゃ、諸君。そして、ようこそパランサスへ。調べ物があれば、〈パランサスの大図書館〉へ行くといい」
トビン「タルシスの図書館よりも大きいんだよね」
船長「そうじゃ、あの規模の図書館は、アンサロン大陸にはないぞ」
ヴィヌク「そういえばグンター卿から、その図書館の館長アスティヌス殿に助言を受けるように言われていたな」
船長「あそこの館長は偏屈で滅多に人と会わないらしいがの」

 船長に別れを告げ、パーティは港から市内へと入って行きます。
 通りは隙間無く石で舗装されており、幾つもの古の英雄の像に挟まれています。飾り彫りの柱に支えられたパビリオンまで、白い花崗岩の幅広の階段が続いています。そこはまるで違った時代の都市のようです。
 驚いた事に、すぐ近くまで戦禍が迫っているというのに、ここは戦争からかけ離れたような雰囲気で、市民は皆着飾り、通りは人で溢れ、マーケットは賑わいを見せています。

DM「さて、どうしますか? ちなみに今日はエルフの暦でいうと1月15日ですよ」
ラド「素直に図書館へ行ってみるか?」

パランサスの都

トビン「ソラムニア騎士団からは、いつまで〈大司教の塔〉へ行けって言われてるんだっけ?」
DM「グンター卿からは、なるべく早く塔に駐屯している騎士たちと合流して防衛に当たれ、と言われてますが」
ヴィヌク「なるべく早くかw」
トビン「ちょっと街を観光している暇ないかしら。ほら、この街にも〈上位魔法の塔〉があるんでしょ。噂のショイカンの林に行ってみたい!」
DM「ケンダーしか無理だとw」
ヴィヌク「何時、ドラゴン軍が攻めてくるかわからないからな。さっさと図書館へ行こう」
ゴールドムーン「そうですね」

 市の巨大な中心区画の南側にある〈パランサスの大図書館〉への道は、容易に見つかりました。

ラド「図書館の前に、吐血した魔法使いが倒れてたりしない?w」
ヴィヌク「レイストリンかよw」
PL「www」

トビン「あれ、ブライアンが迎えに来てないの?」
DM「ブライアンは一足先に、〈大司教の塔〉の騎士団に合流していますよ」
トビン「あらら。リリスがタルシスから戻って来てないのかなーと思って」
ヴィヌク「感動の再会ですかw」
フリン「おお、ドラマチックな展開に!?」
DM「ブライアンは重要な役目を受けて彼女に会うことも無く、塔の守りに着いていますよ」
フリン「死亡フラグ?」
ヴィヌク「ヤバイ、ヤバイwww」
フリン「結局、結婚できず。歴史の大河はこのように、史実と同じ流れを辿るんじゃ」
ヴィヌク「待て待て。俺たちのせいで彼らの運命が変化するかもしれないじゃないか!」


パランサスの大図書館


フリン「何でも、図書館の館主は、知識の神、ギレアンその人だと言われておるらしいの」
トビン「ホント?じゃあ物知りなんだね!」

 暫く歩くと大図書館の前に到着します。建物の窓からは、中で〈文人〉たちがせわしなく働いている様子を覗うことができます。視線に気がついた〈文人〉の一人が、窓から覗くケンダーの姿を見つけると、慌てて窓際にやって来ました。

文人「コラッ! ここはケンダーのような者が来る所ではない!あっちへ行け!」
PL「うはwww」
トビン「何だよー!」

 しかし、ケンダーと共にいた平原の民の娘に気がつくと、彼女の首に掛かっているミシャカルのメダリオンを物珍しそうに見始めました。

ゴールドムーン「あ、あの。(ミシャカルのメダリオンを見せながら)私たちは怪しいものではありません、是非アスティヌス様に面会したいのですが」

部屋の中から、それに気付いた小太とりの眼鏡の男が側に寄ってきます。

文人「私はここの〈文人〉らをまとめているバートレムと申す者です。館主様に何か御用ですか? 館主様はお忙しい方なんで、あなた方にお会いにならないと思いますよ」
ゴールドムーン「私は、平原の民の長の娘ゴールドムーン。私たちはサンクリストからソラムニア騎士団の命を受けて、パランサスにやって来た者です。どうか、アスティヌス様に御目通りをさせて頂けませんか?」
文人「いや、まぁ。聞いてはみますが、無理だと思いますよ。とりあえず、表の門でお待ち頂けますか?」

 図書館の立派なエントランスで待たされるパーティたち。
 暫く待つと、建物の奥からドタドタと慌てた様子で、息を切らせながら、先ほどの眼鏡の男がやってきました。

バートレム「はぁはぁ。か、館主様がお会いになるそうです!あなた方をお待ちになっていたようです。はぁはぁ。こ、こんなことはここ何十年も無かったことです!」
フリン「ワシらを待っていたとな!」
ゴールドムーン「言ってみるものねw」
ラド「俺達の噂を知っているかもしれないが、ここに来ることは知らないはずだぞ。アスティヌスとやらは本当に神か預言者か?」
ヴィヌク「グンター卿の使者が先に到着していたならば、〈文人〉たちも知ってるはずだな」
フリン「アスティヌスとは、とんでもないハッタリ屋がもしれん。ただ人に話を合わせとるだけなのかも」
トビン「あんた、さっきギレアンその人だと言ってたばっかじゃんw 話を合せているのはフリンじゃないかwww」

バートレム「──ええっと館主様がお待ちです。ささ、どうぞお通り下さい」

 バートレムと名乗る眼鏡の文人が、大図書館の中へ招き入れてくれます。長い回廊を十分ほど歩くと、やがて応接間のような部屋に通され、そこで待つように言われました。暫くして奥の扉が開いて、極めて無表情ですが、どこかしら威厳のある人相の男が姿を現します。

男「私がここの館主のアスティヌスだ」
ゴールドムーン「コホン、私は平原の民の族――」
アスティヌス「私は歴史家だ。知ることこそ私の仕事。お前達のことはよく知っている。女神ミシャカルの癒し手、ゴールドムーンだな?」
ゴールドムーン「そうです。私たちはパランサス防衛のために〈大司教の塔〉に向かう途中なのですが、実は、アスティヌス様に是非助言を頂きたく思い、こちらへお伺いしました」

ラド「ええっと、ドラゴン軍の軍勢がパランサスに迫ろうとしているのはご存じですか?」
アスティヌス「ふん(鼻で笑う)。パランサスの市民は戦が近いと言うのに現実から目を背けているがな。〈青竜軍〉の指揮官がまもなく到着する。近いうちに〈大司教の塔〉への進軍が開始されるであろう」
フリン「もしかしてキティアラ!?」
アスティヌス「そうだ。青竜軍を統べるドラゴン卿、キティアラという女だ。〈青の女卿〉と呼ばれる彼女はドラゴン軍の中でも優秀な指揮官だ」
トビン「戦ったことはないけど、タルシスで一回会ってるね。うーん、青い竜が攻めてくるのかー」
フリン「敵は一体何匹いるんじゃ!」
アスティヌス「青竜軍の2個師団7個連隊だ。ブルードラゴンが6匹、人間が400人、ドラコニアンが千匹以上、オーガやコボルトが900匹ほど、それからアンデットが50匹以上だ」
ヴィヌク「凄い情報力だw」
ラド「さすが歴史家w」

 パーティは、クリンで起こった出来事について全てを知る彼の知識と、彼がもたらした敵軍の情報に驚きました。

アスティヌス「ちなみに、塔の防衛にあたっているのは、ソラムニア騎士団の防衛軍3個連隊、正規兵550人、補充兵22人だ」
ゴールドムーン「これは、どう考えても戦力的に無理なのでは? すぐにパランサスから増援を送るべきではないでしょうか」
アスティヌス「パランサス議会は、ドラコニアンの使者の巧みな話術に騙されており、腐敗が充満している。市民軍が買収されるのも時間の問題だ。さらにこの状況下でも、市民は繁栄を享受し続けるだけで、微塵もドラゴン軍がパランサスに進軍するとは思っていないのだ」
ラド「タルシスの時と同じだな」

 ラドの脳裏に、ドラゴン軍に騙されて戦禍に巻き込まれたタルシスの光景が浮かびました。

ゴールドムーン「ドラゴン軍に対抗する術は何か残っていないのですか?」
ヴィヌク「〈ケンダーの嘲り〉しかないねw」
トビン「いや、大衆には怒らせるだけで効果無いからw」
アスティヌス「あの塔は、遙か昔〈夢の時代〉に建てられた。最初、塔はドラゴンデスという名で呼ばれていた。ドラゴンを塔の中に誘い込み、その塔の名に相応しい死を与えてやるがよい」
トビン「塔の中で皆でフルボッコにしろと?」
アスティヌス「そこのケンダー、なかなか物分りが良いな」
フリン「ワシらが先にフルボッコにならないかのう?」
ラド「奴ら空を飛ぶから、建物の中に誘い込んで、飛ばせないようにするんだな」
ヴィヌク「誘い込むには、何をすればいいのでしょう?」
トビン「きっと誰かが餌になるんだようw」

アスティヌス「塔にはドラゴンオーブが安置されている。それを使えばよい」
アングリフ「ドラゴンオーブ!」
フリン「〈大司教の塔〉にも!?」
ヴィヌク「ドラゴンオーブだってよ!(ラドを見る」
トビン「ボクも、ラドのポーチをじーっと見つめるw」
ラド「おい、こっち見んな!」
PL「www」
フリン「おお、ではこの中に、オーブを使いこなせそうな者はいますかのう」
アスティヌス「そこの魔法使いしかおるまい。彼が望む望まないにかかわらずな」
PL「おおw」
ラド「これは使わないと勝てないというフラグなのか――。orz」

アスティヌス「〈影の間〉に行くがよい。そこに求めるオーブがあるはずだ。だが用心することだ。オーブがあるところは暗い影に覆われ、そしてそこには守護者が立っておる」
フリン「それは誰?」
アスティヌス「それは私には答えられない」

フリン「ふむ。騎士団は自らの足元にオーブがあるのに、何故使わないんじゃ?」
アスティヌス「塔の上階は神々によって封印されている。この封印を超えるには、〈まことの神々〉からの祝福を受けた者しか通ることができないのだ」
ゴールドムーン「ということは、私なら封印を超えることができるということですか?」
ヴィヌク「ですよw」
ゴールドムーン「これで勝機が見えてきたかもしれませんね!」
ヴィヌク「あぁ、これで勝つる!」

アスティヌス「お前たちは、あの塔が何故〈大司教の塔〉と呼ばれているのか、私の貴重な時間を割いて教えてやろう。あの塔はパランサスへ至るための唯一の街道にある重要な砦だ。〈大変動〉以前は、〈剣〉の勲爵士団の本部が置かれており、師団長は大司教であった」
ヴィヌク「聞いたことがある。ソラムニア騎士の伝説では、塔は幾多の戦禍に巻き込まれたが、信心深いソラムニア騎士達が塔を守る限り塔は落ち無かったと言われている」
トビン「その大司教はヤルスって言う名前でしょ?」
アスティヌス「そうだ。彼は最後の大司教でだった。勇敢なるケンダー、トビンよ。お前が船長から手に入れた冠の欠片は間違いなく彼のミトラ(司教冠)の一部だ」
トビン「すごいや。じゃ、残りはどこにあるの?」
アスティヌス「1つはかつて、英雄達が休息する場所だった〈英雄の間〉に。もう1つは、宝物庫にある」

 ここで、トビンは船長から聞いた話をパーティの皆に聞かせます。つい手を滑らせてポーチの中に滑り込ませたのではないかと、アスティヌスが補足するまで、誰も彼の話を信じませんでしたが。

アスティヌス「神々は〈大司教の塔〉を封印した。最後の大司教ヤルス・ドナーは友人とカスと呼ばれるゲームをしていたが、〈大変動〉の時に倒れてきた柱の下敷きになって死んだのだ。それからずっと、彼の霊魂はそこに捕らわれている。だが、3つのミトラの宝冠の欠片を組み合わせることによって、彼の魂を呼び覚ますことができるであろう。彼はソラムニア騎士団の危機に応じて、きっとお前達の力になってくれるはずだ」

リヴァーウィンド「そのカスのゲームってのは何だ?」
DM「いわゆるチェスのようなゲームで、騎士団の間では今でも人気がありますよ。カスの盤面で行われていることが、実際の戦局を左右すると信じられています」

トビン「凄いや!大司教がボクらの力に!」
アスティヌス「さて、そろそろ私は失礼せねばならぬ。少々お喋りが過ぎた。こうしている間も書き物が貯まっているのでな」
ラド「ちょっと待って下さい。そのヤルスとは何者なのかもっと教えて下さい」
DM「ではヴィヌク、〈知識:王侯貴族〉で技能判定をしてみて下さい」
ヴィヌク「え、俺が振るの? コロコロ、達成値21」
アスティヌス「ふむ。ヤルスについては、そこにいる騎士がよく知っているはずだ」
ヴィヌク「〈大司教の塔〉に伝わる伝説か――」

運命の夜:
 大司教ヤルス・ドナーは、非常に公正で立派な男であることが広く知られていました。彼はキリ=ジョリスの献身的な信徒で、アンサロン大陸の西部で最も尊敬され、力を持っている人物の一人でした。またソラムニア騎士団の〈剣〉勲爵士団の長で、あのイシュタルの神官王にも意見することができる僅かな人物でした。
 増強するイシュタルの国力は、彼に多くの敵や奇妙な同盟関係を生みだしました。その奇妙な同盟の一人に、サルゴナス神の司祭がいました。伝説では、最後の神官王ベルディナスが王位に就く前の神官王が、大司祭カーノスであったと言われています。伝説の前半では、前任の神官王がどのように気が狂って、悪魔や悪霊が捕らわれているイシュタルの最深部の地下牢に投獄されたかが語られています。そこで彼は生きたまま喰われますが、サルゴナス神が彼の最期の復讐の叫びを聞き入れます。
 数日後、カーノスは彼の墓の固く閉じられた石棺の中で目覚めました。彼は死を免れて、大陸の向こうへ旅立ち、そこで新しく復讐の神サルゴナスの神殿を建てました。そして彼は小さな王国を征服し、長年に渡って力をつけていきます。
 彼は大司教軍と何度も戦いましたが、戦いで多くの血が流されたにもかかわらず、彼と大司教の間で嫌々ながらお互いを尊重し合うようになりました。休戦中に、カーノスは〈大司教の塔〉を訪れて、大司教と戦争を止めることを決めました。その後、彼らを夢中にさせたカスというゲームをするために、彼らは時々会うようになり、この奇妙な友情が二人の間に長年存在することになりました。
 それは、彼らが〈大変動〉が起きる13日前にカスのゲームに高じていた時にやって来ました。運命の夜として知られるその夜は、神が天に忠実な信徒を集めたことにより、アンサロン大陸からほとんどのまことのクレリックが姿を消すことになりました。
 この時、神の使いが同様なメッセージを伝えに二人の元にも現れ、彼らのそれぞれの神は二人を招集しないが、もうすぐ起きる1つの重要な使命のために待っていなければならないと、彼らに言いました。二人がそれに同意した時、塔が大きく揺れ始めました。塔の中にいた者はすべて死に、塔は封印されました。彼らの霊魂は、そこに捕らわれ、逃れることはできませんした。最後の揺れによって、ヤルスがいた背後の柱が倒れ、大司教の体は柱で潰されしまったのです。
 塔の外の何人も立ち入りを禁止されました。真の神々のクレリックだけが、この封印を解くことができたのです。しかし、神は彼らを世界から自らの元に集めた後だったのです。
アスティヌス「実は、カスには33番目の駒があった。それは昔のソラムニア騎士団と関係があると言われている水晶でできたウィザードの駒だ」
DM「ちなみにヴィヌクは知っています。チェスと同じくカスも駒は32個」
ヴィヌク「面白いな、カスの駒は32個だったはず。33番目の駒が存在したとは!」
アスティヌス「ヤルスはいつもどのように勝ったか尋ねられると、微笑んで、私は33番目の駒を持っていると言っていた。それを探せ、それが鍵を握るだろう」

 アスティヌスはそう言うと、部屋を去って行きました。

トビン「でも、それってイカサマじゃないか!」
ヴィヌク「しーっ!」
PL「www」
ラド「ということは、まずミトラの宝冠の欠片とカスの駒を集めて、ヤルスを呼び覚まして、ドラゴン軍を撃退すればいいってことか」
フリン「よし、そうと決まれば、街で買い物をして〈大司教の塔〉へ出発じゃ!」

■ あとがき

 おまたせしました!リプレイ再開です!
 1年以上もリプレイを更新できず、ごめんなさい。

 皆さんのご支援のおかげで、このサイトも11月で3周年を向かえることができました。
 昨年は念願のドラゴンランスの同人誌の発行でコミケデビューと波乱の1年で、長らくリプレイの更新が滞っていましたが、4年目は無理のない範囲で続けて行きますので、これからも本サイトをよろしくお願い致します。

 さて、今回から「尖塔の青竜」編に突入したわけですが、この章は『ドラゴンランス(戦記)』の物語の中で一番の山場となるところですよね。
 物語のキーアイテムのドラゴンランスとドラゴンオーブが揃い、これまで啀み合ってきた善側の種族が団結し、これまでやられっぱなしだった悪の勢力に反抗の牙を剥く。云わば、ここまでに至る物語は大きな前振りで、ここからが竜槍戦争の本髄なんです。
 実際に反抗の牙を向くのは善竜が参戦する次の章からなのですが、その反抗のきっかけとなったのは、〈ホワイトストーン同盟軍〉が初めて邪竜軍を撃退した、この〈大司教の塔〉の戦いですよね。
 そして、その裏で進むスタームの物語も見物です。騎士審理にかけられ窮地に陥ったスタームは、功績が認められて、騎士見習い(スクワイヤー)を経て、まことの騎士となり、パランサスの都を邪竜軍から守るため、決死の覚悟で〈大司教の塔〉でかつての仲間の〈ドラゴン卿〉キティアラと対峙することになるのです。

 原作で一番熱いこの章は、我々がプレイしているゲームシナリオでの表現は、"Dragons of War (戦争のドラゴン)"の題名の通り、「戦争」です。これまでのダンジョンやワイルダネスのパーティでの冒険から、ソラムニア騎士団、エルフ、ドワーフ、ノームたちとの異種族間の同盟を結び、敵軍と対峙するという一気にスケールの大きい冒険になっています。

 今回のリプレイでは、ランスとオーブを手にいれたパーティたちが〈大司教の塔〉へ至る道中を描いておりますが、シナリオでは冒険中に騎士団の士気値が増減し、これが、これから起きる戦いの勝敗にかかわってくるようになっていました。
 また次回のリプレイでは原作を深く掘り下げて、原作で語られなかった〈大司教の塔〉の謎にも迫っています。小説を知らないプレイヤーなら新鮮な気持ちで大冒険ができるし、小説を知っているプレイヤーならさらに楽しめる内容となっているのが、このドラゴンランスのセッションの醍醐味ですね!

 それでは次回もお楽しみに!

次回は!


 翌日、パーティは〈大司教の塔〉へ旅立って行きました。
 曇った空の下、街道を南下しているうちに、天候は雨に変わり、道はぬかるんできます。
 それは、まるでこれから起きる幾多の困難を暗示しているかのようでした。
 
 進軍しつつある青竜軍と、塔に伝わる大司教ヤルスの伝説――。 
 
 神によって封印された塔で、彼らを待ち受けるものは何なのでしょうか?
 果たして、彼らはドラゴンオーブと残されたミトラの欠片を手に入れ、進撃するドラゴン軍に対抗することができるのでしょうか?
 
 次回、「尖塔の青竜の書」大司教の塔:探索編にご期待下さい!
 それではまた読んで下さい!!



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