少々時間が経ちましたが、12月最初の土曜日は都内某所で、カナダ人のエリックさんのDMでD&D4thを楽しんで来ました。出会う前は日本語が通じるが不安でしたが、普通に日本語でコミュニケーションがとれる方で、ひと安心。セッション中も普通に日本語で会話してました。
シナリオはエリックさんオリジナルの物。なんでもD&D4thのDMG(DungeonMaster's Guide)に載っている世界感が気に入ったらしく、今回のシナリオはその世界を使ったものでした。
一からキャラクターを作成するとやはり時間がかかるということで、先月先に出た『シャドウフェル城の影』付属のプレロールドキャラクターを使用。
・ハマー(ドワーフのファイター/備前屋さん)
今回初めてご一緒させて頂きました。噂に聞くDDMの腕前を4thの戦闘に生かすことができるのでしょうか。
・エルギアス(人間のウィザード/植埜さん)
なんだか爆炎の魔術師と名乗ってましたが赤い手のエルギアンの偽物のようです。
しかも魔術師かどうかも怪しい噂がチラホラと……。
・エイドリアン(ドラゴンボーンの女パラディン/店長さん)
萌女キャラすると意気込んでましたが、爬虫類なので全然萌えませんでした。ごめんなさいw
どちらかというと、炎のブレスで敵を燃やしまくりだったり。
・キャップ(ハーフリングのローグ/鹿子沢さん)
今回初めてご一緒させて頂きました。実はD&D自体初めてだったようですが、楽しんでいたみたいでよかったです。
・ウルフ(ティーフリングのウォーロード/ジョウセンさん)
最近、ご一緒する機会が多い人。かなり4thはプレイしているようです。
・ミヒャエル(ハーフエルフのクレリック/michi)
私です。実は別セッションで同じキャラクターを使ってたりw
Introduction
さて、冒険の舞台は、かつて栄えていたネラース帝国が滅びて小さな諸侯が郡雄割拠するネンティル・ベールと呼ばれる地域のお話。『シャドウフェル城の影』のシナリオの舞台にもなっているところです。
今回は冒険は、その中心の都市であるフォールクレストと呼ばれる街のシティアドベンチャーでした。
フォールクレストの収穫祭は盛大なもので収穫を祝い盛大な祭りを行ないます。幼馴染みの設定のPCたちは、毎年この街に戻って仲間と祭りを楽んでいます。今回の冒険は、PCたちが今年も祭りに参加するために一年ぶりに下町のいつもの安宿"ブラックストーン"に集まったところから始まりました。
祭りでは毎年イベントが行なわれるのですが、宿屋のバーテンの話によると
今年のイベントは次の3種類が行なわれます。
・ブタ捕り大会 … 如何に素早く大きな豚を捕まえるかを競います
・アーチェリー大会 … 弓の腕を競う大会です
・リドル大会 … 魔術師の塔で毎年行われているリドル大会
PCたちは、明日のお祭りで参加するイベントを決定し、宿で一泊しました。
お祭り:ブタ捕り大会
次の日、まずはPCたちはフォールクレストの街の南北を流れているネンティア川を渡り、宿屋ネンティアの近くで行われるブタ捕り大会に参加します。
東の果てのハンマーファストの砦からやって来たドワーフたちが200年前に作ったと言われる橋を渡り、川を越えます。当時の橋はすでに朽ち果てて無くなっていますが、現在は残った橋脚に丸太を組んで橋桁と橋板を組み直しており、今でも人が十分に渡ることができます。
ブタ捕り大会には、ハマー、ミヒャエル、ウルフ、エイドリアンの4人が参加しました。受付で登録を済ませ、肩に参加者の腕布を括り付けて貰います。
ここでDMより、ゲームの方法が説明されました。
・参加者はブタを素早さと大きさで選び、最も素早く大きなブタを捕まえることが目標
・選んだブタの素早さによって、【敏捷力】の能力値ロールの難易度が5,10,15,20と変化
・選んだブタの大きさによって、【筋力】の能力値ロールの難易度が5,10,15,20と変化
なかなか面白いルールですね。歓声の飛び交う泥まみれの田んぼの中で一人ずつブタを選んでロールしていきます。
1回目のチャレンジで見事ブタを捕まえたのはハマーとウルフ。決勝に進みます。
ここで観戦していた"頭脳派"のエルギアスは、後ろで見ていた金持ちそうなティーフリ
ングと仲間の二人のどちらが勝つか、大金の10gpを出して賭けを始めました。
決勝で勝ったのは、ハマー。同じティーフリングのウルフに賭けていた彼はエルギアスに掛け金を持って行かれました。
ハマーは大歓声と共に、祭りの英雄"The Greatest Pig Catcher of Fallcrest"として称えられました。
お祭り:リドル大会
夜になり、今度は街の南東のセプターチの塔と呼ばれる魔術師の塔でリドル大会が開かれます。ここは日頃一般人が足を踏み入れることができませんが、この時ばかりは無礼講。塔の一階の通されて、塔の主の老魔術師の"緑のニモザラン"の出す難問に挑戦することができます。
もちろんパーティは全員参加しました。
それでは今年の問題を行ってみましょう。
問題「以下の6つのマークがあるが、隣に並ぶマークは何?」
制限時間は10分
さぁ、皆さんも考えてみてください。
これは、PCのスキルというより中の人の頭が試されるイベントです。
まず、問題が出た早々に解けたのが、エイドリアン、ウルフ、ハマーの3人。素晴らしいです。
ここでウィザードのエルギアスが、
エルギアス「DM、プレイヤー的に屈辱を感じますが、〈知識〉か【知力】判定で成功したらヒントを下さい。」
と要求。ウィザードの癖に情けない奴です。
ロールした結果、DMからヒントを聞き出すことには成功しました。ちなみに、まだ問題の解けてないキャップとミヒャエルは耳を塞いでヒントは聞きませんでした。
その後、この私ミヒャエルが解けて、残りはキャップと"頭脳派"ウィザードのエルギアスに。
トイレ休憩などをはさみながら、時間は刻々と過ぎて行きます。
残り1分ほどになってキャップも解けました。
そして最後に……、
タイムアップ。あれ?
このパーティの中に一人、タイムアップになっても問題の解けなかった人がいます。
ヒントを貰いながらも最後まで解けなかった人がいます。
──まぁ、本人の為に敢えて名前を出すことは控えましょうか。
エルギアス「DM、ギブアップ!」
DM「オーケー、その問題用紙あげます。持って帰って考えて下さい。」
エルギアス「答えは・・・・・・」
DM「では、先に進みましょう。」
結局、彼はゲームを終えるまで悩むことになります。
消えた友人
パーティ「おい、いつまでそんな紙切れみてるんだよw」
宿屋ブラック・ストーンで今日の戦果を讃え盛り上がるPCたちと、暖炉の前で紙切れを凝視してうんうんと唸っているウィザードが一人。
物語はここから急展開します。
突然、彼らの前に現れたのは、キャップの従兄弟ピッポーのオカミサンのサマエ。
サマエ「キャップ久シブリネ。私ノ主人ミナカッタ?マダ家二帰ラナイ。」(外国人訛りがある嫁風に)
彼女が言うには、どうやら夫がまだ家に戻らないらしいのです。
そういえば、彼とは昼間、ブタ捕り大会で会いました。そんなところに来てると奥さんに怒られるので内緒にしてくれと言われてました。
しかし、何やら様子がおかしいので、キャップとその仲間たちは包み隠さず喋ってしまいます。いろんな意味で大丈夫なのでしょうか、ピッポー?
結局、祝いの宴会の酔いも冷めぬ中、奥さんには見つかったら報告すると言って夫のピッポーを探すことになります。
どこかで飲んだくれて寝てるだけだといいのですが、シナリオ的にはそうはいかないでしょうw
彼の行きそうな場所をピックアップし、順番に回ります。まずは、
・ネンティア川の船のドックの秘密の賭博場 → 見つからず、特になし
・怪しげな人達が集まる南東の館付近 → キャップが捜索した結果、1d20で出目1、何もなかったお!
そして最後に、
・昔よく一緒に珍しい石コロをこっそり取りに来ていた川の中洲
に、行ってみることになりました。
中州での遭遇
その中州は、街を南北に流れるネンティア川の上流の方にあり、そこには謎めいた建物がいくつか立っているようです。
キャップと従兄弟のピッポーは昔からよくここに、賭けの資金を稼ぐため、金になりそうな綺麗な石ころを取りにきてました。ちなみに街では、この場所に近づくことは禁止されています。
しかし岸辺のボート屋の気むずかしいドワーフも、ハマーがブタ捕り優勝者の腕布の印を見せると、こんな時間でも快くボートを貸してくれました。
ボートを漕ぎ中州に潜入します。
岸についたPCたちを待っていたのは、陸地の奥の闇から彼らを見張る3組の光る目。何かがこの島にいることは確かなようです。
また岸辺を調べるとキャップが乗ってきたと思われる小型のボートを発見します。これは間違いないかもしれません。もし、そうだとしたら一般人のピッポーの身が危ないかもしれません。
岸から上がり、パーティたちは陸地の道を急ぎます。
ここで、〈知覚〉チェック。パーティたちは側面から何者かがこちらに近づいてくることに気づきました。
ここで今回最初の戦闘開始です。
〈知識〉チェックにより、彼らはゴブリンだということがわかります。
まずは《イニシアチブ強化》の特技を持っているウィザードのエルギアスから行動開始。
エルギアス「ええっと、ではスコーチングバーストで、ゴブリンどもに灼熱の炎を浴びせます。」
パーティ「おお!早くやっちゃってくれよ!」
突然、迫り来るゴブリン数匹を包み込むように灼熱の炎がボワーッと上がります。
DM「スコーチングバーストノ対防御値ノ種類ハ?」
エルギアス「ええっと、対反応で、かわして。コロコロ…コロコロ…コロコロ……。しまった。全部ダイス目が一桁だ……。orz」
DM「全部ハズレましたw」
PL「何だよwこの人、ホントにウィザード?」
PL「それ戦隊モノのヒーロー登場シーンの人畜無害な爆風でしょw」
今日はまったく冴えないウィザードの中の人。リドルも解けないばかりか得意の呪文も敵に効きません。
そんなウィザードを残し戦闘はガンガン進み、ミヒャエルが敵に囲まれてピンチになったりしたりもしましたが、ゴブリンを粗方倒すことができました。
最後に、1匹逃げたゴブリンを追い詰めて、ハマーの〈威圧〉によって彼らの目的を効き出すことに成功します。ただし、ピッポーについての情報はありませんでした。
彼らから聞き出した情報は次のようなものでした。
・我々の目的はこのフォールクレストの街を襲うこと
・徒党を組んだオークやバグベア・ホブゴブリンたちと共に、祭りで浮かれているこの街を襲う計画
・もうすでに仲間は集結しつつあり、今夜午前0時の教会の鐘と共にこの街を襲う手はず
・この中洲が彼らの前線基地で、我らは先兵隊であること
PL「午前0時!? DM、今何時なの?」
DM「大体21時ですね。」
PL「まずいな、あと3時間しかないぞ!」
パーティたちは、ボートを漕いで急いで対岸に戻り、街の北門のガードの守備隊の隊長に、この重大な内容を知らせます。
守備隊長は、当初信用してくれませんでしたが、ゴブリンどもの獲ってきた耳を見せると、用心のために兵を一人付けてくれたので、戻って様子を見に戻ることになりました。
あまり時間がないのですが……。
ゴブリンの根城
さて、急いで中洲に戻ると、ちょうど逃したゴブリンが仲間に報告しているところに出くわしました。戦闘開始です。
エルギアスの呪文がまたもや無害な爆風になったりならなかったりしながら、戦闘の末、
なんとか殲滅に成功。リーダーらしきゴブリンはHPが多く、なかなか流血状態(HPが半分以下になること)ならず、苦戦しました。
まだ息があるゴブリンを簀巻きにして情報を聞き出したところ、彼らはこの先にある建物を根城にしているようです。
兎に角、連れてきた兵士には事の重大さは十分わかったようで、彼は報告のためにすぐさま隊長のところに戻っていきました。
しかし午前0時の襲撃の時間までもう2時間ほどしかありません。街のガードが酔いを醒まし、臨時の兵士の召集を始める頃には、フォールクレストはすでにゴブリン類どもの手に落ちていることでしょう。
ここは、パーティたちが先行して彼らの根城を叩き、襲撃の先手を挫く他ありません。
そう悟ったパーティたちは、この先にある建物に急ぎます。
建物の前には、ゴブリンが4匹とチーターのような番犬の獣が1匹。とりあえず茂みに隠れながら近づいていきましたが、重装備のPCが〈隠密〉ロールにまともに成功するはずがありません。すぐに気付かれて戦闘が始まります。
特にエルギアスの呪文がまともな効果を発揮したこともあり、簡単に4匹は倒すことができましたが、仲間に知らせがいってしまいます。
建物に近づくパーティたちに、建物のアロースリットから矢が飛んできます。
その矢を避けながらエイドリアンが建物に入ろうとしますが、中から新手が出現し、入り口を立ちふさいでしまいます。
DM「意思の防御値は、いくつですか?」
さらにエルギアスとハマーには、アロースリットの向こうにいる敵から何か呪文をかけられてしまいました。
その結果、二人とも急に辺りが暗闇に包まれて盲目になってしまいます。"Blinding Hex"、盲目の呪文のようです。
建物に侵入すると、中にいたホブゴブリンの戦士が襲い掛かってきます。
さらに奥にいたHexerという術者から、動いたら3d6のダメージを被る"Stinging Hex"の呪文や、気分が悪くなり攻撃ロールに-2のペナルティを被る"Vexing Cloud"の呪文などが飛んできます。
近接戦はホブゴブリンの連携攻撃、遠隔戦はゴブリンHexerの呪文に苦戦しながらも、前衛はマークを上手く使い、後衛は呪文、キャップは挟撃に持ち込んでCombatAdvantageを得ながら、力を合わせてやっと全員を倒すことができました。
ここで時間が来たので今回の冒険は終了となります。
会場からの撤収準備をしながら、DMが話の締めを説明します。
建物の奥でピッポーを発見。パーティたちは無事彼を見つけることができました。その後、彼を助けて建物(砦)に火を点けて街に戻り、急遽召集した飲んだくれの兵士たちとともに何とか街を守りきり、フォールクレストの平和は見事守られたのでした。
え?エルギアス。まだリドル解けてないの?
あとがき
えー、D&D4thのプレイレポートを初めて書いてみました。
書くつもりでプレイしてなかったので、あまり描写が入ってなくてごめんなさい。PLの使うパワーもまだまださっぱりわからないので、プレイを繰り返して勉強していきたいと思います。
すでに4thは何度もプレイしていますが、その度に3.5版との違いを再認識させられます。
ルールが簡略化されて遊びやすくなっていますが、まったく変わってしまったところも多くあり、長く3.x版をやっていた方々には多少の不評な面もあるようです。
戦士の必殺技や魔術師の呪文もすべてパワーというもので統一され、良くも悪くもキャラクタークラスの特徴が平滑化されたことは4thの大きな特徴でしょう。
また味方も敵もHPが大幅に上がって死ににくくなったこともあり、戦闘では3.5版ほど劇的な形勢逆転が無くなった感じがします。別の言い方をすれば、一人が超人的な活躍をして状況を打破するのではなく、皆でちゃんと協力しないとその状況を打破することが難しくなったと言えるでしょう。
また、私は日本人以外の方とTRPGを遊ぶこと自体初めてでしたが、まるでよく知ったプレイ仲間のように自然にコミュニケーションを取る事ができたことは、やはりD&Dと呼ばれる全世界共通のルールや世界観の認識があってこそで、それは4thにもちゃんと受け継がれていると感じました。
今後どんどんサプリメント(追加ルール)などが発売されていくでしょうから、D&Dでありながらも4thとしての独創性と面白さをどう引き出していくか、WoTC社に期待したいと思います。